1. トップページ
  2. インタビュー
  3. GFマシニングソリューションズ 機械営業部 レーザー微細加工機責任者 瀧川 勇気 氏

インタビュー

GFマシニングソリューションズ 機械営業部 レーザー微細加工機責任者 瀧川 勇気 氏

投稿日時
2025/03/13 09:00
更新日時
2025/03/13 09:00

全く新しいことに取り組むのならこのマシン

微細加工で威力を発揮するフェムト秒レーザー加工機。日本の工作機械メーカーは近年相次いで製品化する。だが、発売から10年と先行するスイスのGFマシニングソリューションズはハードとソフトの組合せで競合メーカーとの違いを明確に打ち出す。

2017年からレーザー微細加工機責任者を務める瀧川勇気氏。毎週末は社会人になって始めたテニスを楽しむ。最近1セットマッチの試合にも出場し始めたが、「びっくりするくらいボロ負けでした」。

——フェムト秒レーザー加工機事業は順調ですか。

「フェムト秒レーザーに限らずレーザー加工機事業は比較的好調です。他の製品群はコロナ禍で打撃を受けましたが、レーザー加工機はコロナ後にむしろ問い合わせが増え、販売台数も増えました。コロナを機に差別化を考え始めた企業が増えたと実感しています」

「他社と同じような機械で、同じような加工をしていては差別化につながりません。フェムト秒レーザー加工機を採用しようと考えるお客様には2パターンあると思います。1つは従来機械加工で行っていた微細加工工程の一部または全てをレーザーで置き換えようとするもの。切削や放電加工やケミカルエッチングの代わりにレーザーを使うということです。もう1つは全く新しいことに取り組むには新しい加工機が必要と考えるお客様です。たとえば意匠や微細形状、離型性の向上といった機能シボ(機能性の付与)を自社で独自開発されたり、それらの試作を受託されたりです」

——貴社は昨年のJIMTOFでフェムト秒レーザー加工機(LASER S500U)を出品され、酸化被膜を施したワークを展示しました。放電や切削ではちょっとできない加工です。

「LASER S500Uは従来モデルと比較すると、ワーク積載重量が15㌔に増え、高精度で加工時間は約40%またはそれ以上短縮できます。加えてナノ秒レーザーとフェムト秒レーザーのどちらかまたは両方を搭載頂くことも可能です。搭載するフェムト秒レーザーは自社製の可変パルス式で、レーザー波長をIR(近赤外線)とGR(グリーン)の2種類を切り替えて使えます。加工対象となる材料の幅がきわめて広くなり、ほぼすべての材料を加工できると言ってもいいほどです。加工時に有害なガスが出るなど特殊な材料はあります。もっともガスを除去するフィルターを用意すれば、加工自体はできるようになります。ただし、切断と貫通孔加工には不向きです」

■日本で2ケタ販売へ

——レーザーは加工の断面が先細りになります。

「たしかにテーパーがつきます。また焦点レンズの種類によってレーザースポット径がおおよそ決まります。GRレーザーの最小径は10ミクロン前後です。IRレーザーの最小径は20ミクロンほどになります」

——でもIRレーザーの良さもあるのでは。

「そのとおりです。IRレーザーはエネルギー吸収率の関係で、いわゆる金型材の鋼材と相性がいいと言われています。IRレーザーの方が基本的に加工時間も早いです。価格はGRレーザーに比べると1割以上抑えられます」

「当社のフェムト秒レーザーで強調したいのは、複雑な3次元形状に色をつけたり、シボ加工・ブラスト加工・形彫加工・彫刻ができます。どなたでも比較的簡単に1台4役で3次元加工ができるレーザー加工機は当社以外にはほぼありません」

——フェムト秒レーザー加工機の売れ行きは。

「日本では2017年から販売を始め、年間販売は数台です。海外では2015年発売以来の累計販売は200台を超えました」

——フェムト秒レーザー加工機は日本の工作機械メーカーも近年相次いで製品化しています。先行メーカーとしてどう見ていますか。

「国内のレーザー微細加工の普及は、欧州や中国などに後れを取っています。そのためレーザー加工技術の理解や認知度が増え、普及する機会が増えるのは喜ばしいことです。他社を競合とは考えていません。というのは当社のLASERシリーズは1台4役を実現する加工機ですから種類が異なります。他社製で3次元形状に加工しようとするとレーザー照射範囲が限定されるため小物の加工に限られます。レーザー照射範囲よりも大きなワークを加工するとなると何回かに分ける必要があり、パッチライン(つなぎ目の筋)が残りやすい。当社機ではこの対策をしており、効率の良い最適な軸移動、パッチラインが発生しない分割加工のやり方、パッチラインの消し方など工夫があります。基本的にそれらは当社独自開発技術で、CAMが自動で行うので作業者は手順通りに設定するだけです」

——販売台数の目標はありますか。

「近い将来、年間2ケタは売りたいです。昨秋のJIMTOFで紹介した5軸仕様の『LASER S500U』は精密金型加工向けで、日本には形彫放電加工でコネクターなどを製造するお客様が多いので期待しています」

9面リレーインタビュー・GFマシニングソリューションズ機械営業部・瀧川勇気P2.jpg

金型加工向けに機能強化した5軸仕様の3次元レーザー微細加工機「LASER S500U」でシボ加工+酸化被膜を施したステンレス鋼


強みは万能性


LASERシリーズでは5軸加工時の最大ワーク径810mmまでの4機種のフェムト秒レーザー加工機を用意する。近い将来、さらに大型の機種にもフェムト秒レーザーが搭載される予定だ。その凄さは万能性にあると言っていい。GFマシニングソリューションズは切削や放電加工では難しいダイヤモンド、ジルコニア、セラミックなどの加工を睨み、「切削や放電加工を前提とした研究開発には材料や加工形状に限界がある。フェムト秒レーザーは光を吸収する材料ならほぼ何でも対象になる」と訴える。