活用の場 広がるパワーツール

「電気」「油圧」「エアー」を駆動源にするパワーツールは高出力化やバッテリーの大容量化、安全性の強化が進み、活躍のフィールドを広げている。近年、その取り回しのよさを訴えようとメーカー各社は、動画での情報提供に力を入れている。本特集ではアンケート結果などをもとに、一挙に14社のイチオシを紹介する。

【画像1】タイトルイメージ
【画像2】パナソニック、宮川工業、育良精機
【画像3】マックス、ロブテックス、東日製作所
【画像4】室本鉄工、日東造機、ベッセル
【画像5】西田製作所、明治機械製作所、日東工器

大容量バッテリー搭載コードレス

コードレスで狭所も高所も

【パナソニック】インパクトドライバー「EZ1PD1」

パナソニックは2021年より電動工具ブランドを刷新し、新ブランド「EXENA」を立ち上げた。若手職人からかっこいいと思われるようなブランドを目指し、カタログや動画、展示什器などを一新した。

併せて、8月に発売した98mmという業界最短ヘッドサイズ(国内メーカー14.4V/18Vクラスで昨年6月時点)のインパクトドライバー「EZ1PD1」は、建物の改修工事の増加に伴う既設の設備・配管がある入り組んだ場所や狭所での作業に対応する。

インパクトドライバー本体に固定できる自在アタッチメントは、現場の状況に合わせて選択可能。これひとつで様々な場所・作業に対応できる。第一弾として狭所、隅、壁際などに対する2種類のアタッチメント(アングル/スミ打ちアタッチメント)をラインアップ。今後、さらに拡充していく考えだ。これらは本体の目印に合わせて差しこむだけで簡単に装着でき、作業環境に応じて8方向に取り付けできる。



【宮川工業】コードレス電丸くん(MGR-18EV)

宮川工業の「コードレス電丸くん」は、橋梁・鉄骨・造船などの鋼板の端縁にR面取り加工を行う電動式R面取り機「電丸くん」のバッテリー式。電源が確保しにくい、造船などで大型構造部材が組み上がった後の追加工、急な補修作業などの電源を用意するのが手間となる場合、あるいは橋梁などの発電機が持ち込めない高所などに向けて開発した。

面取り加工を行うと塗料が均一に付き、塗料クラックの発生を抑え、水分や塩分による腐食を防ぎ、優れた防錆効果を得られる。通常のサンダーでもR面取りはできるものの、時間がかかるうえに、塗装ムラが起こりやすかった。それを解決するのが「電丸くん」シリーズ。「R面取りに特化しているからこそ、適切な使い方の説明から故障時のフォローまで迅速に対応できる」という。船舶バラストタンク塗装性能基準(PSPC)対応製品として、超硬Rチップ付カッターで均一に仕上げられる。

コードレス仕様は、面取り量R3、重ね加工最小板厚9mm、最小加工半径R17とした。本体重量は2.7kg(バッテリー別)。



【育良精機】コードレスパンチャー

小型大容量バッテリー式ツールの開発に力を入れ、コードレス化を進めている育良精機のコードレスパンチャーシリーズは、現場での穴あけ作業時に電源が不要となり、作業効率の向上が見込まれる。36Vバッテリーを採用することで、最大SS400相当が板厚9mm、SUS304相当が6mmまでスムーズな穴あけが可能。中でも、ヘッドの角度を0から90度まで調整できるバリアフリーパンチャーが人気。既設材などがあって狭い現場の状況に合わせてヘッド角を調整できる。

そうした充電機器や電動工具が増えたことで、コンセントが足りないという問題がある。その際、延長コードなどを使用することで電圧が降下し、電動工具の寿命が短くなったり、壊れやすくなることがある。そうした問題を解決するのが同社のポータブルトランスシリーズの「PT-23SU」だ。電圧降下によるパワー不足を製品を介して昇圧することで解消できる。今回のモデルは15%、30%アップの二段階。現場の状況に応じて昇圧できる。製品上で出力電圧・電流を確認できるため、テスターいらず。また、プラグにコンセントを差し替える必要なく、スイッチひとつで昇圧の段階を切り替えられるのもポイント。



