多様な金属粉末に対応
ソディックは9月16日、長時間高速安定造形に対応した金属3Dプリンター「LPM325S」を開発し、10月に受注を始めると発表した。LPM325Sは金属粉末の溶融凝固による3D造形と、造形物への基準面加工を1台の機械で行う。粉末交換作業や定期メンテナンス頻度を減らし「非稼働時間を大幅に削減し、現場の生産性の鍵となる『稼働率』アップに貢献する」と言う。
従来の鉄系(コバルトフリーマルエージング鋼)、ステンレス系(SUS420J2など)粉末のほか、64チタン、インコネル716、コバルトクロム、アルミニウムの粉末にも適応する。シングルレーザー(出力500?h)の標準仕様で長時間の安定造形ができるほか、デュアルレーザー(オプション、1000W)を搭載することで同社従来機比2倍以上の造形速度を達成し、かつ標準仕様同等の品質と安定造形を可能にするという。「造形モニタリング(オプション)」機能を用意し、造形物状態や各部の稼働状態を常時監視することもできる(造形状態の履歴も残せる)。
材料交換が容易で安全性が高いことが最大の特長といっていい。ユーザーはMRS(Material Recycle System=粉末自動供給、粉末自動回収、粉末自動ふるいを行うユニット)を付け替えるだけの簡単作業で2時間以内に完了。複数の粉末による運用も1台の設備で対応できる。稼働中に集積物の回収を行うヒュームコレクターの能力を大幅に向上したことで、集積物自体を溜まりにくくし、従来機に比べメンテナンス頻度を約2分の1に削減した。
金属3Dプリンターで避けて通れない造形物内部の残留応力を抑制する独自特許技術「SRT工法」を標準搭載し、造形後の応力歪を10分の1(同社独自評価造形形状で)に抑制するという。標準価格は税別6000万円、年間生産12台の目標。10月20日に名古屋市で開幕する「メカトロテックジャパン2021」に出展する予定。
(2021年9月25日号掲載)