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インタビュー

サンテック 代表取締役社長 古川 直哉 氏

三井精機グループで培った技術力を広く展開

工作機械の周辺機器、測定装置を製造するサンテック(三井精機工業の100%出資子会社)。三井精機製工作機械の部品製造やオーバーホールで培った技術力で、ワンストップで自動化システムを構築できることが大きなウリだ。5月27日付で就任した新社長にあらためて同社の強みと目標を聞いた。

――社長に就任されて早4カ月、今の率直なお気持ちは。

「昨年5月に三井精機工業からサンテックに異動してから、1年間は副工場長として製造現場と営業を見てきましたから問題点はよく把握しています。当社の拠点はここ本社工場(埼玉県比企郡)と滋賀工場(滋賀県草津市)があります。本社工場は三井精機の工作機械の部品の加工の一翼を担っています。三井精機の研磨ラインの前加工を全面的に担い、機械組立を受託し、キサゲ職人の派遣も担っています。これが本社工場の3つの柱で、売上高の90%は三井精機関連と依存度が大きい。残りの10%はオーバーホールを三井精機経由で他社から受託しています。新規の工作機械関連の仕事は波が大きいので、この10%をもっと広げようとしているところです」

――滋賀工場では違った事業を展開されています。

「自動化ソリューションや治具、測定器を滋賀工場で製造しています。治具はもともと三井精機が納める工作機械に搭載するものでしたが、近年は電気やソフトを扱える人材を確保し、メカ設計もできます。社員60人と会社の規模は小さいですが、たとえば加工機にクランプ治具を付けてその周辺に多関節ロボットを搭載し、ワークを出し入れして搬送する︱といった一連の自動化ソリューションを一括で受けられるのが強み。小回りも利きます。滋賀工場では以前から治具や測定関係の製造をメインで行い、また草津近辺の大手メーカーさんの専用機をOEMで製作して付加価値を付けてきましたから技術力は自負しています」

――2工場で役割を分けて進めていかれるのですね。

「滋賀工場では一部でねじ研削盤のレトロフィットなどを行いましたが、もともと三井精機製機械のオーバーホールをあまり行ってきませんでした。私が社長になって進めようと思っているのは、東エリアは本社工場、西エリアは滋賀工場で全国の三井精機のオーバーホールをもっと積極的に受注していこうということです」

■治具含めた自動化を一括提案

――貴社の治具の特長は。

「ワークに合わせてクランプ装置を付けたものです。これは三井精機さんに収めた5軸加工機向けの治具(=写真)で、航空機関連や発電関係のワークを自動でクランプできます。一般に治具そのもののパーツ的な精度は把握できますが、当社の場合、機械の電気的な動きも把握できるので、どういう歪みが入ってどんな動きのときにどれだけ精度に影響が出るか、ということまで追いかけての治具をつくり込めます。このことをもっと表に出していこうとしているところです」

――ユーザーニーズの変化とそれにどう対応されていますか。

「お客様のニーズとしてやはり自動化があります。自動化するのにこんなものがあればいいな、こういうことができればいいな、という要求に対して当社は加工機・治具・ロボット・搬送装置などを組み合わせてこんな自動化ができますという提案をしています。治具を単純につくって売るのではなく、この治具を自動化するためにこんな設備と一緒にこうやりましょうという提案です」

――製品開発や経営の中長期的な方向性は。

「三井精機からの異動なので社長の任期は意外と短く、長くて5年です。それを考慮すると会社として私たちができることは、生え抜きの従業員に対して、三井精機グループの一部門というよりはサンテック社員として一人ひとりが誇りを持てるような会社にしたいと思います。これまで部長クラスのほとんどが出向だったのですが、生え抜きを部長に登用したりして現場のやる気を引き出す。一方で三井精機の子会社という強みも生かす。『三井さんのキサゲと同じ精度が出せるんですね』と感謝されたりしますから。これを前面に出し、将来的には三井精機以外の工作機械メーカーのオーバーホールも担えるようにします。私は三井精機にいた頃から様々な機械を見て触ってきましたから何も恐くありません。三井のジグ研、ジグボーラーをオーバーホールできれば当然、他メーカー製も扱えます。何もオーバーホールメーカーになろうというわけではありませんが、製品に自信を持たせるためにそこまでできる技術力は持たせたいですね」

15面リレーインタビュー(2)サンテック古川直哉社長P2.jpg

5軸加工機向けの治具

2022925日号掲載)