インタビュー
ZOLLER Japan 代表取締役社長 龍 口 一 氏
- 投稿日時
- 2022/10/11 16:17
- 更新日時
- 2022/10/11 16:20
「圧倒的精度」が実現する工具測定、管理の自動化
切削工具の測定機やツールプリセッター、工具管理における業界のトップランナーZOLLER。その日本法人であるZOLLER JAPANの龍口一社長に、国内・欧米の市場動向や、生産性向上に導く切削工具の測定と管理について伺った。
――工作機械受注は内外需ともに堅調ですが、貴社にも好影響を及ぼしていますか。
「昨年から年初にかけては日工会の数字に比例して、とは行かない状況が続いていました。主な要因となっているのは、当社はドイツのメーカーですので為替の問題も大きく影響しています。この業界はまず工作機械が売れて、そのあと周辺機器に波及していくイメージですが、それが若干遅れていました。ただこの数ヶ月、確実に回復基調にあることを実感しています」
――どういったニーズが顕著にあるのでしょうか。
「切削工具の検査システムが上向きになってきています。こちらは切削工具メーカーさんの景況感にも左右されるのですが、工具が売れると当社への需要も高まる傾向にあります」
――為替の影響も大きいとのことですが、価格の改定は行いましたか。
「当社は以前からほとんど値上げしないメーカーでして、それこそ10年に一度くらいのスパンで価格を変える、という感じでした。しかし昨今のさまざまなコスト上昇を鑑みて、世界中で値上げを行いました。ですが、日本法人だけ価格を据え置いています」
――価格据え置きですと、現在の為替レートからすれば実質の値下げのようなものですね。
「日本市場をさらに開拓、拡大していきたいという経営判断からです。当社が日本に進出したのは13年前になります。いまでこそ、ある程度切削工具の業界では認知して頂いておりますが、まだまだ当社製品の良さが認知されているとはいい難い部分もあります。ですので、まずは多くのお客様にお使いいただくことを優先し、価格の改定を見送りました」
――日本以外の各国での需要をお聞かせ下さい。
「昨今では中国、アメリカでは特に好調と聞きます。特に中国は昨年、過去最高の売り上げを記録したと聞いています。欧州含め、世界的に見ればそこそこ安定しているのではないでしょうか。日本だけが若干浮き沈みがあります(笑)」
■工具のデジタル 管理を推進
――製造業においてDXや自動化が進む中、切削工具や切削現場にはどのような変革が必要でしょうか。
「金属加工の現場において、ある程度の在庫管理はどの企業も行っていると思いますが、それでも無駄な在庫や在庫の枯渇による不足が生じてしまうケースは少なくありません。こうした工具管理をはっきり分かるように可視化するだけでも、大きな効果が得られます」
――作業のデジタル化が無駄を省いていくわけですね。
「日本で行われる切削加工は高い精度要求が求められるものが大半です。こうした高精度加工を行う上で、工具における寸法精度が重要になりますが、それを測定できる熟練の職人は年々、減少の一途を辿っています。一方で、当社の全自動の工具測定機なら工具をセットしてボタンを押すだけで誤差1ミクロン以内の測定が可能です。匠の技術をデジタル化することによって、初心者でも作業できるようになりますし、手動での計測に比べて大幅に作業効率を高めます。こちらはお客様の事業規模に合わせたラインアップを取り揃えています。」
――DXをいち早く推奨したドイツのメーカーならではの視点です。
「自動化を推進していくためにはデジタル化が必要ですし、やはり精度がしっかり担保されていないと生産性向上には繋がっていきません。当社は切削工具に関する幅広い製品群と自動化ソリューションを用意していますが、いちばんのストロングポイントは精度だと考えています。やりすぎだな、と思えるほどの本体剛性と独自のソフトウェア、技術が圧倒的な精度を実現しています。
――いよいよJIMTOFですが、その前にAMB(ドイツ・シュツットガルトの製造業向け展示会)に参加されるそうですね。
「当社はシュツットガルトの近郊に本社がありますので、いちばん力が入る展示会です。新製品もそこで発表されることが多く、そちらをご紹介することになると思います。JIMTOF会場では工作機械各社様とコラボレーションしたソリューション提案も行うほか、省エネに対応する焼きばめ装置など脱炭素も貢献する新製品もお見せします」
ZOLLERの全自動工具測定機
(2022年9月25日号掲載)