モノづくり入門
【第11回】いまさら聞けないモノづくりの基礎知識
- 投稿日時
- 2025/03/11 15:34
- 更新日時
- 2025/03/11 15:38
研削盤とは
約四半世紀前のこと、測定大手の技術幹部の方から「精度は10年ごとにコンマひとつ上がると思っていれば間違いないよ」と言われたことがあります。100分の1㍉の標準公差が10年後1000分台に上がるケース。先端は面粗度2ケタナノからシングルナノへ、半導体の線幅も今は2ナノ目標だけど10年ほど前は確か20ナノ切りが話題でした。くだんの技術幹部の予言(?)は個人的に感じ入っています。

大型研削盤
さて、今回は高精度仕上げ面を砥石で生成する研削盤をざっくり取り上げます。前記のように、かつての高精度がいまや劣精度に位置付けられるほど精度レベルは上がっていますが、反面、加工現場に行くと古い平面研削盤で今の厳しい公差に対応した最終加工を行なう例も多く目にします。
「機械はいたわってやると力を発揮するもんだよ」という職人さんのオカルト的談話にも出会いました。研削盤はメンテがとても大変ですが、しっかり作り込まれていれば動作は単純運動が多いため、確かにいたわると精度を含め長持ちするようです。もちろん、急進化する(本当に急進化している)「研削砥石」と砥石にあった条件設定やプロセスづくりも肝要で、技術やノウハウの組み合わせが古い機械をして今の高精度時代に対応させているのかもしれません。
最近の研削盤を見ると、各種レンズや半導体などの高精度要求分野で存在感を増すとともに、「効率を飛躍させる研削加工」にメーカーがしのぎを削る一面もみえます。
仕上げ加工のイメージとは反するような、砥石を深く切り込ませて次のステップで精密に仕上げるプロセス提案などがそう。「加工効率は10~20倍に上がる」(研削盤首脳)と言います。また「身を削りながらモノを磨く」砥石の状態を常時監視し、適切なタイミングで切れ味を回復させる(ツルーイング、ドレッシングの実施)プロセスも重要です。このため研削抵抗まで見える化する専用ソフトやAI予知保全、自動化技術、IoTなどが研削盤とその周辺で着々活用されています。他方、利用が増加する脆弱材への対応や、「超精密」と呼ぶワンランク上の精度実現にも関心が集まっています。
平面、円筒、内面、ジグ研、歯車用など研削盤は何十種もあり、複合型もヨーロッパに遅れて日本で、世界で広がってきました。
研削盤の実力
ナノ研削なる言葉が業界で聞かれますが、「米国の軍事関係技術研究所では昭和の時代からナノレベル実現の研削盤を作っていました」と、以前、研削盤メーカーの技術トップが話しました。民需向け工作機械は米国で少なくなったものの(研削盤大手はあるが)、隠れた米国の実力は相当なものとか。見方を変えると、研削盤の可能性は過去から開かれていて、その実力が時代を経て花開いている面もありそうです。
(日本物流新聞2025年3月10日号掲載)