インタビュー
スーパーツール 技術開発部 永屋 貴之 主任/阪本 良太 係長
- 投稿日時
- 2024/12/11 14:38
- 更新日時
- 2024/12/11 14:41
開閉ロック式クランプで省力化と事故防止
重機の搬入路の確保や軟弱地の足場確保など、工事施工のあらゆる場面で使われる敷鉄板。一枚で数百㌔から1㌧を超えるものなど、非常に重たい建設資材となるため、敷設や撤去の際には安全配慮が必要だ。また、敷鉄板からフックを抜く作業は、バールで隙間を作るなど道具と手間だけでなく、かなりの力を要する作業でもある。
多様な種類の吊クランプを取り扱い、これまで毎年数万台規模を供給してきたスーパーツールは、吊り上げ時の自動ロックに加え、フックの取り外しを容易にした「SLH3A」(容量3㌧)と「SLH2A」(同2㌧)で、工事現場の安全性の向上と省力化に挑む。
敷鉄板から取り外すときは、レバーを押し下げてシャックルを最後まで回転させる。その状態のままクレーンで吊り上げるとフック本体が重心バランスの変化によりぐるりと回り、フックが敷鉄板から簡単に抜ける。
「数百㌔にもなる敷鉄板に挟まった状態から、フックを抜くのは大変な作業だが、開放ロック機構によりクレーンの力と操作だけで容易に抜去できる。省施工にもつながる」(技術開発部 永屋貴之主任)
また本体とシャックルは鍛造で仕上げており、求められる耐久性を果たしている。
■公共工事で活用効果も
国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS」に登録している同製品。NETISは工事の効率化を推進するための技術データベースだが、公共工事の入札時に加点評価がつくなど活用メリットがある。今年1月には、「活用効果評価済み」として情報種別記号が「VE」となった。
調査結果では、活用された管理用道路工事や堤防強化工事、用地改良工事から、安全性や施工性、施工時間の短縮などで評価されている。
「VE認定による因果関係は明確ではないが、売れ行きは昨年の実績が従来の1・3倍となった」(同社)とも言う。
「従来品の吊クランプ『SLH―N』と施工100枚当たりで比較すると、作業にかかる人件費などを考慮すると経済性が約17%以上アップ(自社調べ)した」とし、「重量物の取り扱い時は人が近くにいるだけで事故リスクが高まる。離れたところからクレーン操作のみで敷鉄板から外すのは安全面でも有益」(技術開発部 阪本良太係長)と話す。
また、今年の春から開始した吊クランプ管理システム「S・M・A・Я・T」にも登録可能。無料のアプリで器具の資産管理や自主点検が簡単に行え、点検忘れもなく、現場の安全管理にも寄与する。
敷鉄板の敷設に使われるスーパーロックフック「SLH3A」
(日本物流新聞2024年12月10日号掲載)