インタビュー
佐川グローバルロジスティクス 執行役員 営業担当 兼 営業部 部長 瀬山 嘉治 氏
- 投稿日時
- 2024/02/27 09:48
- 更新日時
- 2024/02/27 09:53
現場中心×最新機器・サービス提案で次代を深耕
2020年に竣工したSGホールディングスグループの次世代型大規模物流センター「Xフロンティア」で自動倉庫を活用したECプラットフォームサービスを提供するなど、新たな取り組みを進める佐川グローバルロジスティクス。2024年問題を前に、同社の取り組み状況や今後の展開について執行役員であり営業部部長の瀬山嘉治氏に聞いた。
庫内最適とお客様最適を舵取りながら機械化推進
――「物流の2024年問題」が大きく叫ばれています。貴社の所感と今抱えている課題について教えてください。
現場にとっては今が一番大変な時期ではないでしょうか。物流の2024年問題によるトラックドライバーの時間外労働時間の上限規制だけではなくて、少子高齢化や労働力の減少など様々な問題が折り重なっています。また、人が集まっても定着しづらかったり、最低賃金の上昇、電気料金・物価も上昇しています。そうした状況にも関わらず、お客様が物流事業者に求める品質は変わっていません。逆に効率やより高い品質が求められつつあります。
―― 一番大変な時期とのことですが、状況の打開に向けてどのような取り組みを進めていますか。
前述の通り、この数年で大きく事業環境が変化しています。これからは、明日までに関東から遠方まで荷物を運んでくれと言われてもできません。数年前に結んだ契約では現在のサービスが維持できなくなっていることをお客様にご理解いただき、契約の見直しを随時進めています。一方で、できないことばかりではなく、当社に業務委託することのメリットも提案できなければなりません。そのためにも、外部環境の変化を迅速に社内の共通理解とするために社員教育に力を入れています。
■機械化は必須だが…
――ECプラットフォームには最新のマテハン機器を多く取り入れるなどの対応も見られます。機械化も課題解消に寄与しそうですか。
ECプラットフォームは大規模に自動化機器を取り入れましたが、当社の機械化は基本的に全自動化を求めていないです。中堅中小のお客様も多いですし、扱う荷物も多品種小ロット変動型ですので、機械だけではバランスを取りきれません。大きな変動時にはやはり人が頼りとなります。そのため、入口から出口までの全体最適を目指しながらも、お客様ごとの特長によって部分最適な提案をすることが多いです。
――機械を導入したら全て解決とはならないのですね。
杓子定規にははまらないですね。自動倉庫「AutoStore」などを活用したプラットフォーム事業は、様々な荷主様の荷物を当社が用意した同一のシステム上で管理するサービスです。小ロットから柔軟に荷物を預かるためお客様にとってはメリットが多いのですが、当社にとっては様々な課題も出てきました。これはやってみないとわからないことでした。従来のオーダーメイド型のサービスを主としながらも、機械化・プラットフォーム化のような新たなシステムの開発は随時模索していく必要があると思います。
――機械化に関して新たな取り組みはありますか。
これまで当社は倉庫を増やしていくことで売上利益を拡大していくという考え方でした。一方で、倉庫を一つ増やすということはその分人材も分散します。人材不足が深刻な中、そうした拡大方法だけを続けていくことがはたして持続可能かを検討しています。全国の拠点を見渡してみると天井の高さを活用できていないところもあるので、既存拠点を保管効率の点から見直す必要もあると思っており、自動倉庫やACR(Autonomous Case-handling Robot:ケースハンドリングロボット)などの導入も検討しています。
■冷凍冷蔵分野に熱視線
――来年にはWMS(倉庫管理システム)の刷新なども控えています。WMS刷新のポイントと力を入れていることを教えてください。
刷新するWMSは、これまでの特長であった1から全て作りますというサービスから、当社のお客様のオペレーションの特長を60数パターンに分類し、ある程度のカスタマイズのみで構築できる形に変更しています。ジャストフィットという強みを維持しながら、迅速な立ち上げとコストメリットを出せるような商品設計となっています。このほかにもWCS(倉庫制御システム)や画像認識技術を活用したAI-OCR(光学文字認識)機能などを、来年1月から2段階に分けてリリースしていきます。
力を入れているのは冷蔵冷凍分野の開拓です。昨年7月には当社初となる冷凍冷蔵倉庫「Cold Logi船橋」を開設しました。近年拡大する冷凍冷蔵ニーズから、多くの引き合いをいただいています。まだまだ参入したばかりなので試行錯誤している段階ですが、お客様のニーズを迅速に捉えて新たな価値を提供しながら、事業を継続・拡大していきたいと考えています。
Xフロンティアでは機械化を大幅に進めた
(2024年2月25日号掲載)