インタビュー
大有 専務取締役 宮永 恭佑 氏
- 投稿日時
- 2023/03/08 09:00
- 更新日時
- 2023/03/08 09:00
マテハン機器メーカーに聞く「労働安全衛生」
高齢・女性作業者など多様な人材が製造現場で活躍するようになってきたこともあり、企業は労働安全衛生に気を配る必要がこれまで以上に高まっている。原材料投入機やドラム缶搬送機などを手掛ける大有の宮永恭佑専務取締役にマテハン機器メーカーから見た労働安全衛生について話を聞いた。
――労働安全衛生関連のマテハン機器の市況感を教えて下さい。
かなり力を入れている企業が多いという印象は受けている。実際、職場の労働安全衛生を見直したいという問い合わせの件数が明らかに増加している。
――背景にあるものは。
人手不足や作業員の高齢化がまずある。加えて、女性のパートさんが製造現場で働く事例が増えてきた。男性中心の職場よりも、女性がいる職場の方が重たいものを持たせたくない、危険なことをさせたくないとの意識が強く働いているように思う。今後そういう現場は増えるので、職場環境の見直しの動きは加速していくとみている。
――具体的にどういった製品がありますか。
最近は、フレコンバッグや袋体ワークに入っている原料をほぐす作業を行う各種ブレーカーの需要が特に伸びてきている。これまでは金属バットなどの道具で叩く、あるいはクレーンやフォークリフトで持ち上げて地面に叩きつけるといった、危険な作業を伴うケースが多々あった。いつ事故が起きるかわからないのでやめたいという話から当社に問い合わせがくる。
――オーダーメイドも強みですが、そのメリットは。
限りなく人への労力を減らすことができるのがオーダーメイド品を活用するメリット。例えば、原料の投入口が1・5㍍の高さにあって、標準品が1㍍しか上がらなかった場合、残りの50㌢は人が何とかしないといけない。オーダーメイドであれば投入口の位置やサイズを考慮し、最適な仕様の装置を作れる。現場ごとの最適化な製品を使うことは、労働安全衛生の観点から見てもメリットが大きい。
■修理・メンテ体制を強化
――昇降機に該当するか判断するフロー表の提供もされています。
労働安全衛生法あるいは建築基準法における昇降機に該当するのかどうかをわかりやすく判断できるものです。昇降機である場合、労働安全衛生法や建築基準法に照らし合わせて、定期的なメンテナンスが必要になるが、そもそも昇降機であるかを判断することが難しい。昇降機能は有しているが、法的には昇降機という区分に該当しない製品もある。
判断に困りグレーな状態で運用しているケースが少なくなく、使用している機器が昇降機にあたるのか明確にし、安心して正しい運用をしていただくきっかけになればと思い作成した。
――力を入れている取り組みは。
修理・メンテナンス体制の強化に取り組んでいる。これまでは修理の依頼が来てから対応するといった感じであったが、年々修理・メンテナンスの問い合わせ件数が増えていて、売り上げ自体も伸びている。特に壊れてからの修理の問い合わせではなく、壊れる前のメンテナンスの問い合わせが増加している。今後さらに拡大していくと思う。
そのため、会社としてメンテナンス事業に力を入れていきたいと思っている。また、メンテナンス対応の人員を増やすとともに、エンドユーザーに関するデータベースの作成に力を入れている。つまり、どこに何が納入されていて、その耐用年数が何年で、いつ修理したかといったデータを残すことで、当社からエンドユーザーに向けて適切な時期に最適なメンテナンスの提案ができる体制を整えていきたいと考えている。また、そうした取り組みが新規の営業にも繋がる可能性があるとみている。
(2023年2月25日号掲載)