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インタビュー

タカラスタンダード 小森 大 社長

投稿日時
2024/11/27 15:59
更新日時
2024/11/27 16:01

DX、新規事業へ組織改革

タカラスタンダードの小森大新社長(4月1日付)体制が本格的に動き出した。「TDX推進本部」「ロジスティクス本部」などを新設するほか、営業拠点の統合による効率化を図る(発令は来年1月1日)。小森社長に組織改革の狙いや今後の戦略を聞いた。

――中間期決算の受け止めは。

「売上高は中間期の過去最高を更新し営業利益は二けた伸びて増収増益でした。就任会見では『利益率の改善』を掲げていましが、若干、目標には届きませんでした。しかし足元が厳しい中で、一定の成果が出せたと認識しています。業界の傾向とは異なり上期は新築が好調で、リフォームは駆け込み需要の影響で前期割れでした。戸建て新築の着工数減少などで強い危機感を持った営業部隊が新規開拓へ強力に取り組んだおかげです。新築専用のショールームがあるのも強みですね」

――好業績を支えた商品と言えば。

「マット調のホーロー商品が人気です。ホーローは熱や汚れに強いという水回りに最適な特徴を持つ一方、独特の光沢がありました。インクジェット印刷のベースとなる釉薬の配合を見直しマット調を実現。近年、ボリュームゾーンにも展開して好評です。お風呂も、パネルの柄を見直し高級感を高めました。トレンドを、ホーローで表現できたことが好感されました。また大容量で洗浄力が高い海外製食洗機『Bosch』を採用したり、マンションでも『肩包み湯』機能が付いたお風呂を発売するなど高機能化もニーズを捉えました」

■営業拠点集約、エリアマネージメントへ

――社長就任から半年が経過しましたが。

「長年の歴史の中で積み残された課題や困難な問題の解決に道筋をつける必要があります。例えば現在、15工場、10物流拠点があります。BCPの観点でメリットもありましたが、人口減少社会でこのままでいいのか、検討が必要でしょう。また中期経営計画でエリアマネージメントを打ち出していますが、その第一歩として営業拠点の集約も進めます。東京支社長時代に個人単位だった営業活動をユニット単位へ改革して効果が出ました。現在、人員が分散している地方でユニット化の横展開は難しい。地域密着を大事にしながら営業拠点を集約し標準化を進め、ユニット化やチーム営業も選択肢にDXを進めます」

「本社機能ではより専門性を追求するため『生産本部』と『ロジスティクス本部』を分離したり、管理本部財務部のIR部門を独立させ、『管理本部ⅠR部』を新設するなど組織再編を行います」

「DXでは、開発、生産、受発注、物流、施工を一気通貫で人が介在せずにデジタルでつなげられる基幹システムの構築を目指します。外部のサプライチェーンとの接続も見越して設計しています。社長就任時に構造改革推進室を作り、当社のあるべき姿を半年にわたって設計しました。今回、TDX推進本部を設置し、構造改革推進部と情報システム部を統括し、実行段階に入ります」

――新規事業は。

「例えばホーローの釉薬『フリット』は歯科材に転用されています。フリットでさらに付加価値をつけた活用ができないか。M&Aや全くの異業種などの『飛び地』ではなく、当社が持つ技術的資産を棚卸して『次の50年続く新規事業をつくれ』と号令をかけています。新規事業を創出する部署『ビジネスディベロップメント本部』も作りました。DXと新規事業はトップの覚悟次第だと言われますが、胆力でやりきるとここで宣言します」

――ソフト面では。

「当社のこれまでのイメージは、体育会系でがむしゃらに働く、ではなかったでしょうか。企業理念の一つに『エシカル・スタンダード』を掲げ、社会との調和、環境への配慮のほか『社員の幸せ』を前提に利益成長を目指しています。ただ、掲げているだけで、ほとんど手がついていない。『社員の幸せ』が実現できてこそ、社会への貢献も出来ます。小さな一歩ですが『ボランティア休暇』を創設します」

(日本物流新聞11月25日号掲載)