モノづくり入門
【第6回】いまさら聞けないモノづくりの基礎知識
- 投稿日時
- 2024/12/09 16:25
- 更新日時
- 2024/12/09 16:27
マシニングセンタ【Part.1】
今回、次回とマシニングセンタ(以下MC)を取り上げます。多くの機種がある工作機械(JIS分類で約150種!)の一つですが、販売額で全体の約4割を占め、市場はMCが中軸です。ちなみに前回、前々回と当欄で取り上げた旋盤の販売シェアは約3割。旋盤とMCが工作機械業界の東西の横綱といえます。
MCの定義はJISに定められていますが、とりわけ定義の中にある「複数の切削加工ができ…」がMCを特徴づけます。複数の加工を行うため例外なく工具交換装置「ATC(オートツールチェンジャー)」を装備。MCはフライス盤の発展形といえますが、ATCを備える点がフライス盤との最大の違いです(一部、ATC付きフライス盤の名で販売するメーカーもありますが)。
MCは現場が求める「工程集約」を具現化したといえます。フライス、穴あけ、中ぐりなどの様々な加工に加え、機械ベッドに垂直に取り付けた立方体の治具(イケール)を利用しての横形MCによる多面加工など、使い方によって能力を多様に発揮します。
だから「多機能な工程集約機」なのですが、しかし時代感覚から言えば、会話・メール・ウエブ閲覧等ができる電話(スマホ)をいまさら多機能フォンなどとは呼ばないように、普及したMCを指して多機能・工程集約マシンと強調する時代は過ぎたようです。それでも積層造形(3Dプリンター)、ウオータージェット、レーザーといった異なる機能を併せ持つタイプも登場し、MCの加工領域は拡大の一途。歯車や研削など他の工作機械が担う分野もMC一台である程度代替可能になりました。またAPC(オートパレットチェンジャー)、ロボット、ローダー等を使ったワークの自動着脱で長時間自動加工もでき、近年は「MCの稼働は毎月600時間以上」という町工場も少なくありません。この場合、計算すると休み(非稼働時間)は均して一日3時間ほど。人だと経営者即逮捕の超ブラックな働きをしていることになります。
つまり工程集約を導いたMCは自動化・無人化でも牽引役。その進化は普及する5軸MCによって加速しており、次回は5軸MCにフォーカスしてみます。
進化と尻込み
MCの新機能に対しては一面、ユーザーが尻込みする場面もあるようです。次回取り上げる5軸MCも「使いこなすのが難しそう」、「慣れた3軸機の増設がいい」といった声が依然寄せられるよう。某工作機械メーカーの幹部は「中国人は新機能を持つ機械なら真っ先に買いだと身を乗り出してくる。日本人は、これ皆さんに好評ですか?と横並び的な質問が多いですね」そうボヤキの口調でした。