モノづくり入門
【第12回】いまさら聞けないモノづくりの基礎知識
- 投稿日時
- 2025/03/21 17:39
- 更新日時
- 2025/03/28 17:57
専用機を知ろう
これまで当欄では金属加工を担う工作機械とその役割を、取材先の声も交えながら旋盤、マシニングセンタ(MC)、研削盤などと主力機種に分けて記してきました。
今回は「専用機」に着目してみましょう。
約300種もある工作機械の多くは広義において「専用機」と捉えられますが、ここでいう専用機とは、ある特定のワークを大量生産するために作られた専用の工作機械を指します。実際、専用機は機種のカテゴリーの一つになっています。
そのマーケットは工作機械全体の2%ほど(受注額ベース)に過ぎず、要は小さなマーケットですが、自動車産業を中心に量産分野を支える機械として欠かせません。

例えば自動車向け専用機は、主にコンベヤラインや円周状に複数を配置し、流れ作業のなかでステーションごとにフライス、穴あけ、中ぐり加工などと順次行ない、部品の大量生産を実現します。
最終ステーションで完成品になるわけです。各ステーションは単機能で仕上げてあり、扱いやすく、過酷な連続作業に耐えられるタフさも持たせています。
ただ特定部品の加工に絞った顧客仕様のため、部品が変更されると全体を作り直すことになりがちです。そうでなくても仕様に合った大掛かりな段取り換えが欠かせません。
状況を見ると、主要顧客である自動車産業は、今後の主流がHVかEVか、いやガソリン車の見直し評価か、などと不透明で様子見ムードが強く、この数年、量産向け専用機は工作機械業界の中でも苦戦が目立ちました。しかしクルマの量産方向が決まれば再出番となりそうです。
他方、モノづくりのプロセスを見ると、専用機を活用しての大量生産に対し、多機能型のMCなどでセル生産的に完成形まで一つひとつ完成させる方法も増えています。その波は近年強まっていますが、MCの進化に伴って一部指摘された専用機不要論は言うほどなさそうです。専用機も加工順序の変更などを柔軟に行えるようにしたものや、独立したモジュール加工ステーションの自在な組み合わせで応用性を拡げたタイプが出て競争力を増しています。
次回は「その他の工作機械」について、ウォータージェット加工機や、金属AM工作機械などを見る予定です。
今も問われる大量生産技術
このなん十年か、大量生産から多品種少量・変種変量生産の時代に変わったと言われ続けてきました。
しかし「実は日本は大量生産(加工)でいま後れを取っている」と、国内外の加工状況に詳しい向きの指摘も聞きます。年間2億台以上を上市するアイフォンをはじめ、超大ロットの生産品は実は増え、(アイフォンが専用機で加工されているという意味ではありませんが)大量加工用の機械とその生産技術は引き続き重要な競争力になります。
(日本物流新聞2025年3月25日号掲載)