ブラザー工業「SPEEDIO」シリーズ活用事例
- 投稿日時
- 2024/08/22 15:26
- 更新日時
- 2024/09/04 11:07
SPEEDIOシリーズを導入した企業の導入理由や導入後の変化、今後の展望
鹿児島精機株式会社
導入機器:SPEEDIO M200Xd1
【プロフィール】
本社:鹿児島県霧島市/創業:1975年
特長:ミシンの部品加工から始まり、現在は精密加工を得意とし半導体装置、産業用機器、医療装置、情報・通信機器、自動車生産関連など、幅広い分野の部品製造を行なう。近年は組立業務もスタートし、装置一式まるごとの製造にも対応、同社の強みとしている。ミシンの部品加工の歴史から「ブラザー工業さんに親近感を持っていた」という鹿児島精機様は本社工場を含め鹿児島県内に2か所の拠点を持ち、さらに中国やベトナムにも工場を展開。そのネットワークを活用し、製品の納期や難易度、コストなどをふまえ国内外から最適な生産工場を選択する「最適地生産」。
工程集約&省スペース化を叶えて、難加工も見事にクリア
【導入理由】海外工場での好評を受けて国内工場に導入
2023年に本社工場でM200Xd1を2台新規増設導入。田中様によると「旋盤加工とマシニング加工とにまたがっていた工程を一つに集約できることが非常に魅力でした」とのこと。ベトナム工場では、当時すでにMシリーズが導入され、工程集約が短納期につながり、精度面でも品質の評価が高かった。それで国内でも導入にすることになった。
(写真左から)ソリューション事業課 野田 太一 様、CFO 兼 社長室長 德永 佑太 様、次長 田中 翔 様
本社工場でSPEEDIOを扱うベトナム人社員のみなさま
また、5軸加工機が欲しかったことも大きな理由。それまで国内工場には5軸加工の設備がなく、お客様のニーズからも必要性を感じていた。当時の九州エリアでは初導入だったことにも魅力を感じたと德永様。
【導入後の変化】
これまでの旋盤ベースの複合機に比べて、SPEEDIOはスペースが約1/3で、段取り時間も1/2程度に短縮できている。加工性能については、「曲面や曲線が素晴らしい。これは付加価値のある製品を生み出したいという弊社の想いと合致している」とのこと。
ほかにも現場からは、省スペースで刃物交換やワークの交換がしやすい、画面が大きく扱いやすいという声が上がっている。本社工場には現在ベトナム人社員が8名勤務し、全員が使いこなしている。ベトナム工場にも導入され、両国で同じように操作ができて非常に使いやすいとオペレーションに関するメリットも挙げた。
田中様によると「環境性能面では省電力。電気代を8割弱の低減ができ、消費電力を抑えることでCO2排出の削減に。認証を取得しているSDGsの取り組みにもつながる」とのこと。
【今後の展望】SPEEDIOを活用して付加価値の高い製品を生み出していく
M200Xd1は、いろいろなことができる機械で、どう使うかを問われている感じがする。同時5軸加工でしか出せない曲面と曲線を生かして付加価値の高い製品を鹿児島からどんどん生み出していきたいとのこと。
弊社について伺うと、アフターサービスも非常にしっかりしていて試作についても気軽に相談できる。このようなフォロー体制があるのも魅力。
今後、40番の機械の更新では、大型加工向けのWシリーズも検討してみたい。30番でも問題ないと思えるほど良い削りをしていた印象があり、40番に対してどれだけ台頭できるか楽しみとの嬉しいお言葉をいただいた。
CFO 兼 社長室長 德永 佑太 様
【導入製品/活用事例】M200Xd1
導体装置や産業用機械の部品など。「思考錯誤の連続で立ち上げるまでに時間がかかったが、ある部品では非常に難しい加工を行なっている」「5軸加工を活かせるものを少しずつ増やしている。」同時5軸加工による滑らかな曲面と曲線は想像以上
同時5軸加工を用いたインペラ加工
株式会社サクラテック
導入機器:SPEEDIO R650X2/U500Xd1
【プロフィール】
本社:福島県白河市/設立:1947年
特長:半導体をはじめ、宇宙防衛関連、医療関連、産業機器関連など、幅広い分野の金属部品加工を手がける。複雑な形状を得意とし、変種変量生産を行なう。近年は軽量化へのニーズを受けて樹脂の切削加工も開始。
加工効率30%アップ、直感的な操作で教育も容易に実現
第一工場外観
70年を超える歴史を持つ株式会社サクラテックの櫻岡社長は同社の強みを「技術力」と言う。その裏付けとなるのが設備の数々。「弊社の場合、1種類しか導入されていない機械はほぼありません。最低でも2台は揃えているため、増産などに対しても柔軟に対応できます。」
株式会社サクラテック 代表取締役社長 櫻岡 敏之 様
【導入理由】製造業を取り巻く原価意識の変化と自動化提案から
最初は2017年にタッピングセンタTC-32BN。その理由は、第一にお客様を含めた製造業各社の原価意識が高まってきたこと。第二に対話式ではないプログラムを作れる人材が育ってきたこと。第三に加工物によってはムダな動きがなく、専用的な機械とすれば使い勝手が良いと感じたこと。続いて2019年には40本マガジンを搭載したSPEEDIO R650X2を、さらに2023年にはU500Xd1を追加導入。
U500Xd1には株式会社山善の川分様の提案があった。「30番の5軸MCでハードウェアからNC含めたソフトウェアを自社製造、φ500まで広い加工範囲を持ち、コストパフォーマンスの高い機械は他社ではなかなかない。アフターサービス面もすべて統一出来るのも強み。自動化の相談もあり、三和ロボティクス様のパレットチェンジャーシステム NEXSRTとドッキングさせることでご要望に応えられると考えて提案した」と言う。社内での経験も蓄積されて、これからのものづくりのために非常に効果的な導入だったとのこと。
