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金太、建設・製造業の鋼材加工を鋼材商が担う

投稿日時
2024/12/13 09:00
更新日時
2024/12/13 09:00
25年3月からはヤマザキマザックの3Dレーザー加工機が4台体制に

鉄鋼特約店として北陸最大手の金太は、流通業ながら加工にも力を注ぐ。石川県白山市に2棟の工場を構え、建築向け鉄骨では切断に加え穴あけ等の加工を、製造業向けの鋼材では3Dレーザー加工機を駆使して複雑なカッティングも自前で行うのだ。「お客様の本業から外れた『ボール球』を我々が受ければストライクゾーンに集中して頂ける」と南周徳専務取締役は狙いを語る。

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左から建材本部建築開発部 鶴見正営業部長、南周徳専務取締役、旭丘機械基地 園田泰司所長

――鋼材の流通業を核に、製造業向けと建築向けの事業を展開しています。

南周徳専務取締役「建築向けの事業はファブリケーターへの鋼材販売に加え、ゼネコンから仕事を請けてファブリケーターに仕事を発注し、我々が現場管理や安全関係の監督業務まで行う場合もあります。また製造業向けの事業では鋼材の他に加工機などの設備もお客様に販売しています」

――北陸の風景の多くに関わっているとか。

建材本部建築開発部 鶴見正営業部長「北陸新幹線の橋架には数十万㌧の鋼材を納めました。金沢駅や小松駅など県内の駅舎や、21世紀美術館にも我々の鋼材が使われています。北陸3県の実績はトップですが、北陸のキャパには限りがある。そこで東名阪など北陸以外の顧客も開拓しています。県外では大型工事を請け負うことが多いです」

――鋼材販売だけでなく加工にも注力されていますね。

「6~12㍍の長い鋼材は元々、購入後にお客様自身が切断していましたが、歩留まりが悪いため40年以上前に我々がバンドソーなどを揃え、切断して納入を始めました。約20年前からは穴あけなども我々が行い、倉庫の一画では手狭になったため工場(旭丘機械基地)を新設しています。昨今は土地の価格や建築費が高騰。お客様も工場を広げたくないし、限られた場所を加工より付加価値の高い仕事に充てたい。そこで我々が加工を担うようになったんです」

鶴見「切断機はあくまで建築用の鋼材を販売するためのツール。ファブリケーターも自ら機械を購入し加工すれば場所も人も必要です。それを我々が行い、鋼材を購入いただくギブ&テイクの関係ですね。販売だけでは価格競争に陥ります」

――あらゆる鉄骨加工を請け負いますか。

「大型の鋼材はファブリケーター側で加工できる。彼らがやりたくない小梁など細かい加工をフォローしています。我々はあくまで『鉄屋』。だからお客様がやりたくない、野球で言えばストライクゾーンの外を攻めているわけです。お客様にはストライクゾーンで勝負して頂き、ボール球を引き受けると。お客様の儲かる領域に手を出さないスタンスは守り通すつもりです」

■3Dレーザーが強みに

――これまで建築向け鉄骨加工のお話を聞きましたが、貴社は製造業向けの鋼材加工にも強みをお持ちですね。建築と製造業の加工の割合は。

旭丘機械基地 園田泰司所長「およそ8:2の割合で製造業向けが多い。8年前にヤマザキマザックの3Dレーザー加工機を導入しました。これが製造業向けで強みになっています」

「3Dレーザーは1台数億円と高額でお客様も導入が難しい。我々がその加工を行えばお客様の手助けになります。現在この機械を3台保有していますが、来年3月に4台目が納入されます。工場は2棟ですがキャパが一杯で、隣に新設も考えています」

――その機械でどんな加工を行いますか。

「マシニングや旋盤『以外』の加工です。製造業では製罐・板金業への鋼材販売が多く、彼らの本業は溶接と組立。できればそれに集中したいのが本音で、我々がその需要を取り込んでいます。切断や曲げはそこまで儲かりませんが、その割にレーザー加工機は高価でお客様も悩ましいんです」

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鉄骨の切断・穴あけを行うタケダ機械の複合加工機も5年前に導入

――つまり製造業も建設業も、本業以外の厄介な加工を切り離したがっているんですね。それを貴社が取り込むと。

園田「昨今は人手不足。お客様の外注先の加工業者もどんどん廃業しています。加工の受け手がいなくなっているんです」

――建築向けと製造業向けの鋼材加工を手がけることでシナジーはありますか。

「時には加工機を共有します。ファブリケーターの効率重視の加工ラインではサブ的な加工が難しく、どちらもやる我々だからこそ対応できることがある。逆もしかりで、製造業のお客様の長尺材を我々の形鋼向けの加工機で対応する場合もあります。近年はショールーム的な工場も増えており、稀に3Dレーザー加工機で意匠性の高い建築の加工を行うことも。アルミのトラスやパイプ構造の鋼材にスリットを入れるなど特殊構造の場合です。このように無意識でシナジーを生んでいるかもしれません」

――今後は加工により注力しますか。

「そうですね。そのために設計スキルの向上が必要です。CAD・CAMも重要ですし、今後は機械よりソフトが鍵だと思います。組図のバラシも専門の人材を配置していますが最近はここがボトルネックに。逆にこれを強化すればキャパが拡大します」

――流通業が加工に力を入れる例が石川県では多い気がします。

「石川は昔から加工に力を入れる鉄鋼商社が多いです。ただ福井や富山はそうでもない。我々も県外では加工が大いに武器になります。加工を担えばニーズもつかめますし、加工しやすい材料の手配など知見も積める。勉強代も払っていますが、新規開拓で工場は間違いなく武器です」

(2024年12月10日号掲載)