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インタビュー

牧野フライス製作所 執行役員 営業本部本部長 西野 正 氏

投稿日時
2025/04/08 13:42
更新日時
2025/04/10 13:45

インターモールド2025に微細精密加工機に近い立形3軸機を出品

金型分野で存在感を高める牧野フライス製作所は、今回のインターモールドで単独企業として最大ブースを構える。同展の位置づけや出展内容について西野正・営業本部長に聞いた。

マキノに入社以来42年間、営業畑を歩む西野正本部長。据付・修理などを担う牧野技術サービスの専務取締役を経て昨年6月に本部長に。近年週1、2回通うチョコザップではエアロバイクからウォーキングに切り替えた。「時速5.5~6㌔で20分ちょっと速足で歩くとけっこう汗かくのでこちらの方がええんかな」。大阪市出身、64歳

「ワーク仕上がり面をじっくり見ていただきたい」

――貴社はインターモールドをどのように位置づけていますか。

「当社の受注は40、50年前は金型向けが7割、部品加工向けが3割を占めましたが、売上規模が高まるのに伴い現在はその割合は逆になりました。金型は鋳造金型向けが中心で割合としては低くなったものの、金額そのものはほとんど変わらず一定です。ですから非常に底堅い。今そのお客様の規模や業態などを分析しようとしているところです。新しい提案を積極的にしていくのに必要となるからです。その一環としてインターモールドでは興味のあるお客様のほうから当社に質問や要望を直接投げかけていただけるので非常にありがたい機会で、東京・名古屋・大阪展に出展し続けています」

――出展の内容は変わってきましたか。

「基本的にはその時々の新機能、新技術をお見せしています。これまでの流れを見ると、やはり高精度、高能率化に集約されますね。高能率化のなかには自動化も含まれます。精度や効率は年々数パーセントずつ積み上げています。これはエンドレスです(笑)」

――展示会を通じて新たな需要開拓もされているのでは。

「当社は日ごろからお客様から要望をいただいたり困り事を相談していただいたりするケースがけっこうあるので、それらへの対応を具現化できたものを展示会で紹介させていただいています。要望をいただいたお客様にとってはそれが課題解決になり、別のお客様に対しては新たな需要開拓につながっているのかもしれません。昔に比べるとお客様は要望をはっきりと言ってくれなくなっているように感じます」

――海外のお客様は日本と同様ですか。

「やはり中国の金型メーカーさんからの要望が増えています。こんな機械をつくってほしい、こんなことはできないかと。中国に金型仕事が流れているのは事実で、要求が増えるのは当然です。中国の技術的な追い上げがあり、ある意味追い越されている部分も多分にあります。中国の金型メーカーさんは欧米の会社と顧客としてお付き合いをされていますから、要望の内容は当然、幅広くなります」

――今回のインターモールドでは何を最もアピールされますか。

「昨秋のJIMTOFに出品した3軸立形マシニングセンタ『V300』(最大積載質量300㌔)とその大型の『V900』(同6000㌔)を紹介します。V900はスペースの都合、加工サンプルのみの展示になります。これまで販売してきた加工機にV33i、微細精密加工機としてはiQ300、iQ500があります。V300はその間を狙った製品になります。iQシリーズまではいかないまでも、それにとことん近づけようとしました。V33iは調整を重ねることで、要は手間のかけ具合で加工精度は当然上がります。ボタンをポンと押すだけで狙う加工精度に到達できるのがiQシリーズで、V300はそこそこの調整で狙った精度が出せます。iQは主軸が小さいので大きなワークの加工に向かず、それをカバーして汎用性をもたせたのがV300と言えます。このような加工機は現時点でほかにありません」

――V900については加工サンプルを展示されます。

「ギガキャストを含めてワークは非常に大型化しています。V900はY軸ストロークを従来機V99より大きい1300㍉に拡大しました。展示するワークはサイズ1850×1250×500㍉、重さ6㌧の深い立壁をもつインパネ金型です。長尺工具を使って毎分10㍍以上の送り速度でも安定切削でき、その仕上がり面を金型屋さんにじっくり見ていただこうと思います」

――売れ行きは。

「いま営業活動の真っただ中ですが、高い評価をたくさんいただいています。すでに受注をいただいており、出荷は4月以降になります」

――貴社の金型分野事業の課題と今後の展開も聞かせてください。

「先ほど申し上げたように金型分野の需要は底堅く、お客様としては大手さんが多くを占めます。ただ数として多いのは小規模の金型メーカーさんです。中小のお客様に対して当社は今後どう取り組んでいくのか。もしくはお客様自身がどう取り組もうとしているのか。尖った技術をもつ会社はたくさんあります。そのあたりの調査をしながら事業を進めていきます。やはり金型産業は設備産業ですから、設備できないとデフレスパイラルに陥りかねません。当社の製品ラインナップとしては大手のお客様向けが多いのですが、中小のお客様にも導入し使いやすい製品の開発も同時に考えていかねばなりません。あと次のステップとしてiQシリーズのレベルアップも考えています」

6面【インターモールド】インタビュー牧野フライス製作所西野営業本部長P2V300_CG.jpg

V33発売から数えて25年ぶりに刷新したV300