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シャープ、独自のマテハンで物流に攻勢

投稿日時
2025/07/08 09:00
更新日時
2025/07/08 09:00
スリムで両側から荷を移載できるACR

1㌧まで運べる潜り込み式のAGVが、背の高い専用棚を運んでいく。と、幅700㍉でスリムなACRが狭い空間をすり抜けて近づき、専用棚から段ボールやサイズの違う複数の樹脂コンテナをピッキングしてコンベヤへと運んでいった。充電不要で、ランプやデジタル表示によりピッキング作業をサポートする「無線デジタルピッキングシステム」が、仕分け作業をアシストする。いずれもシャープが近年投入したマテハン製品で、514日からインテックス大阪で開かれた「関西スマート工場EXPO」では、組み合わせてひとつのピッキングシステムとして展示された。

同社は近年、物流分野の開拓に力を注ぎ製品開発を加速させている。「汎用性の高い製品よりも他にない高い生産性の設備を開発する方針」で、冒頭のACRも高さや幅のコンパクトさが業界的にも珍しい。今展では新たに要望の多かったダンボール荷姿にも対応した。

今後は製品の拡充に加えコンサルティングサービスにも注力する。現場調査を元にした分析、構想、シミュレーションから実装、アフターサービスまで一貫して対応するものだ。中期経営計画でもロボティクス事業の強化を掲げており、今後はハードとコンサルティングの両軸で物流を開拓する。






【インタビュー】シャープ スマートビジネスソリューション事業本部 ロボティクス事業統轄部 ソリューション推進部 参事 宮﨑 篤史

スリムで両側から荷を移載できるACR


――コンサルティング事業を始めたが。

「我々には様々な自社工場を構築してきた長い歴史がある。その知見を体系化しており、導線調査など上流工程から相談に乗ります。一般的には調査分析はお客様が行い、ベンダーを選んで仕様を作り込みますが、自社に適したシステムを探し回るのは非常に手間。そこを我々が知見を活かし白紙段階から支援します。現場で調査・分析を行ったうえで構想を松竹梅ではないですが複数ご提示し、シミュレーションや効果分析も行います」

――極端に言えば貴社がもうひとつ自社工場を建てるような気持ちで

「まさにその視点です。例えば液晶工場では大型の液晶をどう搬送すれば最も効率的かを考え抜いてきました。他にも太陽電池や家電など様々な工場を運営してきており、『考え抜いてきたメンバー』が物流事業に参画しています。最も生産性を高める生産技術のメソッドは門外不出と言いますか、シャープの歴史を支えてきた屋台骨でした。コンサルティングサービスでは、それを価値としてお客様に提供します」

――提案するのは自社設備に限らない?

「限りません。我々も自社工場の立ち上げですべての設備を自社で賄ってきたわけでは当然なく、様々なメーカーとの深い繋がりがあります。本サービスもフラットな目線で適材適所の提案を作成します。もちろん自社製品は最もよく理解しており、だからこそ自信を持って自社製品を提案する場面もありますが、ケースバイケース。また仮に提案を採用頂けなくとも、調査分析や提案の内容は成果物として提出し、マテハン導入とは切り分けが可能です」

――反響は。

「始めたばかりですが様々な要望が寄せられ、案件も進行中です。並行して他社にない高い生産性を持つマテハン設備の開発も行っており、今後も双方に力を入れます」



(日本物流新聞2025625日号掲載)