蔵出しJIMTOF2024

投稿日時
2024/12/09 17:19
更新日時
2024/12/09 17:27
ソディックが行った工場設備の自動化提案

記者の取材メモより厳選公開

11月5日~10日にかけて東京ビッグサイトで開催されたJIMTOF。日本物流新聞本紙でも11月25日号、4ページにわたる特集「検証JIMTOF」を掲載した。7人の記者が広い会場を走り回りたくさんの取材を行い、膨大な取材メモが集まった。残念ながら紙幅の都合で、泣く泣く載せられなかったものが多く存在する。そんな記者の取材メモから、厳選して一部を紹介する。


ソディックは進化を続けるコア技術「Sodick Smart Solution」をテーマに、最新の機械と併せて使うことができる工場設備の自動化提案などを提案した。会場正面に設置したのが、最新鋭のワイヤ放電加工機「AL40G+」と形彫り放電加工機「AX350L iG+E」をAMRやミツトヨ製の三次元測定機、ワークストッカーなどと組み合わせた自動加工・計測システム。敢えて外段取り化することで量産部品を効率的に生産できるようになる。また、来年3月発売予定のタブレット型のNC装置「SatelinC(サテリンク)」を機械に搭載して初めてアピールした。ネットワークに接続されたタブレットから機械の状態を遠隔監視・操作できるシステムで、「複数台運用する場合などに適している。顔認証機能なども設け、権限管理もできるようにしていく」という。

エンシュウは、「Diverse technology Enshu 時代に対応したエンシュウのソリューション」をテーマに立形マシニングセンタ「WE30V」と機械内蔵搬送装置「E-Lorder」を組み合わせた省力化装置などを出展。加えて、ドイツのSchwabische Werkzeu gmaschinen GmbH(SW社)の2軸横形マシニングセンタ「BA W02-22」を披露した。同社とは昨年、愛知県で開催された「メカトロテックジャパン2023」で協業を発表していたが、実機を展示するのは今回展が国内で初めて。出展機も2軸機であったように多軸に特徴のあるメーカーで、「欧州式の工程集約やギガキャストなど部品の大型化に適応したロングストロークや横型多軸機」を多く展開している。電動化の潮流の中で多様化する自動車の動力源の生産方式に対応していく方針を示した。

長島精工は超精密CNC成形平面研削盤「WAZA-EVOLUTION」の更なる効率化・省人化を追求。サイズや高さが異なる複数ワークを連続加工できるマルチ研削機能に「干渉チェック機能」を新たに搭載した。設定後に干渉チェックボタンを押すと、ワークと砥石の干渉を事前に確認できる。「高さの違うワークを横に並べ自動で連続加工するのは、ミスを避けたい作業者の方には大きな心理抵抗。干渉チェック機能は安全に加工できるか機械が事前に知らせてくれ、心理的負担を軽減できる。また機械の前から離れることができ、別の作業に取り掛かれ、人材を有効に活用できる」(同社)。

長島精工_省人化(楠).jpg

長島精工 超精密CNC成形平面研削盤「WAZA-EVOLUTION」

大同特殊鋼は日本AM協会ブース内で積層造形用ワイヤを提案していた。ワイヤは粉末に比べ造形スピードが速く大型のワークに向く。半面、精度や表面の滑らかさでは粉末に分がある。同社展示品は溶接積層造形用で鉄ベース、鉄系、チタン・チタン合金、ステンレス鋼、Ni基などラインナップが豊富で「ワームと呼ばれるアークを熱源としたもの、レーザーを熱源としたものどちらでも使える」(担当者)とアピールしていた。

ZOLLER Japanは前回のジムトフではプロトタイプ展示だった「ツールバランサー」の製品版を展示。ツールプリセッタ—で高精度に測定しても加工中の振れや状態まではわからない。同機は工具を高速で回転させることで加工中の状態を再現しバランスをチェック。工具バランスを管理すれば工具寿命の延伸や表面品質向上が実現する。龍口一社長は「工具を測定するだけでは一部分のソリューションに留まる。工具を整理し、効率的に取り出して測定するという前さばきを効率化すべくITを用いた工具管理を提案。さらに測定したデータをダイレクトに工作機械に転送する。測定だけでなくビフォーアフターをトータルでサポートしていく」と話す。

山本金属製作所はFSW(摩擦攪拌接合)用センシングデバイス「MULTI INTELLIGENCE i-stir」と専用ソフト「AdvancedControl」。i-stirは接合時の温度や力をデータ化し、最適条件選定や品質管理をサポート。AdvancedControlで工作機械CNCと通信し高度な接合を実現する。松田亮氏は「コストや重量を下げるサンプルワークとしてアルミと銅を接合したバスバーを展示しているが、素材ごとに電気を通す量が決まっているので厚みが違う金属を接合することになる。融点と厚みが違う金属のFSWでは、アルミを溶かす温度で、銅がくっつくギリギリを狙うなども経験や勘がいるところを、i-stirなら楽に条件だしできる。難しい条件の接合をデータ化しておけば企業の競争力になる」とした。

聖和精機はマイクロンチャックシリーズをアピール。「当社はコレットレスで直掴みを推奨しており、同シリーズは振れ精度を全数保証している」。スピンドルに関する高い知見が高精度を担保しているとし「どうしてもコレットを介すると振れ精度が悪くなってしまう」と話した。

三井ハイテックは「自動外周6面加工機」を提案。平面研削盤で加工を行う上で必要となる研削機能、ワーク搬送、ワークセット、測定、加工後の清掃といった全ての要素を人が介入する事無く完全自動で行う。「当社の金型事業部と共同で開発し、今後熟練加工者がいなくなることを見越して自動化した。金型加工をやっている企業は同じ悩みがあり興味を引いている」(担当者)とした。

三井ハイテック.jpg

三井ハイテック「自動外周6面加工機」


(2024年12月10日)