モノづくり入門
【第13回】いまさら聞けないモノづくりの基礎知識
- 投稿日時
- 2025/04/10 09:11
- 更新日時
- 2025/04/10 09:14
その他工作機械
今回は「その他」の工作機械に目を向けてみます。
モノづくりの主要工程になることの多い機械加工(金属加工)は工作機械によって成されますが、その工作機械はマシニングセンタ(MC)や旋盤を代表格に、前回当欄で取り上げた専用機など様々な機種が300ほどもあります。そこで、多くの機種は統計上「その他」として扱われています(日本工作機械工業会の会員統計での扱い)。
「その他」といえば、一般的に端っこのわずか少数を指すことが多いですが、工作機械の場合、「その他」で全体の8%~10%を占めるので(受注ベース)見落とせません。 それも従来の工作機械の範疇に入らない新規性の高い機種がこのなかに隠れています。

金属AMによる時計部品
その他工作機械の横綱格は「レーザー加工機」です。「その他」市場の半分ほどを占めます。切削加工とは異なる特殊加工のマシンが「その他工作機械のトップ機種」であるのは興味深いと言えましょう。なお、レーザー加工機の将来成長性は大いに期待され、レーザー加工機を「その他」から独立させようとの議論も出ています。
レーザー加工機に続く「その他」の2位以下については、年によって機種が異なり「この機種、あの機種の比率が高いなどとは言えない状況」(関係者)とのことですが、金属AM機やウオータージェット機(WJ機)など将来の逸材(?)がこの「その他」の中に散見されます。ちなみにWJ機は日工会非会員メーカーが業界の雄で、日工会の統計数字にはほぼ乗ってこないとのこと。
いずれにせよ「金属加工は工作機械で削るもの」という固定観念を超える機種が「その他」のなかに複数含まれます。特に、これまでの除去加工に対し「付加加工」を実現するAM機は、いくつかの「タラレバ」(付加加工を前提にした設計が広まれば、部品等の信頼性が担保されれば、普及に伴い金属パウダーの価格が低減したら等)が実現すれば、市場も大いに広がると見られます。
難しい統計の在り方
今回はモノづくりの基礎というより「その他工作機械」について統計をベースに記してみました。
付言すると様々な機能が工作機械に加わるなか、明瞭な統計結果は出しにくくなっています。MCのなかにAM機能がある場合、これをMCとして扱うか「その他工作機械」として扱うかははっきりせず、主要機能をベースに各社で判断しているのが現状。またレーザー加工機は日本鍛圧機械工業会でも統計カテゴリーの一つにしており「正直、一部は工作機械統計と2重でカウントされている面も否めない」とのこと。
この点、経産省統計は分類が明確ですが、業界では日工会、日鍛工の数字が一番の指標になっているので馴染みにくい…。結論的には、細かなところは置いておき、状況をしっかりつかむ統計の読み方が大事と言えます。
(日本物流新聞2025年4月10日号掲載)