関西物流展2023レビュー

労働人口の減少・高齢化、労働環境の悪化など深刻な課題が山積する中、西日本・関西エリアにおける物流業界の専門展示会として立ち上がった「関西物流展」。4回目を迎える今年の開催はインテックス大阪で4月12~14日に行われ、会期中には2万4134人が来場。物流業界の「生産性向上」、「環境改善」に繋がる各社の提案に注目が集まった。

【画像1】タイトルイメージ=をくだ屋技研
【画像2】ラピュタロボティクス
【画像3】伊東電機
【画像4】MEGVII
【画像5】スター精機

自動化、省人化機器に注目集まる

をくだ屋技研がエクセディと共同開発する電動アシストユニット

厚生労働省が3月に発表した「一般職業紹介状況(令和5年1月分)」では、倉庫作業員や積卸作業員などが含まれる「運搬の職業」の有効求人倍率は1.45倍、ラベル・シール貼付作業員などが含まれる「包装の職業」は2.43倍だった。有効求人倍率という指標からも物流業界の担い手不足が窺い知れるなか、物流機器各社からは自動化、省人化を強く意識した製品が提案された。

をくだ屋技研はハンドリフト型の無人搬送車「D-PORTER」(可搬重量1t)を参考出品した。床に直置きしたパレットにフォークを差し込み、自動で搬送する。SLAM方式で自律走行するためガイド類も不要。「特長は空荷パレットも回収できること。前輪を格納できるためパレットの段差を乗り越える際に引っ掛からない。パレットを認識して自動で位置補正もできる」(をくだ屋技研)。こちらはロボットSIerのタナカエンジニアリングとの共同開発で、「発売に向けたブラッシュアップを行っている段階」という。

自動車部品メーカー大手、エクセディと進める電動アシストユニットにも注目が集まった。同社のハンドリフト「キャッチパレットトラック」に後付け可能で、取付も5分程度と簡単。会場では500kgのワークを用いた体験型のデモを披露した。

来場者も「アシスト機能をONにすると今まで押せなかった台車をスムーズに押せた」と違いを実感していた。「キャッチパレットトラックはすでに広く浸透した製品だけに、アシスト機能の後付け需要も多い」(同社)と既存リソースを活用した市場開拓に意欲を見せる。

展示会初出品として多くの来場客を集めていたのがラピュタロボティクスのAGF「ラピュタ自動フォークリフト」だ。信頼性の高い国産のハードと同社の制御技術を合体。精度の高い自己位置推定技術で、置かれたパレットの傾きなどに応じて動作軌道を修正しながら自律走行する。

「現場のフォークマン不足は顕著。ラピュタ自動フォークリフトなら夜間も自動運転でき、必要に応じてマニュアル操作にも切り替えられるので柔軟に使える」(担当者)。専任のサポートチームによるサービス体制も構築しているという。

ラピュタロボティクスのAGF「ラピュタ自動フォークリフト」




自動搬送システムに新提案

トラック運転手の残業規制による「荷物を運べない危機」。いわゆる2024年問題に対し、マテハン設備で対処する提案も見られた。

伊東電機は自動仕分け装置「id SORTER-M15K」を披露。毎時1万5000ケースの高い能力で高速仕分けを行いつつ、来場者が指定した通りの順番で即座に仕分け搬送するデモを見せた。

id SORTER-M15Kを構成するのは機能別のコンベヤモジュール群で、プラグ&プレイで簡単に増設・レイアウト変更できる柔軟なシステムだ。担当者は「トラックドライバーも今までは集荷の遅れを待ってくれたが、残業規制が始まるとそうはいかない。当社の自動仕分け装置を使えばスピーディな集荷が可能で、さらに一次仕分けで二次仕分けの仕事まで行える」とアピールした。

伊東電機の「id SORTER-M15K」




海外メーカーの姿も見られた。中国に本社を置くMEGVIIが披露したのは、シャトル型の台車を使った自動倉庫システム「3Dパレットシャトル」。日本での販売はこれからで日本の展示会への出品も2度目だが、中国ではアパレル、食品、医薬品業界などで数多くの実績を持つという。

複数の台車が倉庫内を走行することでパレットを効率的に格納・出庫。「従来のクレーン式のパレット自動倉庫と比べ2~3割ほど保管効率が高い。スループットも台車の数やレイアウト次第で柔軟に上げられる」と話した。マイナス25度の環境でも使える冷凍倉庫用のシステムも用意があるという。

MEGVIIの3Dパレットシャトル




射出成形機の取り出しロボットで培った知見を活かし、直交ロボットの総合メーカーとして物流業界に向けた提案を強化しているのがスター精機。会場では低床型のロボットパレタイザ「PXT-1220」を出品。3Dビジョンシステムを使い、ワークの位置ズレや傾きを見ながら段ボールをパレタイズ・デパレタイズするデモを見せた。「キャスター付きで使うとき以外は邪魔にならない場所に置いておける。パレタイズと言えば多関節ロボのイメージが強く、簡単に動かせる我々の設備を見ると驚かれる」(担当者)という。

スター精機のロボットパレタイザ「PXT-1220」




(日本物流新聞 2023年4月25日号掲載)

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