マテハン提案大解剖 <2>

モノの全体的な流れに合わせた投資が求められる「マテハン」に注目した。生産性だけでなく、働きやすさ、労働安全衛生の観点からも、これまで当たり前だった作業と工程を見直すべき時期が到来しているからだ。身体的な負担を減らしながら、スムーズに運べる現場づくりに向けて提案を強めている製品に焦点を当て、ユーザニーズの変化と導入効果を探った。

【画像1】狭い通路でも無理なく移動できる佐野車輌製作所 バッテリー台車「SDWA」
【画像2】極省を売りにするPSSのパレタイザー「PAL-AH01A」

重量搬送にバッテリー台車

近距離ながら、屋外移動を伴う重量搬送に最適なマテハン機器は何だろう。移動させるのは総重量40tのプレス金型。当然のことながらクレーンが使えないため、トラックやフォークリフトに限られる。前者は場合によって借りなければならないし、後者も操作に運転免許が必要だ。そこで佐野車輌製作所は第三の選択肢としてバッテリー台車を提案している。

野口幸治営業部長は、「トレーラーに積載して牽引車で運ぶ方法もあるが、私有地外で運転する場合は免許がいる。バッテリー台車ならクレーンと同じペンダントスイッチによるボタン操作なので、誰でも簡単に扱える」と話す。

ボタンは前後左右のみ。時速は1・6㌔メートル。人がゆっくり歩く程度のスピードだ。磁気テープやレールを敷設する必要がなく、既存の生産ラインに影響を与えずに、導入したその日から使えるのも魅力。自動車のプレス金型、組立途中の半製品を次工程に搬送する目的で使われることが多いという。

「パレットに載せてフォークリフトで運ぶ方法も手軽ながら、10t以上になれば安定しにくくなる。安全性を重視する傾向が年々強まるなか、バッテリー台車に変更するケースが増えてきた。別の観点から見れば、生産品目が大型化しているということもあるだろう」
狭い通路向けで実績を伸ばしているのが、4輪操舵式の「SDWA」だ。切り返しなしで走行できるのが最大の特長。旋回半径が小さく、直角通路も難なく通れる。

ラインナップは積載荷重5~50tの6機種展開。回転灯、警報機、タイヤ切れ角表示灯などの安全機能を標準装備している。稼働時間は約2時間。AGVとしても活用できる。

ホームページには2013年以降に納入した実績を掲載している。納入先、製品分野、積載荷重を一覧化したものだ。野口部長によれば、「当社への信頼、製品への安心につながっている。グループ会社で稼働されていることを知って、現物を見た後、導入が決まることもある」という。

「バッテリー台車自体は以前からあるもの。ユーザーの裾野が広がるに従って、アフターフォローがさらに重視されるようになった。当社は30年前の図面を大切に保管し、補修部品も内製化しているので迅速に修理できる。そういった強みも伝えてきたい」

極省スペースでパレタイズ

3kg以下で毎分12個処理

1枚のパレットと、その周辺でスタッフが一人動けるだけのスペースにパレタイザーが置ける。装置サイズで言えば、幅1.83×奥行2.46×高さ2.33m(設置スペース=0.68坪)。安全柵もいらない。

製品化したPSSが最大の売りにするのは「極省」だ。既存の生産ラインに追われるように設けられた狭い製品出荷スペースにも置けることから、食品事業者を中心に実績を伸ばしてきた。

2019年に発売した「PAL-AH01A」は、パレットとカートン(箱)がそれぞれ独立して持ち上がる機構を採用。水平移動だけでカートンの配置をできるようにしたことで、パレットへの積載スピードを大幅に高めた。3kg以下の箱(ワーク)の処理速度は1分あたり12個。20kgでも5個対応できる。

高橋吉徳営業部長は、「重量物の持ち運びは腰に負担がかかることから、スタッフが定着しにくい。積み上がるほど辛くなるうえ、ある程度力がなければできない作業。『ただパレタイザーを導入しようにも、従来の装置は高さも装置サイズも大きくて、スペースの確保が難しい』との声を受けて開発した」と話す。

パレット上の積載位置は、置きたいところ(座標)に吸着ヘッドを移動させて記録する「ダイレクトティーチング」で登録する。最大100パターンまで記録できるため、「複数サイズのカートンや仕向け先による積載パターンの違いにも十分対応できる」という。

事前に積載パターンをプログラムに登録しておけば、エアーと電源を接続するだけで、納入した日からすぐに使えるのもポイント。リモート装置を内蔵したことで、技術者が出張しなくても、不具合の原因が分かるようにした。

上面吸着に使用する装置の取付金具は、カートンサイズに合わせて自社で設計。小物軽量の多数個搬送であれば、「処理速度は毎分12個よりも多くなる」そうだ。

「長物の紙袋であれば、すくうような形状にすることで対応できる。一品一様の産業機器を手がけてきた当社にとって、改造や改良はお手の物。装置の標準積載高さ(1550mm)を超える場合でも、装置高さの延伸で対応できる。カートンの数、サイズ、重量が分かれば、ある程度の見積りが出せる」

パレタイザーの原型は仙台市の某顧客用に開発した専用機。「納入したお客様から『工場見学者の評判も良い。売れるのでは』との後押しもあって製品化した」という。発売後、FOOMA、フードテックジャパンなど、食品関係の展示会を中心に実演した。

しかし、高橋部長は「結果的に食品業界で実績が伸びているものの、業種に関係なく、狭いところで製品出荷している現場に使っていただきたい」と話す。3月に開かれる国際物流総合展では、パレットからの積み下ろしが可能なデパレタイザーも参考出品する予定だ。

マテハン提案大解剖 <終>

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