モノづくり入門
【第10回】いまさら聞けないモノづくりの基礎知識
- 投稿日時
- 2025/02/21 15:31
- 更新日時
- 2025/02/21 15:32
レーザー加工機

モノづくりの設備は年を追ってハードよりソフト・システムが重視される傾向にあり、IoT、デジタルツイン、AIと、各機械メーカーの提案内容はデジタルに軸足を置いたものが増えています。
そうしたなかで今回取り上げるレーザー加工機は、ハードとしての進化余地が大きく、実際、加工において不可能が可能になる領域が広がっています。
以前、当欄でも触れましたが、レーザー加工は機械加工の3つの範疇のなかの「特殊加工」に分類されます(他は切削加工と研削加工)。発振器から出たレーザー光をミラーを経由してレンズで集光し、エネルギー密度を高めて被加工物に照射。切断、穴あけ、彫刻、多種の表面改質、そして溶接、AMと用途が広いのも特長です。レーシックと呼ぶ近視手術もご承知の通り、レーザー(エキシマレーザー)が担います。
モノづくりの現場ではYAGやCO2レーザーがかねてよりメインで使用されましたが、これらは光を反射する金属が不得意です。またCO2タイプは脱炭素活動が広がるなか(炭素発生量はしれているけど)不遇を囲っている面も否めません。
対して近年は近遠赤外線レーザーが注目されたほか、何といってもファイバーレーザーの普及が目立ちました。ファイバー式は光ファイバーを通して光を増幅し、加工効率と品質を高めます。高反射材をおよそ苦にしないことも魅力。国内レーザー加工機メーカーの多くがファイバータイプに主製品を切り替えたことが何より期待値を物語っています。
ただファイバーも純銅などの超高反射材加工で課題があり、必要は発明の母とばかり、レーザー加工機の開発はさらに進んでいます。一つには、銅への吸収効率が圧倒的に高い青色半導体レーザーに期待が寄せられ、大阪大学などは銅線の積層造形等にもチャレンジ。集光性のさらなる向上や機械装置の低コスト化がカギと聞きました。
フェムト秒(10のマイナス15乗秒)レーザーの時代も開けてきました。このタイプでは熱拡散を低減し、加工で変質層やクラックを発生させません。シリコンなど脆弱材の高精度加工に向き、レーザー径で10ミクロン未満の製品もでています。
微細加工用、薄板用(3㍉未満の鋼材)、中厚板用(3~6㍉)、厚板用(6㍉以上)でレーザー加工は機械選びが異なりノウハウも違うとされます。ただ最近は薄板から50㍉厚(軟鋼)までに広く対応するファイバー式も出て、進化のスピードを感じます。
公差と加工賃
微細から厚板までファイバー式を軸に多種のレーザー加工が行われていますが、気になるのは生産コストであり、生産物の価値。加工賃を聞くと、競争の激しい薄板・精密ものより、公差が緩い厚板ものがむしろ高いとの声も。そこで品位と精度を上げた厚板加工を実践し、売上を伸ばす例も出ています。客層(納品先)によって求められることは違うので、技術とともに上手なマネジメントが問われそうです。
(日本物流新聞2025年2月25日号掲載)