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津田駒工業、加工機販売を本格化

投稿日時
2025/09/11 14:48
更新日時
2025/09/11 14:50

津田駒工業(株)

既存工作機械と違う市場ねらう

津田駒工業は小型加工機「TSUDAKOMA i-CUBE」のオプションを充実させ本格販売を始めた。100V電源で稼働、キャスターで上層階にもエレベーターで運搬でき「価格帯も含め既存の工作機械とはターゲットがまったく異なる」とする。加工プログラムの自動作成機能も搭載し、学術機関での採用や積層造形後の仕上げ加工、溶接後の肉盛り除去などの需要を見込む。工作機械関連事業を統括する大河哲史取締役は「バイス・円テーブルに続く第3の柱を構築したい。それに向けた種まきの一環だ」と語る。

TSUDAKOMA i-CUBE」は高さ1761ミリ、フロア面積はテーブルサイズ250ミリ角の仕様で1129ミリ×899ミリと縦長のスリムな形状。100V電源で動き消費電力は1500W程度、キャスター移動が可能で一般的な工作機械とは持ち味が違う。毎分最高3万回転(オプションで同6万回転)の高速主軸を搭載。「重切削は難しい」(大河取締役)ものの、アルミやステンレス、チタンの削り出しや穴あけ、タップ加工に対応する。

「量産ラインではなくラボで3Dプリンターの隣に並んでいるイメージ」と、一般的な工作機械と異なる需要先を想定。そのためオフィス空間に馴染むデザインを採用し、加工の初心者に向けてタッチパネル式の簡易なUIや加工前後の3Dモデルを元にした加工プログラムの自動生成機能も実装した。

学術機関や開発部門での試作や、部品のバリ取り・面取りなどの用途を想定。工作機械を未導入だった溶接業者が溶接後の肉盛り除去に採用した実績もある。大河取締役は「周辺機器を扱う我々が工作機械を製造・販売することで業界にハレーションを起こすのは本意でない。TSUDAKOMA i-CUBEは定価も580万円で、価格帯も含め既存の工作機械とはまったく市場が異なる」と強調する。

オプションは傾斜円テーブルやATC(自動工具交換装置)、ミストクーラントなど。「オプションは拡張したい。例えばロボットでワーク交換ができれば中量生産も視野に入る。医療や宝飾品業界で使えるアプリケーションも準備したい。また幸い我々は円テーブルという回転軸を持っており、それを軸に提案できる加工機もあるのではないか」と、今後の機種拡張にも含みを持たせた。

(日本物流新聞2025910日号掲載)