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インタビュー

愛知産業 本社営業本部 商品統括部 ポータブルマシン販売統括課 課長代理 石坂 亮太 氏

投稿日時
2024/12/11 13:41
更新日時
2024/12/11 13:44

メンテ・補修にポータブル加工機需要増

メンテナンスや改修分野でも人手や熟練作業者の不足は深刻だ。特に、国内の発電所や橋梁などのインフラ設備は、建築してから相当年数が経過しているものが多く、保全が必要なタイミングになっている。一方で、こうした設備の部品は大型なため移動させることが難しく、現地加工ニーズが増えている。1980年代からポータブル加工機の販売を手掛ける愛知産業への引き合いも強まっているようだ。導入状況などについて愛知産業・本社営業本部商品統括部ポータブルマシン販売統括課課長代理の石坂亮太氏に聞いた。

現地加工で省力化・非属人化

――ポータブル加工機の市場が伸びているようですね。

「メンテナンスや保全の分野での活用が増えてきました。現在、発電所や橋梁などのインフラ設備が老朽化してきていることに加え、新設やリプレイスする体力が日本にないこともあり、それらを延命・補修して使いたいという要求が増えています。しかし、そうした施設の部品はかなり大型で、専用工場に持っていって加工するとなるとお金も時間もかかる。そこで、半世紀近くポータブル加工機を販売する当社にも、現地加工を模索するお客様からお問い合わせが増えている状況です」

――例えばどのような箇所の加工に使われるのでしょうか。

「当社が代理店をしているポータブル加工機は丸物向けの製品が多いことから、主に配管部品の補修などに使用されています。例えば、ポータブル加工機の専業メーカー・米CLIMAX(クライマックス)社の製品は、石油プラントや発電所などで既に多くの採用実績があります。配管が老朽化してくるとフランジ面が劣化し気密性を保つことができなくなり、内部の気体や液体が漏れてしまう。そうなると場合によっては一大事になるため、老朽化した箇所のフランジ面を削ったり、欠けのあるところは溶接で肉盛り加工した後に面を出すために使用されています。こうした作業は昔、熟練工さんが手作業で行っていたケースもあったようですよ」

――手作業ですか。

「グラインダーや手工具などを使って数日かけて削ることもあったと聞いています。しかし、そうした人材が確保できなくなっていること、そもそも発注側から品質保証や再現性に関する要求が高まっているため、ばらつきが出やすい作業を機械化して精度も品質も保証したいといったニーズが高まっています。クライマックスの製品であれば、取付け方法などを覚えたら誰でも一定の精度で素早く加工できてしまいます」

――他に採用メリットはありますか。

「グラインダーなどと違って、切削工具を使用するので、削り取る際に火粉が出ない。また、基本的にモーター部分には油圧や空圧を使用した機械をラインナップしています。それは、ガス管の交換作業など防爆環境下で使用するケースがあるためで、それが決めてとなって採用いただくケースも多々あります。精度に加えて安全性を担保しやすいということは、評価を受けるポイントとなります」

――今後の展開について。

「メンテナンス関連の需要は今後もどんどん増えていく一方で、職人さんや人手が足りない現場も増えていきます。そうした作業を機械化したいニーズは今後も伸びていくことは間違いありません。一方で、手順さえ覚えれば誰でもある程度の精度で使える機械ですが、言い換えれば、手順を覚えないといけない機械でもある。グラインダーのように気軽に使えるものではないため、施工できるユーザー様を増やしていくことが今後の課題になっていくと思います。現地加工のお困りごとを解消するためにも、まずは実機を触っていただくことが重要だと思います。当社はクライマックス以外のポータブル加工機も多数ラインナップしていますので、まずはお声かけいただければと思います」



(日本物流新聞2024年12月10日号掲載)