インタビュー
Nexa Ware 代表取締役社長 北村 隆之 氏
- 投稿日時
- 2024/12/24 09:48
- 更新日時
- 2024/12/26 11:15
適切なデータ取得・活用が自動・無人化のカギ
自動仕分け機などに強みを持つ椿本チエインは今年4月、通信大手のKDDIと共同で出資し合弁会社「Nexa Ware(ネクサウェア)」を立ち上げた。「物流×通信」によって、多様なメーカーや機器に対応したベンダーフリーな「次世代型の物流自動化ソリューション」の提供を目指すとしており、8月には庫内作業のデータ分析サービス「Nexa Warehouse-Optimizer(オプティマイザー)」の提供を始めた。取り組みについて同社代表取締役社長の北村隆之氏に聞いた。
――「Nexa Ware(ネクサウェア)」設立の目的について教えてください。
「2024年問題や2030年問題といった言葉で表されるように、労働力の不足が物流の現場でも既に深刻な課題となっていて、今後さらにその状況は加速していくと見られています。我々は、マテハン機器を手掛ける椿本チエインの庫内作業の省力化・効率化ノウハウとKDDIの持つ通信・ソフトウェア技術やデータ活用の知見を組み合わせることで、そうした社会課題の解消に寄与する新たな物流ソリューションを提供したいと考えています」
――具体的には。
「人手不足に対応するため、物流センターも10~15年前のマテハン機器はソーターだけという状況から様変わりし、入荷から出荷まで様々なマテハンを組み合わせて自動化するところが増えています。この際問題となるのが、それらを統合的に管理・運用できるツールが乏しいことで、導入後に適切なデータを取得・分析できず、本来の性能や庫内全体の効率化ができていないケースが目立ちます。我々はここを簡単に繋ぐプラットフォームを提供していく」
――設備導入などには手を出さない。
「いえ。我々でマテハンのシステム設計も立上げも行えます。そこに加えて、導入したマテハンを運用するためのソフトウェアも我々で提供できる体制を整えている最中です。基本的に我々はフラットな立場でお客様の自動化・無人化に伴走したいと考えており、ベンダーフリーで様々なメーカーのマテハンを繋いでいこうと考えています」
■データ活用プラットフォームで無人化実現へ
――8月に発表されたデータ分析サービス「Nexa Warehouse-Optimizer(オプティマイザー)」について教えてください。
「近年、WMS(倉庫管理システム)やWES(倉庫運用管理システム)、WCS(倉庫制御システム)を活用する現場が増えています。そのため、多くの現場で、在庫が何個あるとか、作業者1人当たりのピック数など総論的なデータは取得できています。しかし、ピッキングの内訳などを細かく見ていこうとすると途端に難しくなってしまう。データは取れていても自動化・無人化に向けた活用ができるかというとそうではない。ここを上手く使いこなせるようにしましょうというのがオプティマイザーの役割です」
――具体的に何をする。
「オプティマイザーはWMS/WES/WCSのデータを可視化・分析するためのデータ活用プラットフォーム。あくまでプラットフォームなので、その中にマテハンを導入・稼働するシステムやデータの可視化ツールなど、様々なアプリケーションがぶら下がっているイメージです。現在は、それらに加えて、シフトシミュレーションや作業完了予測ツールなどを用意していますが、今後はニーズに合わせて機能を拡張していく予定です」
――管理システムと何が違う。
「従来、こうしたことをやろうとするとシステムそのものを改修する必要がありました。オプティマイザーを使えば、管理システムはマテハン機器や上位のシステムとデータのやり取りをするだけになるので、それらを触らずに機能の追加や改修ができるようになります。なので、設備改修や更新時にも役立つと考えていて、来春くらいにはSaaS化して現場の標準化・自動化をより簡単にしていきたい」
――今後の方向性は。
「標準化、知能化、完全自動化の3つを軸に24時間稼働可能な完全自動化&無人化した物流センターを実現したいと考えています。さらにその先には、物流センター内だけでなく、お客様の店舗やビジネスにも物流側から影響を与えられるのではないかと見ています」
(日本物流新聞2024年12月25日号掲載)