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インタビュー

エクセディ スマートロボットプロジェクト 部長 プロジェクトディレクター 三浦 良太 氏

投稿日時
2025/03/21 16:43
更新日時
2025/03/21 16:47

アプリで進化する「スマホ的」ロボット 

世の中の移動ロボットは大半がシングルタスクに徹する前提の仕様だが、人が担う現実の仕事は多くがマルチタスクでなかなか彼我の差が埋まらずロボット化できない。だがアプリでいくらでも機能を追加できるスマホのように、後からロボット機能を拡張できればかなりの仕事で自動化が叶うのではないか。この視点で自動車部品大手・エクセディがスマートロボットシステム事業に乗り出した。クラウド基盤とアプリがオープンAPIで連携し、後から機能を拡張。発案者の三浦良太部長は「近々ロボットのアプリストアを立ち上げたい」とし、ソフト開発企業やロボットメーカーへ参画を呼びかける。

――なぜ移動ロボット事業に。

「前職でAGVの設計とソフト開発を行い、エクセディ入社後は生産技術で専用機を開発していました。2013年に生産ラインの出来高や稼働状況を可視化するIoTシステムを発案して内製し、かなり大規模なシステムに育っています。一区切りついた頃に電動化に備えた新規事業案の社内公募があり、飽き性の私は何か新たな事がしたいと。AGV、設備開発、IoT…かけ合わせて何ができるかの答えがスマートロボット『Neibo』でした」

――知見が揃っていた。

「構成はロボットとクラウドとアプリケーション。操作はクラウドを経由しアプリで行います。ハードは汎用の国産部品でほぼ内製に成功。ソフトは一部他社の知見を借りました。ロボットは今のところ配膳・案内・宣伝など多機能な『マルチロボット』と、600㌔けん引できる倉庫・製造向けの『パワフルロボット』の2機種。国産AMRではかなり価格競争力が高いですが、理由はロボットに付随する一品一様のシステムが、我々の場合は不要だからです」

――ロボット動作はどのように。

「地図作成や動作設定など基本操作は標準アプリで完結します。『目的地への移動』『ランプなどのI/O制御』など各機能のブロックを組み合わせるだけで複雑な動作をノーコードで作れます。動作変更も極めて簡単で、使ってカイゼンし、また使うサイクルをお客様が回せる。改造費用が都度生じて結局ロボットを使わない、という生産技術での経験からスマートロボットをカイゼンのネックにしたくない思いがありました。ここまでが標準アプリの話で、肝はここから。スマートロボットは後から機能のカスタマイズが可能なんです」

「クラウドとの接続をオープンAPIで公開しています。例えばレストランのオーダーシステムにロボットへ指示を出すAPIを組み込めばロボット連携が可能に。独自の動作アプリを作って連携させることもでき、自由度が非常に高いんです」

――スマホのように後付けで機能を組み込むイメージですか。

「まさにスマホを想定しています。やりたい動作に対応するアプリをダウンロードすれば、搬送に終始していたロボットが突然『受付モード』や『防犯モード』に変貌。チャットGPTと連携して音声操作で『そこの写真を撮って来て』と指示したり、受付でトイレの場所を聞けば答えつつ『連れていきましょうか?』と言ってくれる。属性認識や顔認証も可能で、マルチロボットに標準搭載したサイネージで年齢・性別に応じた広告表示もできます。ロボットを未進出の業界に普及させるにはマルチタスクで費用対効果を出す必要があり、汎用性を持たせました。生成AIなどITが進化すればロボットの機能も進化します」

■ロボットアプリストア開設

――スマホライクな搬送ロボで実現したいことは。

「少し大きな話をさせて貰うと、我々のクラウドを核にアプリメーカーやロボットメーカーが連携するエコシステムを構築したい。例えばロボットメーカーが我々のオープンAPIを加えれば、そのロボットが突然喋り出すこともできます。アプリメーカーが様々なアプリを開発すればロボットの機能の幅が広がり、SIerなど様々な企業が興味を示してくれる可能性がある。搬送ロボットは海外製に押され日本は出遅れましたが、巻き返すためにも我々のプラットフォームを中心にオールジャパン体制が築ければと考えています」

――そのための取り組みは。

「実はロボットのアプリケーションストアの自社開発を進めています。スマホストアほど立派ではないですが近いイメージ。来るもの拒まずでITやロボットのスタートアップさんにはぜひ参画してほしいです」

――現状の引き合いと今後の注力先は。

「先行するのはパワフルロボットで、倉庫・製造業の実績と引き合いが多い。WMSなど既存システムと簡単に連携できる点とけん引能力、自己位置をロストしにくい点が評価されています。マルチロボットも上下を分離させピッキングに適した構造物を取り付けられるので、意外と倉庫系が出荷先のメイン。ただ様々な連携を通じ、今後はロボットだけではなくロボット派遣やロボットイベントなど『サービス』の提供も視野に入れます。ロボットもですがITはそれ以上に進化する。我々も思いもよらないロボットの新サービスが生まれるかもしれません」

エクセディ写真2.jpg

スマートロボット「Neibo」(ネイボ)。左が600㌔のけん引ができるパワフルロボットで左がより多機能のマルチロボットだ


目で語るロボット


エクセディの「マルチロボット」と「パワフルロボット」には大きな目が付いている。可愛い見た目で愛着を持ってもらう――という狙いもあるが実はAIカメラで人を認識するとその方向に目を向ける機能があり、ロボットが人に気づいたかがわかるため安全性が高まる。パワフルロボットの場合、重量物を運ぶ「けん引モード」だと「ウーッと気合を入れた顔」になるそうだ。ちなみにバッテリーが減ると覇気のない顔に。職場の癒しとして納入先の倉庫で人気を博しつつあるとか。



(日本物流新聞2025年3月25日号掲載)