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モノづくり入門

【第37回】いまさら聞けないモノづくりの基礎知識 
スピンドル

投稿日時
2026/04/24 16:25
更新日時
2026/04/24 16:29

前回、ツーリングを概観しました。今回は「スピンドル」に目を向けてみます。

スピンドルは以前当欄で取り上げた機械要素の一つで、工具やワークを回転させて切削、穴あけなどの加工を行う「工作機械の最重要要素」といえます。機械主軸とほぼ同義語ですが、回転運動時のスピードや真円度の高さを問う場合、主軸が云々などとは言わず「スピンドル」の性能がフォーカスされます。

大手工作機械メーカーは「コア要素」としてスピンドルを内製する傾向ですが、スピンドルには現在のメインストリームであるビルトインモーター式のほかギア式、エア式、ベルト式などがあり、専業メーカーからの調達やOEM供給で機械に搭載する例は少なくありません。市場プレーヤーは機械メーカー(内製)、専業メーカー、また関連技術を持つ企業の事業部門と数多くあります。ただ市場の規模や状況はメーカーに聞いてもネット・図書館で調べても判然としません。市場規模については工業会として会員メーカーのスピンドル生産額等をまとめているところもありますが、会員外や前述の内製分が大きくやはり見えにくい。国内600億円前後との試算もありますが…。

さて、スピンドルのキモはなんといっても真円度でしょう。高精度な「真円の回転」が問われ、2桁ナノの真円度を実現するスピンドルもあります。

次に重視されるのは回転数やトルクでしょうか。回転数とトルクはおよそトレードオフの関係にあり、スピンドル個々の特徴を知ったうえでの評価が大事です。例えばMC加工の場合、最終段階で切り込みを浅くした高速ミーリング(仕上げ加工)がよくなされますが、この加工ではトルクはさほど必要とせず、回転数重視です。高速スピンドルに対し「トルク不足で使えない」の声がたまに聞かれるけれど、これは使い方がミスマッチなこともあるようです。

先端の冷却技術によって熱膨張を抑え込んだり、AIでスピンドルの形・性能を各種加工内容にマッチするものに再設計したりとスピンドルはしっかり成長中。言うまでもなく、これらが今後のモノづくりに貢献します。




餅は餅屋――試食を!


かつて某スタートアップのスピンドルを定期取材しました。工学教授から太鼓判をもらい、一部ユーザーで高評価。しかし簡単に拡販できません。起業したての小規模メーカーゆえにアフターフォローできるのかなど、買い手はリスクを感じ引き気味。そうした際、国内最大手の自動車メーカーが一部加工ラインに同社のスピンドルを試験採用し、後日、成果を認め採用を増やしたことで事業が軌道化しました。この試験採用なかりせば事業継続できなかったかも。スピンドルに限らず新規参入にはこのような厳しい壁が立ち塞がります。「餅は餅屋」を認めて試す行為が、新たな技術進化をうながします。



(日本物流新聞2026年4月25日号掲載)