【導入後の変化】スピードが速く加工効率が約30%向上
佐藤様によると「40番に比べて30番はコンパクトで、省スペース化され、主軸が見やすい設計で、簡単に段取りができるのは大きな利点」と評価。加工のスピードが速く、横形のMCに比べて加工効率も30%程度は向上している印象がある。最新の制御装置CNC-D00はかなり使いやすくなった印象があり、新しい担当者も覚えやすそう、若手スタッフ教育への教えやすさにもつながるとのこと。「弊社は1台で完成品を仕上げていくスタイル。30番では難しいような加工も問題なくでき、その加工スタイルが実践できている。」
製造部 生産技術係 課長 佐藤 雅泰 様は現場のまとめ役
【今後の展望】難しい仕事をこれからも追い求めて果敢にチャレンジを
「安かろうというものづくりは、あまりしたくない、付加価値のある仕事を追いかけていきたい。社員のモチベーションにつながると思うから、今までできなった仕事をやり遂げたときの達成感を与え続けていきたい」と櫻岡社長。
【ココにも注目!!】女性作業員も扱いやすいSPEEDIO
小野間様は、プログラムを組むところから段取り作業まで、ブラザーマシン4台のすべてを担当。不安なく扱うことができている、製造業は男性の職場というイメージを変えられるように頑張っていきたいと話す。
【左】製造部 生産技術係 係長 西尾 亮祐 様、【右】製造部 生産技術係 小野間 優希 様
SPEEDIOを操作する小野間様
東北江南株式会社様
導入機器:SPEEDIO M200X3/M200Xd1
【プロフィール】
本社:福島県二本松市/創業:1992年
特長:工業用プラスチック製品の製造販売、多品種小ロットから量産まで、切削加工から各部品の曲げ、接着、溶接による組み立て加工までノンストップで対応する。
ロボットとの連携で省人化と生産量アップを実現
本社工場
東北江南株式会社様は、本社工場を含め8棟の工場を構え、300名を超える従業員が業務に励んでいる。「お客様の満足は私たちの満足」をモットーに、プラスチックの切削加工から各部品の曲げ、接着、溶接による組み立て加工までノンストップで対応する一貫生産体制を確立している。主な製品には半導体製造装置があり、そのほかにも液晶の洗浄装置や近年では消防車の樹脂タンクも需要が高まっているとのこと。設立以来、順調な業績は「弊社では風呂桶程度の大きなサイズへの対応が多くなっており、そこが差別化につながっているのではないか」と遠藤社長。
(写真右から)代表取締役 遠藤 敏晶様、生産技術部 係長 桑原 英樹様
【導入理由】社内で挙がったSPEEDIO への「いいね」の評価
現在、M200X3とM200Xd1が2台ずつ、合計4台が導入されている。
遠藤社長によると「他メーカーのMCをすでに導入していたが、それより小さいサイズで多くの仕事がこなせる機械を探していた。いろいろ検討するなかで旋削加工ができることからM200X3が候補に上がった。さらに予定していたパレットチェンジャーも使えるということから導入する流れになった。」また、2022年7月にM200X3の1台目、12月に2台目と追加導入された経緯についても「組み合わせるパレットチェンジャーの納品がズレたため、最初はM200X3を単体で使っていたが、いろいろな仕様にチャレンジするなかで『これ、いいよ』という高い評価が社内で挙がって、2台目を導入することになった」そして、2023年8月に後継機のM200Xd1を2台同時に追加導入となったとのこと。
工場のSPEEDIO M200X3
【導入後の変化】省人化を実現し新たなSPEEDIOの導入も
多関節ロボット搭載のパレットチェンジャーと連携して、ワークとツールホルダの交換なども自動化。24時間稼働の工場では、土日や夜間の加工をほぼ無人で行ない、省人化を実現している。遠藤社長よると、「製造メンバーの負担が軽くなり、1日あたりの生産量も上がっている。」さらに「コスト面のメリットも。大きな機械では1台のところを2台設置できますから。あとは短納期も良かった点です」とのこと。新たにR650X d1の導入についても「こちらも納期の早さが導入につながった。もう一つのポイントとして加工の広さも挙げられます。」
工場のSPEEDIO M200Xd1
作業を担当する桑原様は「5軸加工に加えて旋削加工ができ、かつコンパクトに収まるサイズ感に魅力を感じた。BT30でツール自体が重くないことやワークだけではなくツールの棚もあるので刃物をつけっ放しにでき、段取りが非常に楽になっている」とのこと。
【今後の課題と展望】SPEEDIOを活かしきり更なるニーズに対応
樹脂は金属に比べて柔らかい素材。その加工については「工作機械が金属加工中心に考えられているため、樹脂加工の場合は切粉の処理で若干苦労するところはある。これはどの機械にも言えるため、うまく工夫していくことが必要だと思っています。そのほかには加工時の回転と送りのバランス。あまり早く加工すると溶けてしまってひどい肌荒れを起こすことがあり、スピードの限界についても感じている」また、粗加工後の仕上げ加工をなるべく薄くするなどの工夫もしているとのこと。
「半導体製造装置メーカーからより多くの生産を求められている」と、同社の成長はまだまだとどまらない。遠藤社長は「導入したSPEEDIOについてまだ活かしきれてないところがある、もっとうまく活用していくことで様々なニーズに対応していきたい」と話す。
工業用樹脂パーツ加工の様子
(2024年8月25日号掲載)