モノづくり入門
【第36回】いまさら聞けないモノづくりの基礎知識
ツーリングのあれこれ
- 投稿日時
- 2026/04/10 14:34
- 更新日時
- 2026/04/10 14:42
前回まで連続して切削工具について記しました。今回は関係の深い「ツーリング」の番です。ただし筆者に書けることは「いまさら聞けない基礎」よりもっと初歩のこと。今号は4月入社時期なので業界未経験者向けレベルでご勘弁(汗)。
さて金属切削加工は、工作機械と切削工具が車の両輪といわれてきました。双方とも同じベクトルで日進月歩し、精度でもスピードでも協力して進化をもたらしているからです。でも一つ見落としがあります。そう、機械と切削工具を結ぶ機器が必要で、これがツーリングです。

機械主軸とドッキングし、かつ反対側で工具をしっかり把持する「つなぎ役」。およそ主軸側のつなぎ部分をシャンクと呼び、工具を把持する側をホルダと呼びます。
シャンクは、ちょうど電気コンセントが国によって(あるいは家庭用・産業動力用で)形が異なるように、主軸規格によって形状違いがあります。なじみの深い日本発の標準規格BTシャンクはテーパー部を密着して接続し、BBT形やドイツ生まれ中空タイプのHSK形は2面拘束が基本仕様です。それぞれクランプの在り方が異なるわけです。
このうちBTシャンクでいえば、機械主軸の直径サイズにあわせてBT30番が小型マシニングセンタ(MC)用、BT40番は中型MC用、BT50番は大型MC用と分かれます。MCの大きさはこのBT番号で伝えるのが便利で、例えば「うちにあるMCは30番が5台、40番は1台だヨ」などと話すのが標準的です。
一方、工具を把持するホルダ部も、クランプの仕方でいくつかの種類に分けられます。スリットの入ったコレットで工具全周を締め付けるタイプ、ニードルベアリングで保持するタイプ、金属の熱膨張と収縮を利用して工具を把持するする焼きばめタイプ…。
優劣は一概に言えませんが、同じコレットタイプでも焼きばめ式でも、各メーカーへの市場評価は違いがあると感じます。「〇国製の粗悪品のせいで、○○ホルダ全体の評判も落ちかねない」といった声も過去何度か耳にしました。
信頼のおける販売店を通じ、優れた工作機械・ツーリング・切削工具を最適マッチングで選びたいものです。
ツーリング選択——市場に聞け
個々のツーリングの性能は分かりづらいかと思います。見事な切削加工ができたとして、まず機械がいいか、切削工具のおかげかと考えるでしょう。実はツーリングの貢献度が大きかったりしますが、なかなか表彰台には乗りません。干渉回避の形状や精度等で各社違いを出していますが、精度だと刃先の振れか全体の振れかで実際に議論もあります。ただ精密金型は○タイプ、量産加工用は〇タイプと市場サイドである程度自然に選別されています。迷ったら現場を知る販売商社に聞くのがベターのよう。
(日本物流新聞2026年4月10日号掲載)