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インタビュー

コマツNTC 取締役 副社長執行役員 開発本部長 福岡 隆司 氏

投稿日時
2025/03/17 09:00
更新日時
2025/03/17 09:00

ギガキャスト後加工とFSWに参入

 自動車の量産で用いるトランスファーマシンを手がけるコマツNTC。エンジンやトランスミッションの生産が主力だが、JIMTOF2024ではギガキャストで成形した大型ダイカスト品をワンチャックで加工する大型加工機とロボットFSW(摩擦攪拌接合)を披露し、大きな話題を呼んだ。EVかHVかそれ以外か----クルマの先行きが見通せない中、新工法にいち早く対応した製品開発を行うことで、曲がり角の先の需要を捉える。

——貴社の工作機械は量産に強いイメージです。

「マシニングセンタや研削盤を連ねたトランスファーマシンが主力で、国内の全完成車メーカーへエンジンやトランスミッションの量産ラインを納めています。カタログ品というより要望どおりの仕様に作り込む専用機志向の製品が多数。他に車載電池の製造装置や半導体向けワイヤーソーも手がけます」

——電動化の先行きが不透明で、自動車の新規投資が膠着しています。

「トランスファーマシンが電動化の影響を受けています。HVが好調でエンジン生産自体は落ちていませんが、新規投資を各社とも決めかねている。案件はありますが決定が伸びています。ただ今後は再びEVに傾く可能性もあり、エンジンの減少に備える必要も。そこでギガキャスト成形品とその他EV部品の加工に特化した立形大型加工機『KV420L』を開発しました」

——W6800×D5500×H5800㍉の機械サイズです。ここまで大型は初ですか。

「6㍍のクランクシャフト加工機など大型機自体は以前から製作しています。ただ、お客様と話をする中でギガキャスト部品の加工機に求められる要件が見えてきました。すなわちとにかくサイクルタイムが早い大型機が必要だと。ギガキャストはニアネットシェイプで後加工の切削量が少なく加工負荷も低い。従来の門形大型加工機は重切削が可能ですが加工はスローです。KV420Lは毎分2万回転のユニバーサル主軸を2本持ち、各軸が独立して高速で動きます。ワークを裏返してチルトテーブル越しの加工も可能で、ワンチャッキングで複雑形状を6面すべて加工できます」

——開発には貴社の技術がどう活きた。

「我々はエンジン領域で散々揉まれ、千本ノックを受けながら技術を確立してきました。それをご破算にしてはもったいない。KV420Lは自動車で培った信頼性の担保されたユニットを極力流用し、短期で開発しています。ラインビルドの知見も投入しました。切粉が滞留せず、面積効率にも優れラインに無理なく組み込める。大型ワークは段取り替えがネックですが、これもロボットの搬入出に合わせテーブルが前後へ『迎えに行く』ことで効率化を図っています」

——ギガキャストの採用は増えそうですか。

「ある程度増えるでしょう。ただ全てギガキャストに置き換わるとも思いません。ギガキャストをコンサバティブに見る向きもあれば前のめりに見る向きもあり、どちらも正解でその『幅』の中に現実も収まるのではないでしょうか。ミドルクラスやSUVはそちらに流れる可能性がありますが、コンパクト車はその限りではない、とか。ただ主流かはさておき業界がギガキャストへ傾いた時に出遅れてはならない。KV420Lも具体的な引き合いをかなり頂いています」

■FSWもターンキーで

——JIMTOFでロボットFSWも提案されました。大型機の隣にありましたね。

「ギガキャスト加工機とセットで提案するわけではなく、新たな工法に取り組むというメッセージです。FSWは日立パワーソリューションズから事業を譲り受けました。アルミ同士に限らずリアアンダーボディにストラットを接合する異材接合も可能。今後はこれらの工程をひっくるめてターンキーで請け負えます」

——FSWは接合品質が高いと聞きます。自動車業界での普及状況は。

「じわじわ、ですね。量産では車より新幹線など鉄道で使われています。普及に時間がかかっているのは、溶接やボルティングなど既存の接合工程を単にFSWに置き換えたのでは享受できるメリットが限られるから。FSWをベースに製品設計を行うことで初めて部品の薄型化などの『うまみ』が得られます。FSWは我々の既存事業とシナジーがあり、MCにFSWを取り込むことも考えられます。いずれにしてもコマツNTCの強みはお客様と共に最適なラインを考え提案するラインビルド能力。FSWとギガキャスト加工機で、その引き出しが大きく広がります」

KV420L 透過背景_20241101.jpg

ギガキャスト部品の加工専用機である立形大型加工機「KV420L」を2024年11月に発売した


やはり目立った大型機


JIMTOF2024のコマツNTCのブース。記者も足を運んだが盛況すぎてなかなか機械に近づけなかった。会場内でもひと際大きな加工機「KV420L」が2本の主軸で巨大なワークをひっくり返しながら6面加工するインパクト、何よりギガキャストとFSWという新工法を捉えた提案が関心を集めたのだろう。同社ブースの来場者は22年と比べ75%増えたそうだ。福岡副社長も「絶大な効果があった」と振り返る。

(日本物流新聞2025年3月10日号掲載)