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インタビュー

北越工業 販売促進部部長 藤浪 陽一 執行役員

投稿日時
2024/12/09 09:58
更新日時
2024/12/09 10:01

エネルギーミックスで取り組む脱炭素化

「AIRMAN」ブランドのコンプレッサーでモノづくりの現場を支える北越工業。同社はカーボンニュートラルの実現を目指し、さまざまなエネルギーを活用したコンプレッサー、発電機の開発を進めている。同社が目指す「持続可能型製品」の開発と今後の普及について、販売促進部の藤浪陽一部長に聞いた。

――建設・測量展(CSPI)では、脱炭素に向けた意欲的なコンセプトモデルを出展されていました。

「水素専焼エンジンコンプレッサーと水素専焼エンジン発電機、バイオ燃料エンジン発電機、水素燃料電池式発電装置ですね。当社では環境長期目標『北越工業 環境計画2050』を策定、推進しており、2050年までに製品から排出されるCO2排出量を2013年度比で90%削減することを目標に掲げています。それを実現するために水素、バイオ燃料の活用を視野に入れた開発・研究を行っています」

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水素専焼エンジンコンプレッサー「SHS110S」(写真左)と水素燃料電池式発電装置「FCG10S」

――水素専焼エンジンコンプレッサーは世界でも初の取り組みになります。

「水素インフラが充実し、水素活用が一般的になるまでには時間がかかります。それでもいずれ来る水素社会に向けて積極的な研究・開発を行っています。一般への水素コンプレッサーの普及はまだまだコスト的にも難しいですが、高炉を使った鉄鋼製造において水素を活用しCO2発生量を抑制する『高炉水素還元技術』の確立を目指す製鉄業界などでは、水素インフラが徐々に整いつつあります。将来的にはこうした現場への導入が見込めるのではないかと思っています」

――バイオ燃料を使用したエンジン発電機は早期の市場投入も見込めそうですね。

「バイオ燃料発電機は軽油、HVO(廃棄物由来の再生可能ディーゼル燃料)などの様々な燃料に対応できます。また、専用タッチパネルを追加するとCO2の削減量と排出量の可視化が可能です」

■高い省エネ効果生む「台数制御」

――バイオ燃料の普及についてお聞かせください。

「欧州ではエンジン車の新車販売を2035年から禁止するとしていた方針を転換し、バイオ燃料の使用を条件にエンジン車を認める方向に進んでいます。さらに航空機業界も積極的にバイオ燃料の活用を目指していますので、今後普及の方向に進んでいくのは間違いないと思いますが調達面の課題が解決されないと市場への普及は難しいと感じています」

――次世代燃料の普及にはしばらく時間がかかりそうです。現在、貴社で脱炭素や省エネに繋がる機種を教えて下さい。

「多くの機種が省エネを追求した仕様になっていますが、中でもお勧めしたいのはインバータ制御のスクリュコンプレッサーSAS/SMSシリーズですね。高効率ASロータ―にIPMモーターをビルトイン直結構造(対象機種はSAS/SMS22~75)にすることで優れた省エネ効果を実現しています。屋外、屋内設置両方を用意しており、お客様の現場に最適な機種をお選び頂けます」

――複数台のコンプレッサーを運用する現場に対してもソリューションをお持ちです。

「台数制御ですね。設備の稼働状況に応じてコンプレッサーの稼働台数の最適化や制御運転の自動選択により、優れた省エネ効果を発揮します。従来機を4台、台数制御無しで運用するのに比べ、インバータ制御機を4台、台数制御有りで運用した場合、約4割の省エネ効果が見込めるとともに、約150㌧のCO2削減効果を見込める試算もあります。またコンプレッサーの状態をカラータッチパネルで把握できますので、運転状況の把握やバックアップ、メンテナンス性にも優れます」

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複数台のコンプレッサーを省エネ運用できる「台数制御」(YouTube北越工業チャンネルより)

(日本物流新聞2024年12月10号掲載)