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モノづくり入門

【第9回】いまさら聞けないモノづくりの基礎知識 

投稿日時
2025/02/07 13:19
更新日時
2025/02/07 13:23

歯車加工と加工機

当欄では取材で気づいた「現場のリアリティ」も交えながら加工などの基礎を平易に綴ってきました。

しかし「歯車加工と加工機」はこのやり方が通用しそうにありません。それだけ知るべき基礎だけでも奥が深く複雑です。言えるのは、昨秋の工作機械見本市(JIMTOF2024)で大手/専業工作機械メーカー、研究者、関連協会まで盛んに歯車加工技術をみせたように、減速機や変速機に使われる「歯車(ギヤ)」という古くて新しい動力伝達部品はいま、すごく注目されていることです。ロボット、半導体製造装置、そしてEV用を対象に、歯車工作機械は機種によって今年末までの5年間で2.3倍に市場が膨らむとの試算もあります(富士経済、昨年12月)。その一方、中小零細の歯車加工業者は後継者難もあり淘汰にさらされ。要は簡単に捉えられません。

歯車は刃とかみ合わせの形状で多種があり、各々記すだけでも当欄のスペースが足りません。加えて加工法もさまざま。旋盤加工後にホブ盤で歯車全体を少しずつ削り出し、シェーパー(形削り盤)で歯の表面を整える創成法がオーソドックスなやり方の一つですが、別の一般的アプローチには刃を一つずつ削り出す成形法もあります。また転造盤による歯車成形もあれば、複合加工機・5MCで溝をそぎ落としていく工程集約型のギアスカイビングも注目されます。ただスカイビング加工を提案する機械メーカーの幹部でさえ「マシニングのスカイビング機能であらゆるギヤを作れるほど甘い加工でないことは承知」と回答するくらい、やはり奥が深い。

歯車加工の今の主戦場であるEV市場に着目すると、ここでは滑らかでノイズの無い高精度な歯車が要求されます。クルマの静粛性に寄与でき、エネルギー伝導能力向上による航続距離の増加が見込めるからです。加えて歯車の小型化や、EV初速の高トルクに耐えられるタフさも必要です。自動車各社はこのあたりの研究に注力中です。

歯車加工機全体についていえば、ホブ盤、面取盤、シェービング盤、歯車用ホーニング盤、同研削盤、複合加工機、マシニングセンタ、転造盤など多くの加工機が歯車加工を巡って連係プレーしたり、バチバチとしのぎを削っています。


歯車機械、厳しい要求で進化


EV用歯車は、焼き入れ後にホーニング盤や研削盤で仕上げる工法に移行しています」とはギヤシェービングマシンで高シェアのK社幹部。以前はシェービング盤で歯を仕上げたあと焼き入れしていたけれど、焼き入れ後の形状の歪みをコントロールする必要からプロセスが変わっているそう。またロボットの関節に用いる場合はバックラッシを限りなくゼロに近くする(ゼロだと逆に歯車が回らない!)微妙な仕上げが要求されます。「厳しい要求があるから技術が進化できる」とこの幹部氏、チャレンジャーの目でした。

(日本物流新聞2025210日号掲載)