インタビュー
三井精機工業 産機販売推進室 彌永 真稔 室長
- 投稿日時
- 2024/12/09 09:48
- 更新日時
- 2024/12/09 09:53
オイルフリーコンプレッサーが好調
国内トップクラスのエア吐出量と省エネ性能を誇る三井精機工業のコンプレッサー。国内市場全体が伸び悩むなか、三品業界を中心に同社の水潤滑オイルフリー機が健闘している。また、昨今では専任の「省エネ提案チーム」を立ち上げ、ユーザーの脱炭素化を支援する構えだ。
運用、付帯設備含めた省エネ提案を
――直近の市場動向をお教えください。
「回転式のコンプレッサー市場にとってはかなり厳しい事業環境だったと言えます。業界全体の出荷台数実績は、前年同期比で10%以上減少しました。当社の産機事業に於ける2024年度上期実績は、業界ほどの落ち込みではなかったものの、前年同期と比較してやや減少する結果となりました」
――工作機械の受注統計と連動するような動きになっているのでしょうか。
「機械需要と連動するところもありますが、やはり業界全体の設備投資が滞っているのが落ち込みの要因になっていると思います。大手企業は計画的に設備投資を行う傾向ですので、どちらかというと中小企業の投資が先延ばしになっている傾向が見られます」
――機種別の需要動向はいかがでしょうか。
「同業他社様も同じような傾向なのですが、小型、中型タイプやオイル式の販売が落ち込んでいます。一方で、大型機種やオイルフリー式は若干の伸びを見せています。当社の水潤滑オイルフリー式も比較的堅調で、出荷台数ベースでも伸長しています」
水潤滑式オイルフリーコンプレッサー「i-14015AX-R」
――オイルフリー方式が伸長している背景は。
「特に食品、医薬品、化粧品といった三品業界からの需要が増加しています。三品業界においてもまだまだオイル式を使われている現場がたくさんあります。昨今、HACCPによる衛生管理やFSSC22000(ISO22000を追加要求事項で補強した食品安全マネジメントシステムに関する国際規格)への取り組みを進める中で、オイルフリー化を目指すお客様が増えています。また、旧式のオイルフリー式を使われているお客様ですと、効率面や省エネの観点から最新のものに更新する、という動きもあります」
■エア漏れ調査で省エネに貢献
――貴社の水潤滑オイルフリー式コンプレッサーの強みは。
「100%オイルフリーのクリーンエアを供給できる点です。ISO8573︱1による圧縮空気の品質等級『クラスゼロ』の認証を取得していますし、独検査機関TUVによる認証も受けています。また当社は工作機械メーカーでもあります。高精度の工作機械によって製作された高精度のキーパーツにより、クラス最大の吐出空気量を実現するとともに、省エネ、高効率の運転を可能にします。また水潤滑は冷却効果も高く、圧縮工程における温度上昇を抑制(圧縮機出口の吐出空気温度は全負荷時空冷式で外気温度プラス20℃以下)しますので圧縮効率に優れており、また、アフタークーラ等の冷却装置も不要です」
――工場における心臓とも言えるコンプレッサーですが、エネルギー価格の上昇などで、さらなる省エネ化が求められているかと思います。
「コンプレッサーの消費電力は業種によって差異はありますが、工場全体で使用する電力の20~30%を占めると言われています。無くてはならないものだからこそ、イニシャル、ランニングコストを含めた検討の余地がある設備とも言えます。それゆえ、昨今ではお客様から省エネはもとより、脱炭素への貢献も含めた提案を期待する声が高まっています」
――そうしたニーズにはどのような対応を。
「当社では『省エネ提案チーム』を立ち上げまして、コンプレッサーや付帯設備を含めた提案活動を行っております。省エネ性の高い機種への入れ替え提案にプラスアルファで、運用面の改善も提案しています。また配管からのエア漏れ調査も行っております。エア漏れが無くなれば消費電力の改善に繋がりますから、こちらは多くのお客様からご依頼を頂いています」
――工場内エアのインフラ整備・点検までを行っているのですね。
「他社様のコンプレッサーをお使いのお客様にも積極的に運用方法の提案をさせて頂いております。すぐには商売に結び付かなくとも、次回更新の際には当社のコンプレッサーもひとつの選択肢としてご検討頂ければと考えております」
独自の圧縮機構「Zスクリュー」は工作作機械メーカーならではの最新の加工技術や解析を駆使し、究極の精度を実現している
(日本物流新聞2024年12月10日掲載)