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インタビュー

Preferred Robotics/Vice President 高橋 浩平 氏/エンジニア 西野 環 氏

超小型・超安価なAMRをあらゆる現場に

家庭内をAMRが走り、棚を運ぶ。Preferred Roboticsが昨年発売した「カチャカ」は各所で話題を呼び、日経トレンディ主催の「ヒット予測2024」にも選ばれた。これをベースに今年2月に上市した業務用AMR「カチャカプロ」も、工場や倉庫、医療現場で数百台が稼働し勢いに乗る。導入の利点や今後の方針を聞いた。

【左】高橋 浩平 氏/【右】西野 環 氏

2024国際物流展出展企業インタビュー

――家庭向け棚搬送AMR「カチャカ」と業務用の「カチャカプロ」を展開中です。違いは。

高橋 先に発売したのはカチャカ。カチャカプロはそれを基に開発しました。どちらも専用棚を搬送します。サイズ(240×387×124㍉)は共通で可搬重量はカチャカプロが10㌔重い(30㌔)。LiDARを含めた性能もカチャカプロが上です。

――制御に特長がある。

西野 制御はLiDARベースのSLAM。加えてカメラで周辺画像から特徴量を見ており、自己位置を見失っても再認識できます。AIによる深層学習も取り入れています。一般的なセンサーでは床のケーブルなど薄い物体を認識できませんが、画像を元にした深層学習で認識、回避が可能。総じて一般的なAMRより走行安定性が高いです。

――機能を増やすと高額で大型になる傾向があります。ただカチャカプロは小型で価格も安いですね。

高橋 仕様次第ですがカチャカプロはサービス含め百万円を切るレベルで提供可能。ハード・ソフトが内製だから実現できました。

西野 カチャカの重要部品をうまく流用したことも鍵でした。量産で費用を抑えられます。心臓部はスマホに使うCPUを利用。深層学習と低価格を両立しています。

――同価格帯の競合プロダクトは。

高橋 かなり小型に特化しており競合はほぼないと捉えています。価格にこだわるのは「全ての人にロボットを」という目標があるから。費用でAMRの導入を見送る現場が多い中、百万円を切るとかなり敷居が下がる感覚があります。工場や倉庫の採用が多いですが、医療現場や飲食店でも非常に安く小型・軽量という点が喜ばれ、導入されています。12㌔なので障害時も人が移動でき道を塞ぎません。重大事故の危険も低いです。

――設定もスマホアプリで完結するとか。

高橋 ボタンを押すだけで棚を運ぶ運用も可能。工場以外も直感的に扱えます。複数台の連携は今後の課題ですが、APIを公開しており一部の工場は自社で様々な開発や他機器との連携を行っています。事例を紹介できず残念ですが、想定外の活用例も多く面白いです。

――簡単に使える反面、玄人的な使い方もできるわけですね。普及は順調ですか。

高橋 カチャカプロはすでに数百台が稼働しており順調です。案内すると「こんなに安いAMRがあるのか」と好意的な反応が多く、より認知を広げたいと思います。日常生活に浸透したロボットは掃除機くらいで、toB領域も含め世の中にはまだロボットが普及していません。カチャカプロをtoB領域に浸透させ、最終的には一家に1台、当たり前にAMRがある生活を実現します。

カチャカ他業種.jpg

カチャカ/カチャカプロは工場や倉庫のほか、病院や歯科医院、飲食店など様々なフィールドでの導入が進む

(2024年8月25日号掲載)