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モノづくり入門

【第42回】いまさら聞けないモノづくりの基礎知識 
DXモノづくり ――昨日・今日・明日――(1)

投稿日時
2026/07/23 15:00
更新日時
2026/07/23 15:03

前回、現場に欠かせない治具を見ました。今号からは、今から欠かせなくなるDX(デジタルトランスフォーメーション)にフォーカスします。DXは04年に海外で提唱されたとの説があり、随分長い関心事です。日本では「基幹システムが旧来のままだと年間最大12兆円の経済損失になる」と記された、19年発表の経産省DXリポートあたりから一般にも関心が高まりました。ちなみに損失が出る時期を同省は当時25年としており、今もDXで遅れをとる我が国には喫緊の課題です。

言うまでもなくDXのX=トランスフォーメーションは、仕組みを根っこから変える「変革」を指します。デジタル化とDXの違いはさんざん言われてきましたが、おさらい的に例をいえば、名刺情報をスマホに入れて使うのはデジタル化。デジタル名刺情報につなげた顧客の購買履歴やニーズ等もろもろデータを使って組織営業(等)の在り方まで変えるのがDXです。2つの違いは明らかとされます。

ただデジタル定着のいま、データ活用に向け行動を変える程度では「変革」と呼べないかも。それにDXのレベルそのものも違っています。余談ながらレベルの時系列的な違いは、加速度的に変化する時代にあってDXに限らず見られます。身近な省エネでも、エアコン2027年問題が象徴するように、10年前の省エネエアコンの一部が今や「増エネ機器」扱い。製造不可ともなるのです。

そういう意味でDXも、レベルや活かし方の変化進化を「昨日・今日・明日」で捉える必要がありそうです。

国内モノづくりのDXに限れば、残念ながら「昨日」止まりの面があります。経産省は以前から国内製造業について「現場のオペレーションと工夫でやりくりし、(DXはじめ)最新の設備導入を実施しない状況に」などとリポート。また日本はサプライヤー層がタテ・ヨコともに厚く、以前はこれが強みでしたが、現実問題として特に下位サプライヤーとのデジタル連携が技術的・経済的にとりにくく、DX化がサプライヤー全域に浸透していません。非連続で発展する世界の製造業DXにあって、連続進化を続ける日本製造業が置き去りにされる一面が浮かびます。

しかしDXは、自社の、あるいはサプライヤー全体の「強み」を活かす方向で使えます。次回は国内モノづくりがどのようにDXを活用しているか。その「今日」をみます。




潮流に乗る


前にも当欄に記しましたが、後発優位性はモノづくりの世界にあてはまります。平たく言えば、今のシステムより10年後の最新システムを先々で導入するほうが圧倒的な競争優位に立てるでしょう。最新は次代の最新に駆逐される運命です。ただ、やや論理矛盾ながら、技術の高度化を待つ姿勢で成功した例はまず聞きません。DXしかり。当初から潮流に乗って力を伸ばし、さらに次代の技術も取り込む姿スタイルが大事でしょう。





(日本物流新聞2026年7月25日号掲載)