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インタビュー

ジャンルを問わない製品開発

投稿日時
2021/07/16 09:37
更新日時
2024/08/19 13:22

研磨相談しやすい仕組みも

仕上げまで一貫してやっていく----研磨材メーカー「柳瀬」の柳瀬孝之社長は強調する。ただし製品開発にあたって、研磨にこだわらず、ジャンルを問わず検討しているそう。コロナ禍の製品提案、新たな自動化メニュー、LINEによる相談窓口開設と、変革に向けて手を打ち続けている。

柳瀬 代表取締役社長 柳瀬 孝之 氏

-バフカスがきれいに落ちる高洗浄研磨剤、カップブラシの進化版「ブラッキーブラシ」など、新製品を相次いで発表しています。

「新製品は、毎週開催しているミーティングから生まれることが多いです。全国の営業スタッフが出席し、必ず新製品の案を出し合うことにしています。当社の強みである『研磨』だけでなく、ジャンルを問わずに発表してもらっています。市場全体を見ながら、提案や製品分野に広がりを持たせたいからです。最終的には製造と営業で編成した開発チームが判断しています。採用されないことも多いですが(笑)」

-周知することが難しい状況です。

「商談展示会で発表する機会がないため、発売するタイミングに悩んでいます。ただコロナ禍で対面によるPRが難しくなった反面、オンラインが当たり前になったことで販売店様に説明する展開速度が早くなりました。販売店様との同行提案が現状難しいため、サンプル品と一緒にポストカードサイズのチラシも同封してお渡しする取り組みを一部で進めています。砥石のように当社が扱う製品の多くは消耗品ですから、その利点を生かして気軽に試していただこうというのが狙いです」

-なかでも、セラミックディスク「BTOP」の拡販に力を入れています。

「リニューアルし、当社従来品に比べて半額まで抑えました。セラミックディスク発売から約10年が経ち、材料費が下がったためです。ビード除去などに最適な製品として、価格の優位性を売りに全国でサンプル配布を展開します」

■新たな自動化メニュー

-自動化提案も進めています。

360度定圧でツールが平行移動するバリ取り研磨ロボット、スピンドルユニット1つでさまざまなツールが使える「Perfect Finish」に続くメニューとして、協働ロボットも含めた多関節ロボットに装着する研磨ディスク用ツールホルダーを今秋発売します。オーストリアFERROBOTICS社の製品で、上下動作する蛇腹が砥石の摩耗状況に応じて、表面処理加工の圧力や接触面を適切に調整してくれます。今年10月に開催予定の展示会『メカトロテックジャパン2021』の初披露に向けて準備しているところです」

-バリ取りの無料相談を受け付けています。

「電話、FAX、メールで連絡いただければ最寄りの営業所(全国6カ所)から専門スタッフが伺います。『もっと気軽に相談したい』との声に応えて、公式LINEアカウントによる相談も開始しました。ベテランの技術担当者が適宜回答します。ワークや砥石の写真を送りやすく、お困りごとを端的に書いていただける。お答えできないのは、価格と納期ぐらい。技術的なことだけでなく、在庫に関する問い合わせにも対応します」

-SNSによる情報発信も活発です。

「とくにYouTubeに力を入れています。今度発行する総合カタログには、対象製品に動画にリンクするQRコードを掲載します。デザインや仕組みだけでなく、アイテム点数も見直しながらカタログを制作したことで、『柳瀬は変わったな』と言っていただけるようになりました。7月中には公式ホームページを大幅にリニューアルし、各種SNSとも連動させる予定です」

-中期経営計画の最終年度です。

3カ年計画として、物流・受注システムの見直し、開発チームの立ち上げ、検査の機械化も含めた品質向上に取り組んできました。これらの事項も実現し、経常利益目標に掲げた11000万円もおかげさまで2年目に達成しました。しかし、まだまだ変革の途中です。SDGsDXを意識した中期経営計画を練り、取り組んでいきます」