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インタビュー

安田工業 取締役 営業本部本部長 香川 賢治 氏

売れる「高精度マザーマシン」 横形大型機へのニーズ高まる

好調な工作機械受注を牽引する安田工業。旺盛な需要を確実に取り込む「YASDA」製機械に寄せられるユーザーニーズや、間近に迫るJIMTOFに向けた提案について同社・香川賢治本部長に伺った。

――昨今の受注環境はいかがでしょうか。

「自動車から精密・微細金型関係まで全方位に順調です。期初計画通りの受注目標に到達できる見込みです。最近では工作機械メーカー様や半導体関連の装置メーカー様などから横形の大型機へのお話も数多く頂いております」

――外需も増加していると聞きます。

「昨年は約5割が外需でしたが、今年は6割くらいの比率になるかと思います。海外にリソースを注力していくという戦略も奏功しているのかも知れません。また『マザーマシン』として当社機械のイメージが内外問わず浸透しつつあるとも感じています」

――業界全体が好調な一方、いずれのメーカーも調達で苦労されています。

「当社も調達面で苦労していますが、替えが効かない要素部品に関しては、使う使わないに関わらず、先々を見越した発注をかけています。手に入りにくい電子部品も事前に押さえられるだけ押さえるようにしていますし、少々価格が高くても購入するようにしていますので、いまのところ生産に影響は出ていません」

――昨今、どういった機種が売れ筋でしょうか。

「当社機械の特徴でもあるボックスガイドウェイ機構を採用しているYBM立形シリーズや精密微細金型、中国EMSメーカーに採用頂いているマイクロセンタYMCシリーズが堅調な売れ行きを示しています。今年に入って特に好調なのは、横形プレシジョンセンタ『YBM10T』です。高い精度が要求される部品加工の分野からの需要にお応えしています。多数の工作機械メーカー様にも導入頂き、マザーマシンとして活用されています」

「こちらはリピートで採用頂いているケースが多いのも特徴です。20年程度お使いになられたお客様から、『故障が少なく長期間の使用でも精度劣化が見られない』とご評価いただき、再度導入して頂いております。いずれも機械性能のみならず、アフターサービスの対応まで含めて当社を評価して頂いた結果だと考えております」

■5軸加工機の新機種を出展

――EV化が加速していますが、貴社加工機に寄せられているニーズは。

「『E-Axle』(EV駆動モータシステム)関係やバッテリー、車体軽量化を目的としたダイカスト金型、高精度が要求される高電圧コネクタ関係のお話を頂いています。これまではプレスや樹脂金型、半導体製造装置部品向けに使用されていた50番主軸の立形ジグボーラー『YBM1218V』も、昨今モータコアのプレス金型向けに国内外で採用が相次いでいます。こちらは2㍍のピッチでも数ミクロンのピッチ精度が達成できる加工品質が高い評価を得ています」

――DXについて注力されている部分は。

「社内では、製造現場に複数のロボットを活用した自動化・省人化を進めている状況です。お客様に向けてはまだまだ道半ばですが、芯出しや測定といった加工前後の段取りを簡略化するインターフェイス『OpeNe』の開発や、操作やメンテナンスに関わる説明動画を無償で提供しており、いずれも好評頂いております」

――JIMTOF2022ではどういった提案を行いますか。

「今回展は『Beyond the future with YASDA』で、当社とともに未来を越えてというテーマを掲げています。製造業は著しい生産年齢人口の減少、グローバル競争、デジタルによるモノづくりの変容など、大きな変革期を迎えています。これらの課題に対し、当社製品の活用によって次のステージへ移行して頂きたいという思いが込められています」

――出展予定の機種についてお聞かせください。

「生産性向上に貢献する多面パレット仕様の5軸加工機の他、高い繰り返し精度によって実現しているお客様の自動化事例などを紹介し、当社の自動化・省人化技術を紹介したいと考えております。また、冷間鍛造金型やダイカスト金型製作でご採用頂いている『YBMVi40」のシリーズ機として、新機種の5軸加工機を展示予定です。当社だからこそ達成できる精度や信頼性をお客様に訴求していきます」

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立形ジグボーラ-「YBM1218V VerⅡ」はEV向けにも活用されている

2022910日号掲載)