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インタビュー

日本食糧新聞社 平山 勝己 副社長

投稿日時
2024/02/27 09:29
更新日時
2024/02/27 09:36

顔と顔を合わす展示会、オンラインでは代用不可能

国内最大級の業務用食品・食材、機器、容器の総合見本市「FABEX(ファベックス)東京2024」が4月10日〜12日にかけて 東京ビッグサイトで開催される。主催するのは、食品業界の専門紙「日本食糧新聞」。専門紙がBtoB展示会を開催する先駆け的な展示会でもある。平山勝己副社長に、アフターコロナでの展示会の役割、メディアと展示会の融合の意味などを聞いた。 

――ファベックスの歴史は。

平山 今回4月の開催で27回目になる。今日までの約30年間で、惣菜を中心にした中食業界の市場規模は40%の伸びを示した。第1回開催当時は、ホーム・ミール・リプレイスメント(HMR)やミールソリューションという言葉がアメリカから入ってきて、これから日本も外食でもなく内食でもない中食の時代が来るだろうと言われながら、まだまだ認知度も低かった。ファベックスはいち早く中食を手掛けたが当初は、東京ビッグサイトのワンホールがやっとだった。中食や惣菜の成長とともにファベックスも規模を拡大した。同時に黎明期であった市場に、事業者と仕入れ先のマッチングや業界内の商談、交流の場として貢献も出来た。12年前にファベックスは関西(大阪)に進出、4年前に中部(名古屋)にも展開し、食を通じた地域振興に軸足を置いた。

■食品食材と機械の混合展示で思わぬ出会いを創出

――食品だけではなく、周辺産業も出展しているが。

平山 第1回目から食品食材だけでなく、容器メーカーの出展、惣菜製造機械や設備機械メーカーの出展をお願いしてきた。機械と食品を一緒に扱う展示会は今でも少ないが、来場者にとっては、食材を探しに来たが「ついでに容器もみよう」とか「そろそろうちの工場の機械更新時期だな」など思わぬ出会いを創出できる。また設備機器メーカーのブースは人が疎らなことが多いが、試食を配って人を集める食品メーカーの近くに配置して人流を呼び込むことで活性化するなど、さまざまな効果がある。機械と言っても当初は簡単な製造装置が多かったが、これからは自動化・省人化提案に力を入れていかないと業界の課題解決にはならないと思っている。

――国際化も。

平山 これまでは国内向けだったが、今回から「国際菓子専門見本市ISM」(主催ケルンメッセ)や「Anuga Select」(同)、「ProWine」(主催メッセ・デュッセルドルフ・ジャパン)という国際規模の大型展示会を誘致して同時開催する。国際展示会は、アジアのハブとして東京で開催するので、アジアのバイヤーを呼んでくる。日本のメーカーにとっては、海外輸出につながる大きな機会となるだろう。

■展示会だけではアピール力不十分、新聞あってこそ

――専門新聞社が展示会を主催する意義は。

平山 新聞などの媒体がなければ展示会だけではアピール力が十分ではない。紙面展示会や応援企画を媒体で実施し、高い相乗効果を出している。本紙だけでなく「月刊食品工場長」という雑誌を持っているが、その雑誌を中心に昨年のファベックス関西で「食品工場スマート化総合展」を初開催した。まだまだ産声を上げたばかりだが、食品工場の自動化・省人化のニーズは高まっており今後の拡大に一定の手ごたえを感じた。

――新聞と展示会の更なる相乗効果も目指される。

平山 ファベックスの来場者情報、紙面購読や電子版で接点をもってもらった方の情報、各記者や営業が交換した名刺情報などを、もちろん許諾をもらいながらデジタルデータ化し、分析を加えながらターゲットに最適なアプローチを実施していく。専門紙の記者や営業は個人商店化〟しがちで、顧客を自分たちで抱え共有資産として一元化することを強く嫌うが、そうした古い体制では成長しないとDXに取り組んだ。

――新型コロナが一定の収束をみせたが展示会はどう変わる。

平山 多くの展示会事業者がコロナ禍でオンライン展示会を実施した。我々もやったが、少なくとも食品に関しては、触り、香りをかぎ、食べてみなければどうしようもない。リアルの展示会にとって代わることはない。サンプルを事前に送るなども試みたが、バイヤーの机がサンプルの山になって「こんな食えねえよ」と。リアル展示会なら一口ずつ食べられるのもいい。機械も、目の前で稼働しているのを見て触らないと難しいのではないか。ただし、進化したものもある。セミナーや勉強会でのオンライン活用、出展説明会のオンライン化、事前登録制などは今後も活用していけるだろう。

――食品業界は自動化が遅れているといわれるが。

平山 業界の人手不足解消を目的としてAI・ロボット化を推進している日本惣菜協会に共催してもらっており、いろいろと取り組みを進めている。価格競争が激しかったこと、中小企業が多いことなどで自動化は遅れていた。コロナ禍や円安で外国人技能実習生が受け入れにくくなり、主婦パートが高齢化したことなどで人手不足が深刻化して切羽詰まっている。食品メーカーは大なり小なり、みんな工場を持っているので今後自動化省人化の需要は膨大にある。ただ、食品産業の人は、手作り感を大切にしたり、自分から最新情報を積極的に取りにいかない傾向がある。待っているのではなく、展示会、紙面、ネットなどを活用して、助成金情報なども添えて自動化や省人化の情報を積極的に届けていくしかない。

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昨年開催の様子

(2024年2月25日号掲載)