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インタビュー

Youibot Robotics CEO 張 朝輝 氏

投稿日時
2025/04/03 10:17
更新日時
2025/04/03 10:20

日本法人稼働、10億円投じ開発機能も

中国・西安交通大学でナビゲーションシステムを研究していた張朝輝氏は、象牙の塔から脱して研究成果を社会実装すべく2017年にYouibot Roboticsを創業した。半導体やFAに的を絞ったAMRを開発する方針で急成長を遂げ、今では年間2千台のAMRやモバイルマニピュレーターを出荷する。同社は2月末に開発機能も持たせた日本法人を本格稼働させ、開発とサポートに10億円を投じ日本市場でさらなる拡販を進める。創業者の張朝輝CEOは「柔軟な姿勢で地元のエコシステムに溶け込む」とローカライズに強い決意を滲ませた。

――張CEOの技術的背景は。

「西安交通大学で自動ナビゲーションを研究していました。博士課程の2017年にYouibotを創業。その知識がAMRの制御アルゴリズムに繋がっています」

――需要先は。

「電子半導体製造を含む一般産業、つまりスマート製造領域が売上の60%です」

――中国は多くのAMRメーカーがあります。貴社の立ち位置は。

「確かにAMRメーカーは多い。ただ中国市場はすでに激しく競争するより各社が狙う領域に特化する段階です。例えば倉庫向けのAMRメーカーもいます。我々はコア戦略でまず半導体業界に展開しました。半導体は精度や安定性の要求が最も高い。またスマホなど電子業界にも応用できます。戦略的に道を選び、その業界で最も価値を発揮するという考えで集中的な開発を行い19年に今の製品ラインナップを確立しました。20年以降、売上は毎年倍増し産業用で毎年約2千台の移動ロボを出荷するまでに。中国のシェアは正確な数字がありませんが業界トップ級です」

――競争を制した決め手は。

「電子半導体業界を深掘りし開発と実績を重ねたこと。産業の進化を支える信頼できるAMRを提供するという創業時の理念を大切にしています。21年にAMRを導入したSMICの工場では4年で9回の追加発注があり百台以上が稼働中です。同じ現場でAMRが多いほど交通制御は複雑ですが、我々はAppleの主要サプライチェーン企業の1つの現場で約300台の制御実績があり業界でも無類。停止精度も±10ミリと高精度です。グローバル的にトップ級の顧客への導入で品質管理が成長したこと、業界を深掘りした応用技術が奏功しました」

■3年で世界的ブランドへ

――日本法人が2月に本格稼働しました。

「真のグローバル化は単なる事業拡大でなく技術と文化の深い融合だと思います。東京オフィスは中国の技術専門家と日本の産業に精通した地元の人材を揃え、技術とニーズのギャップを埋める体制としました。日本の高い要求に応えるため日本で研究開発を行い、開発と技術サービスに3年で10億円以上を投資。日本の大学やSIerと協力しロボット人材も育成します。代理店とも強固な関係です。すぐ進出、ではなく製品開発やサポート体制など3年かけてしっかり準備してきました。我々が持ってきたのは単なるロボットではなく約束。Youibotは敬意をもってニーズに耳を傾け、柔軟な姿勢で地元のエコシステムに溶け込み産業の自動化を支援します」

――日本は工場新設があまり望めませんが、AMRの潜在需要は。

「非常に有望です。日本は世界の製造業と技術革新の先駆けとなる市場で、職人精神でAMRの価値を徹底して追求します。この姿勢はAMRが顧客へもたらす価値を追求するYouibotの企業理念と共鳴します。日本はAMRの『応用』的には非常に良い市場で、我々もターゲット分野の拡張につなげたい。完成車メーカーや自動車部品メーカー、半導体からの引き合いが急伸しています。特に半導体は人手不足が課題です。新工場と既存工場、双方にチャンスがある。安定して高い要求に応える我々の製品は日本に向くとも思います」

――日本はサポート体制を重視しますが、どう対応を。

「ローカルサポートへの要求は認識しており、2月のオフィス開設もそれを踏まえた決断。日本法人にはサービス部品倉庫や展示場、研修施設を開設し皆さんの近くでサポートを行います。SIerへの技術協力も行い、認定SIerの東邦工業はすべての型式を活用でき導入・運用・修理まで一連のプロセスに対応が可能に。AIを用いたチャットサポートサービスも間もなく公開します。ロボット業界のディープシークのような感じです」

――日本以外のグローバル展開は。

「欧州や韓国、タイなどで実績が増えておりドイツでは120台が同じ現場で稼働中。技術に国境はなく、革新がグローバルの共通言語だと信じています。日本法人の開業はグローバル戦略の重要な一歩で、日本にとどまらず東南アジアや欧米市場への展開のベースとなる戦略拠点とする計画。まずは今後3年で、世界的にブランドが知られる企業を目指します」

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【写真左】フープ(半導体ウェーハの密封容器)を扱う移動ロボット、【写真右】協働ロボなど用途に応じたモジュールを搭載できるAMR


ライバルではなく補足関係


Youibot Roboticsは半導体製造にフープ(ウェーハの密封容器)を搬送するAMRやモバイルマニピュレーターを数多く提供する。半導体製造の工程間搬送は主にオーバーヘッド型の搬送装置で行われていたが、8インチではフープの搬送と積み下ろしに大量の人手を投じる現場も多く、この工程を同社の移動ロボが自動化できる。張CEOは「オーバーヘッド搬送とは対立ではなく相互補完関係で、両方使うことで半導体製造をフルオートメーション化できる」と語る。



(日本物流新聞2025年3月25日号掲載)