■補助金採用で需要拡大か

【マックス】ツインタイアウォーカーモデル「RB-400T-E」

「やっと厚生労働省のエイジフレンドリー補助金や中小企業庁の事業再構築補助金での採択事例が確認できた」というのは、11月に80周年を迎えるマックスの充電式鉄筋結束機のウォーカーモデル「RB-400T-E」だ。これまでにも労働安全衛生の観点から欧米を中心に需要が拡大していた本製品。国内の需要拡大に向けて「もう一押しあると嬉しい」と考えていたところに、嬉しい知らせが入った。高齢者の労働災害を減少させることを目的に、製品効果を確かめ、公表している厚生労働省の「高年齢労働者安全衛生対策実証等事業」に選定されるなど、実績を積み重ねた結果だ。

従来の作業工具「ハッカー」を使用した手締結では、しゃがみこんだ姿勢を長時間強いられ、腰への負担が大きかった。同製品はハンドルを両手で持ち、腰を曲げてかがみ込むことなく、立ったまま作業ができる。先端を鉄筋に当てることで自動作動するため、歩きながら順次結束可能。手締結と比較して腰痛リスクに係わる腰部椎間板圧縮力を約40%、筋肉活動量による消費エネルギー約85%低減できるとの検証結果もあり、作業の快適性の向上と省力化につながる。

「作業員の高齢化、人手不足、夏場の作業効率低下を補うためにも、機械化は必要になってくる」という。



■工場内で進むエアーレス化

【ロブテックス】コードレスリベッター「R2B1」

「世界的なエアーレス化の流れは着実に進んでいる」そう話すのはロブテックスだ。「欧米を中心にエネルギー消費の多いコンプレッサーの使用が忌避されるようになっている。国内ではまだまだそうした流れは道半ばであるが、今後そうした流れに追従していくことになると思われる」という。

同社のコードレスリベッター「R2B1」はエアーリベッター並みのハイスピードリベッティングができる製品。従来はエアー駆動が主体であったファスニングツール分野にもバッテリー駆動(コードレス化)がめまぐるしく進んでいるようだ。バッテリー駆動ながら、リベット締結サイクルタイム(トリガーを引いてから打ち終わるまでの時間)が同社最速のエアーリベッター「R1A1」と同等の0.8秒。コードレスリベッター従来機種「R1B1」と比較しても、作業性が2倍に向上する。

その性能ながら、重量はR1B1より10%以上(200g)軽量化した1.7kg。リベット保持機能付きノーズピースを標準装備したことで、セットしたリベットを手で抑える必要がなく、下向き作業を楽に行えるようになった。

今後については、「現状ではエアー源のない現場作業や屋外作業からの引き合いが多いが、エアーと同等の作業性や取り回しのよさ、設備制約のない柔軟な対応力といった観点から、工場内での使用にもPRしていきたい」という。



■トルク測定もコードレスで

【東日製作所】全自動トルクドライバー「PTA-BT」

東日製作所のピストル型のバッテリー式全自動電動トルクドライバー「PTA-BT」シリーズは、締付けトルク2-5N・mと4-10N・mの2機種。従来製品(HATシリーズ)では締結完了信号の取得だけであったが、PTA-BTはトルクセンサーと角度センサーを内蔵したことで、締付けトルク・角度が計測・表示可能となった。ブルートゥース通信で締付けデータの送信、無償の設定ソフトをダウンロードしたPC上でトルク、上下限値、角度、トリガートルクの設定が行える。そのため「2度締め検出によるポカミスの防止(ポカヨケ)や締付け時のかじり(焼き付き)などによる回転角不足でのトルクアップの検出となり、信頼性の高い締結が可能」という。

