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インタビュー

ABBジャパントップインタビュー

投稿日時
2020/12/10 15:44
更新日時
2024/08/19 13:17

ABBジャパン、日本一面倒見のよいロボットメーカー

エレクトリフィケーション、ロボット、オートメーション、モーション事業を世界100カ国以上で展開するABB。その日本法人ABB株式会社の社長にロボティクス&ディスクリート・オートメーション事業本部長を務めてきた中島秀一郎氏が就任した。社長としての抱負や注力分野などの今後の展望を聞いた。

中島秀一郎社長

エレクトリフィケーション、ロボット、オートメーション、モーション事業を世界100カ国以上で展開するABB。その日本法人ABB株式会社の社長にロボティクス&ディスクリート・オートメーション事業本部長を務めてきた中島秀一郎氏が就任した。社長としての抱負や注力分野などの今後の展望を聞いた。

 ——この9月より社長に就任されました。社長としての意気込みをお聞かせください。

社長としての位置付けは、エレクトリフィケーション、インダストリアル・オートメーション、モーション、そしてロボティクス&ディスクリート・オートメーションの4つの事業本部の取りまとめといった形にはなりますが、ABBでは事業部ごとに責任の所在を明確化しています。ロボティクス&ディスクリート・オートメーション事業本部長は引き続き兼任しますので、業績に対する責任を負うという点では事業本部長時代と大きな変化はありません。

ただし、日本人が社長に就任するのは12年振りです。日本人社長のメリットは、日本語で直接コミュニケーションが可能なことと、より顔を覚えてもらいやすい点でしょう。

私は社長就任以前より「日本法人のファンを増やす」ことが重要だと考えています。そのための「顔」として、引き続き、粉骨砕身していきます。

 ——「ファンを増やす」ための具体策を教えてください。

ABBは外資系であり、「黒船」のような見方をされる方もいらっしゃるとは思います。しかし、私たち自身はあまり外資系という自覚をもって仕事をしていません。国内でロボット事業を行なっている期間が長いせいもありますが、他社よりもユーザーに寄り添った提案・サービスを提供している面倒見の良いロボットメーカーであると自負しています。

ロボットメーカーとして製品であるロボットに魅力を感じていただくことはもちろん重要ですが、ロボットは自動化設備のコンポーネントの一つに過ぎません。お客様の目的はロボットを導入することではなく、自動化すること。当社には、自動化設備全体を提案できるエンジニアリング機能があり、現場に寄り添った提案、アフターサービスを提供できるのが強みです。

社内だけでなく、自動化装置や設備設計を行うパートナー企業さんと共同で提案を行うこともあります。ロボティクスの知識・経験が少ないという課題を抱えるパートナー企業さんも多く、ロボットに関する当社のノウハウと掛け合わせることでWin—Winの関係を築けている事例も増えてきました。

 ——新型コロナウイルスの感染拡大により「非接触」「3密回避」などを実現できるとロボットによる自動化に注目が集まっています。

製造業の設備投資意欲が停滞しているという話もありますが、「自動化ニーズ」に関しては、そう感じることはありません。延期はあっても中止はなく、「検討を進めたい」という意欲的な問い合わせが多いです。緊急事態宣言中の4—5月は問い合わせ件数も減ってはいましたが、宣言明け以降は食品をはじめとする三品(食品・医薬品・化粧品)業界やヘルスケア(病院・ラボ)業界など、ニーズが高まっている分野も見られます。加えて自動車部品メーカーのティア2、3などからの問い合わせも戻りつつあります。

コロナ前は「労働力不足」を補うためにロボットなどを用いた自動化を検討することが多かったですが、最近は「3密回避」が実現できる点が評価され、人と同じ空間で作業できる協働ロボットのニーズが高まっています。

 ——「三品」「ヘルスケア」業界での具体的な事例を教えてください。

三品業界ですと、高速ピッキングが可能なパラレルリンクロボット「FlexPicker」などを用いた包装工程の自動化、ヘルスケア業界では協働型双腕ロボット「YuMi」での試験前後の自動化提案を強化しています。例えば、ラボでの試験前のサンプルの準備や遠心分離機への投入・取り出しなどをYuMiで自動化することで、人はより付加価値の高い研究や開発に従事することができます。従来の自動車業界や鉄鋼メーカー、建機メーカーなどに加え、こういったヘルスケア分野にも今後は注力していきます。