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インタビュー

赤松電機製作所 代表取締役社長 赤松 竜太郎 氏

メンテナンスレスの「スマートミストゼロ」訴求

モーターを扱う事業として、大正14年に創業した赤松電機製作所。モーターを利用した送風機事業を時代や産業の変化に合わせて進化させ、現在はミストコレクターを中心とした環境改善機器メーカーへと発展した。来年、100周年を迎える同社・赤松竜太郎社長に戦略を問うた。

――直近の受注状況はいかがでしょうか。

「環境機器は工作機械の受注動向に一定程度左右される部分がありますが、上半期は比較的堅調でした。ただし秋口から工作機械の軟調の影響が出てきています。工場の新設や拡張に伴う案件は安定していますが、中小企業が一台機械を入れたので、ミストコレクターも一台売れた、というような『日売り』案件が減ってきている印象です」

「環境意識の高まりは続いていますが、まだまだオイルミストがもくもく、という現場もあります。半面、環境を整えることで温度や湿度管理を適切化し、高精度化を推進したいという高度なニーズもあり、データなどを蓄積し、後者にも対応できるようにしていきます」

――ヒュームコレクターはいかがですか。

「水を使った二重の消火機能と捕集効率アップを重視したスーパーコレクターと、小型・移動式でコストパフォーマンスに優れたヒュームスモーカーの2ラインを展開しています。特化則への対応が進んだ結果、ヒュームスモーカーの需要は落ち着きました。半面、スーパーコレクターには根強い需要があります。特に既設のヒュームコレクターから火災が発生したなどの事情があり、『絶対燃えない集塵機が欲しい』と探しているユーザーの置き換え需要が予想以上に多く、販売促進に再注力していきます」

――下期の営業・経営戦略は。

「一昨年にリリースした『スマートミストゼロ』の普及と、5年ほど前に新設したカスタマーサポートチームによる顧客満足度の向上です」

――「スマートミストゼロ」の特徴は。

「人手不足が深刻化しており『100台工作機械があるが、保全は数人。さらに人が減りそうだ。周辺機器まで手が回らない』、といったユーザーの声は珍しくありません。そこで限りなくメンテナンスレス(ゼロ)にして、手をかけずに済む製品を開発しました。1マイクロ㍍の微細ミストまで99%捕集できます。そのうえで、新開発のロータリーマジック機構を高速で動かすことで捕集と清掃を同時に行いますので、ほぼ汚れがつきません。発売から1年たちましたが、現在までにメンテナンス事例はゼロです」

■既存機「ちょい足し」で満足度向上

――カスタマーサポートとは。

「営業とは別のサービス部隊です。定期的なメンテナンスにより、生産性が向上する製品群もありますし、よりよい使い方も提案できます。ユーザーにとっての『よろず相談所』を目指しています。また更新需要などを捉えて適切に提案することも可能となります。カスタマーサポートからの『お客様のお困りごと』情報を含め、各所からのフィードバックを活かした『お客様視点』の商品開発が出来始めています。そうした中から、今、世の中にないような新製品の開発が始まっています」

――オニカゼミストコレクター用「インバータユニット」を発売されました。

「カスタマーサポートとも共通するのですが、既存のユーザーへのアプローチとして『ちょい足しメニュー』を充実させていきたい。同製品は後付可能で、電気代を最大約5分の1にします。設備を入れ替えるという大きな投資なしに、エコや電気代削減に貢献できます。利益を抑えて低価格化を実現していますが『既存商品の満足度を上げる』ことで、買い替え需要や新製品への切り替えの需要を確実に捉えたいと思っています。またJIMTOFで、同様のコンセプトのフィルターユニットを参考出品します。ヘビースモーカーの場合、小型のものだとメンテナンス周期が早い、とお困りのユーザーもいました。大型機の既存フィルターを、小型機にも装着可能にするユニットとなります。フィルターが大きくなれば何倍にも交換周期が伸びますが、総合的に価格や手数は抑えられます。この『ちょい足しメニュー』はカスタマーサポートと連携して提案していきます」

――来年100周年ですが。

100周年『2525(ニコニコ)プロジェクト』を立ち上げて社員からのボトムアップ型でいろいろと企画を練りこんでいます」

「私はたまたま100年の節目のバトンを引き継いだだけです。100年をゴールにするのではなく次の100年に向けて走っていくために、この100年で生まれた問題や積み残した課題を改善する必要があります。そのためには社員全員がビジョンを共有して一丸とならないといけない。『新しいことに挑戦する』『人に喜ばれることをする』という日々の行動を通じ『工場環境の整備(Factory beauty)』に貢献し、『地球環境の恩恵を後世に繋ぐ』という大きな目標に向かっていく基本理念を作り、一つ一つ積み上げています」

赤松電機写真2.jpg

ミストコレクター「スマートミストゼロ(SMX)」

■ひとこと



JIMTOFでは、人手不足に対応したミストコレクターを訴求し新規顧客を獲得する展示と、既存ユーザーに対する「ちょい足しメニュー」を半分半分で提案する。不確実性を増す下期に「(工作機械の需要が)上向く場合は新規顧客獲得へ、上向かない場合は『ちょい足しメニュー』を中心にした既存ユーザーへの深耕営業。どちらに転んでも対応できる」(赤松社長)という経営戦略を体現したブースになる。

(2024年9月25日号掲載)