同社は3月、主なトルク機器を網羅した最新の価格表付カタログ「東日トルク機器総合製品案内2022・03」の無料配布とPDFダウンロード、電子カタログの掲載を開始した。1月から主要機械式トルクレンチがISO6789:2017に対応開始したのに合わせ、概要と校正証明書の変更や型式名(仕様)の一部変更などの対応内容の解説を掲載。業務で直ぐに役立つ「東日トルク講習会」の2022年12月末までのスケジュールと申込書も含まれている。



「愛用」される魅惑のツール

工場から電気工事、金属加工まで

様々な業界で使われるパワーツールだが、用途に応じた多様な提案が見られることも魅力のひとつ。現場ごとに愛用されている製品を見ていこう。

【室本鉄工】引き型スライドユニット一体型エアニッパ「SUH30N-MS30G」

エアーニッパなどのエアーツールを数多く開発・生産している室本鉄工は、「自動車部品の中にはエアーニッパを使用するものがたくさんある。樹脂成形品をはじめ、ワイヤーやさまざまな場所に使われるモーターの巻線切断まで、EV化が進んでもエアーニッパの需要は拡大していく」と話す。

同社の引き型スライドユニット一体型エアーニッパ「SUH30N-MS30G」は、大物の射出成形品のゲートをカットする際に、スライドユニットを引きよせ、エアーニッパの刃をワークにできるだけ沿わせるようにすることで、ワークのゲート跡を小さくする。これまでにも自動車のスイッチなどの小さな部品向けの製品はあったが、バンパーなどの大きなものに向けたこのような製品はなかった。

射出成形品取り出し機メーカーからのニーズに応え製品化にいたったとのこと。自動化が進む自動車産業において、ロボットの使用は必須であり、アームロボットなどと組み合わせた際、プログラム変更よりも簡易的にワークに寄せることができる。

最大ストロークは10mm、刃開き調整機能もついている。ニッパエアー供給口は側面から底面に変更可能で、設置方向を問わない。別作替刃や別作ユニット(押し型)も製作可能。



【日東造機】小型アングル加工機「FM-30」

日東造機の小型アングル加工機「FM-30」は、工場内設備としてだけではなく、本体と油圧ユニット別々のセパレートタイプで、現場にも持ち運びやすい。「加工時に火花が出ないのも特徴。解体現場でも安全に使用できる」(同社)。

標準セットだけで、ステンレスアングル75×板厚6mmの加工が可能。Vノッチ・コーナーカット金型とベンダー金型が組み込まれているため、金型交換作業なしのレバーの切り替えだけで、5種類(Vノッチ・アングルベンダー・90度コーナーカット・スミ切り・穴あけ)のアングル加工ができる。また、ランプベースを調整することにより、位置あわせが簡単に行えるなど、操作性に優れ、作業の効率化に寄与する。



■電気工事向け

【ベッセル】「電ドラボールプラス」

これまでに約80万台以上出荷しているというベッセルの電ドラボールシリーズ。愛用する職人からの要望に応えるため、改良・改善を積み重ねてきた。4月からは「電ドラボールプラス」を新たにシリーズに加えた。スピードを低・中・高、それぞれ毎分280回転/1.2N・m、毎分340回転/1.6N・m、毎分400回転/2.0N・mの3段階に切り替えることができる。ギヤ部とボディの強度を従来比20%アップしたことで、手動時のトルク12N・mを実現した。重量は170gとこれまでとほとんど変わらず、余分なものを持ち歩きたくない職人たちの心を掴む製品となっている。

本モデルから落下防止コード取り付け用穴を採用。高所作業でハーネスなどを身に付けて作業する職人は、身動きが取りにくいこともある。そうした状況でも落下を気にせず、安心して使用できるような工夫がなされた。

それに合わせて、高強度・高弾性のアラミド繊維の、磨耗・引っ張りに強い落下防止コードも発売した。最大荷重1kg、最大伸長1600mm、色は黒、赤、青などの4色。



【西田製作所】充電式油圧工具(「NC-AVA250」、ケーブルカッタヘッド、アングルカッタ)

