生産性を飛躍する切削工具

費用対効果を考えると、設備機械に比べて大幅に生産性を高められる切削工具。メーカー各社はバリの抑制、深穴加工、高送りと切削性能をいちだんと高めており、ユーザーはそれらを使って大型ワークの加工時間短縮や除去体積の多い超硬材直彫りに挑んでいる。

広がる性能と用途、市場は拡大基調

切削工具の売れ行きは工場稼働の指標にもなることから、生産財市場のなかでも関心の高い分野といえる。今年1月の切削工具生産額は前年同月比8.0%増の291億5200万円だった(日本機械工具工業会の会員統計)。微増ではあるが昨年8月(215億8800万円)を底に5カ月連続で増加してきた。

本紙がメーカー各社にヒアリングしたところ、以下のようにコロナ禍から順調な回復を遂げていることがわかった。「国内外で回復に向かい、中国など一部地域では急速な受注増となっている。2021年上半期は前年同月比2割増を見込む」(MOLDINO)、「昨年秋以降、海外の需要回復が先行し、国内も追随する形で需要回復が鮮明になったことから、受注・売上げともに増加傾向。今後の見通しとしては、工作機械の需要増に伴い、コロナ以前の19年度の水準まで需要回復、今後さらに拡大していく」(住友電気工業)、「中国が先行して回復し牽引してきたが、遅れていたアジアも回復が顕著となってきており、今後もグローバルでの拡大が見込まれる」(京セラ)、「社会活動が自粛一辺倒から脱却する過程に合わせて需要が戻りつつあり、当社の売上も新製品の投入と合わせて回復基調にある」(ワルタージャパン)、「3Q(20年6〜8月)をボトムとして、4Q(20年9〜11月)は回復傾向にある」(オーエスジー)、「おおむね前年度並みであり、自動車業界が堅調である」(ムラキ)、「昨年秋以降は復調し、21年は20年比で売上増を見込んでいる。半導体関連等の微細・精密部品向けで売上げ増が期待できる」(MSTコーポレーション)。

もっとも懸念材料がないわけではない。「21年度(20年12月〜21年11月)は19年11月期の90%程度の売上を見込んでいる。コロナの影響も全くなくなった訳ではないため見通しが難しい部分がある」(オーエスジー)、「欧州を始めとする新型コロナの再拡大、半導体の供給不足による自動車減産が懸念材料としてある」(京セラ)との見方もある。

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