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モノづくり入門

いまさら聞けないモノづくりの基礎知識

第1回 機械加工とは

モノづくりの世界に関わりながら、機械加工って何だっけ?とは「いまさら聞けない」問いの一つでしょう。当欄ではもう人に聞けないけれど、身に着けておきたい基礎知識をシリーズでお伝えしていきます。

マシニングセンタによるタービンブレードの切削。除去加工にあたる。

その第一回目として「機械加工とは」です。これは、機械や切削工具などの物理的なツールを使って材料をメカニカルに(物理学的に)加工することを指します(非接触の放電加工やレーザー加工と対比されることが多いです)。金属などを削る、曲げる、切断する、絞る、研削する…これらは全て機械加工です。だからそう、機械加工は工作機械がそのほぼ全領域を担っていると言えるでしょう。  

機械加工は除去加工(削り取る)、成形加工(変形させる)、付加加工(材料を加える)などにカテゴライズできますが、今どきの工作機械は除去加工しながら付加加工機能も合わせ持つといったマルチタスクマシンが増え、ひと昔前の「機械加工」が指した世界は、ずいぶん変わってきました。  

機械加工のビジネスとしてのポイントは、今もQCD(品質・コスト・納期)を高めるべく機械の能力を最大化させることでしょう。切削型機械加工の場合、各種金属材料に合った適切な加工条件(回転数、切り込み量、送り量、切削工具の選択と動作軌跡など)を設定し、それもできるだけ条件を高くします。しかし材質や形状によってはスイートスポットといわれる好条件の幅が極めて小さく、無理な条件ではうまくいかず、安全性を損なう場合もあります。経験値を活かし、過去のデータ等を分析しながら、加工条件と加工方法のベストを選び、荒取り加工・中仕上げ加工・仕上げ加工と段階を経てモノづくりを完成させます。  

仮に機械加工がこの世になければ、クルマも家電製品も、大量生産型のおもちゃも作れません。歴史は、機械加工(工作機械)のレベルが高い国・地域ほど、優れた産業や製品を生み出してきたことを証明しています。日本やドイツの自動車しかり、スイスの時計しかりです。  


■機械加工、現場のキモチ  

仕事同様、機械加工も量をしっかりこなすことが上位のテーマ。だから自動化したり、深夜・土日の稼働を行うケースが増えています。特に量産物を作る工場は機械の停止を嫌うところが少なくありません。取材先候補の工場長から「いま赤が多いから、見せたくないんだよね」と言われたこともありました。最初ピンと来ませんでしたが、機械に取り付けた信号灯(正常稼働時に緑、停止・異常時に赤などを点灯)から低稼働と察せられるのが嫌だ、ということなのでした。