中村留精密工業は5月15日から、IoTサービス「Dr. Tool」に摩耗検知機能を加えて提供を始めた。従来のDr. Toolから無償でアップデートできる。電流値データをもとに工具の摩耗状況を把握することで、個々の工具の状態に合わせた適切なタイミングでの交換が可能になる。

Dr. Toolは専用デバイスと電流センサーを工作機械に取り付け、クラウド通信で工作機械や工具の状態管理と稼働状況の可視化を行うサービスだ。工具の破損を検知することで生産トラブルを低減できるが、工具の破損前に機械を停止させたいというニーズも同社に寄せられていた。高価なワークを加工する現場ではわずかな不良も許容できず、従来の加工ワーク数や加工時間に基づく工具交換では安全マージンを過剰に取ってしまうことから、工具のコストが膨らむ課題がある。この課題に向けて摩耗検知機能を開発した。

同機能は工具の電流値（加工負荷）を記録し、加工の進行に伴う推移を波形で可視化する。過去データに基づき破損直前の電流値付近をしきい値とすることで、工具の破損前に機械を停止させることが可能になる。

（日本物流新聞2025年5月25日号掲載）