「個性的で、当社しかない、独自の製品作りがモットー」と語るのは油圧工具メーカーの西田製作所の西田浩巳社長。電設業界の市況感について「コロナ禍でもそこまでの落ち込みはない。仕事自体はそこそこある。2025年の万博、そこへのインフラ投資、ホテル投資、万博以降もIRなど大きなイベントがある。そのため、先々へのマインドは明るい。しかし、足元の物不足や材料費の高騰によって少し躓いている」と話す。

同社の充電式油圧工具「NC-AVA250」シリーズは、36Vブラシレスモータを搭載したマルチパワーツールだ。最大の特徴は250㎟端子の圧着を7秒台(戻し前の計測平均値)で完了できる圧着性能。このスピードは「世界最速」だという。

本体重量は4.3kgと軽量化。別売りのAC100V変換アダプタを用いれば、充電・電動兼用機として連続稼動にも対応する。同社が「驚異的」と表現する圧着回数も特徴のひとつで、4.0Ahバッテリーの場合、14㎟端子で1017回、250㎟端子で229回の圧着が可能(新品バッテリ・フル充電時)。ケーブルカッタヘッド、アングルカッタなど、「業界最多」という各種マルチヘッド(いずれも別売り)にも対応する。



【明治機械製作所】エアーケーブルタッカー「MACT-10」

これまで電工ハンマーでしか施工方法がなかった絶縁ステップルの打ち込みをエアー駆動でできるようにしたのが、明治機械製作所のエアーケーブルタッカー「MACT-10」だ。手打ちでは1本10秒かかっていた作業を1秒に短縮することができると言う。

安心・安全設計も特徴で、ステップルがマガジンに正しい向きに装填されている間だけ、マガジン内部にあるロックアウト機構が解除され、コンタクトアームが押せるようになり、コンタクトアームをワークで押すとステップルが発射可能になる。ただし、コンタクトアームを押し込まなければ引き金が引けない機構を採用しているため、作業時以外に誤ってステップルが発射される危険がないなど徹底している。また、打ち込みすぎを防止するための専用ステップルは、独自の樹脂部品を取り付けた構造を採用。樹脂部がストッパーとなってステップルを傷つける危険性がない。ケーブルの種類によって三種類のステップルを用意することで、安心して打ち込める。



■金属加工業界向け

【日東工器】空気式高速多針タガネ「JT-10」

2月に発売したばかりの日東工器の空気式高速多針タガネ「JT-10」は、ジェットタガネシリーズ最少・最軽量を実現した、手のひらサイズの新感覚はくり工具。小さい部品やボルト隅などの局所的な加工ニーズに対応する。直径1.6mmの細径ニードルと打撃力調節機能が繊細なはくり作業を可能にする。ワークにキズを付けたくない塗装はがし、ダイカストのバリ取り、サビ取り作業に最適だ。

防振手袋をしていても握りやすいグリップ径21.5mm、本体質量500g(エアホースを含む)により、長時間作業の負担をぐっと軽減する。また、セフティバンド折り曲げ部を指先で押し込み、ロックリングを緩めることにより工具なしでニードルを交換が可能。創業以来、「省力化・省人化」へ取り組み、人と環境に対する負荷の少ない製品開発を進める同社らしい製品だ。

発売されてから間もないが「ここまで小さいものはなかなかなかったため、引き合いはかなり多い」と言う。

(日本物流新聞 2022年4月25日号掲載)

関連記事

mt:ContentLabel>サムネイル

最新CAD/CAMが導く劇的「生産性向上」

近年、3DCAD/CAMによる設計が急速に拡大している。加工データの3D作成は、...

mt:ContentLabel>サムネイル

まだ高まる鍛圧機械の生産性

生産設備にIoT、AIなどのデジタル技術が活用され、生産性のさらなる向上に期待が...

mt:ContentLabel>サムネイル

山形カシオ×ハイオス「Made in Japan貫く」

さくらんぼや西洋ナシ、アケビなどの果物収穫量で全国一を誇り、すべての市町村に温泉...

mt:ContentLabel>サムネイル

工場環境向上のすすめ

少子高齢化の最前線をひた走る日本。中長期的な生産年齢人口の大幅減少が見込まれるな...