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インタビュー

FIG 取締役 常務執行役員 岐部 和久 氏

投稿日時
2024/12/24 09:33
更新日時
2024/12/27 10:32

グループ総力でFA・物流へ攻勢

FIGは十数社のグループ会社を束ねるコングロマリット構造の企業だ。核はIP無線や車両の動態管理、決済システムを手がけるモバイルクリエイトだが、近年は半導体や自動車関連の製造装置にロボット(AGV・AMR)を製作するREALIZEや、ロボットSIerのciRobotics、WMSやWCSを開発するプライムキャストなどグループ企業のシナジーでFA・物流分野にロボットシステムを提供。2022年には国産AGVメーカーの匠と資本業務提携も締結した。Rapidus半導体工場へのAMRの納入も決まり、各社の技術を結集し遠くない未来にロボット関連の売上50億円を目指す。

――祖業は通信やソフトです。なぜFA・物流に。

「FIGの原点は代表の村井がタクシー配車システムをきっかけに2002年にモバイルクリエイトを創業したこと。09年には国内初となるIP無線の事業化に成功、車載端末として物流会社にも無線や動態管理を提供してきました。12年にマザーズへ上場して翌年に東証一部へ市場変更、ハード・ソフト・通信に強い企業として成長を遂げました。ロボット領域に踏み込むきっかけは15年のREALIZE(旧:石井工作研究所)のグループ化です」

「REALIZEは製造装置メーカーで、モバイルクリエイトとは異業種ですが同じ大分企業で工場を見てみると『これ、ロボット作れない?』と思ったんです。今後人口が減り自動化は不可避。ソフトとIoTとAIに無線通信をモバイルクリエイトが担い、REALIZEがハードを担えばロボットが作れると漠然と考えました。当時はまだ搬送ロボを思い描いたわけではなく、今もできるならアイアンマンを作りたいですが、それはさて置きロボットは夢がある。それを大分で作れることに意義を感じました」

――搬送ロボを始めた経緯は。

「まずciDroneを設立しドローンからスタート、18年に持株会社のFIGを設立した後、ciRoboticsに社名を変えAMRや協働ロボを扱うSIer事業を始めました。経験を積み21年にオリジナルのAMR『WILL』を開発。22年に匠と出会い資本業務提携を結びFAへの展開が本格化しました。それまで棚搬送AGVは沢山市場にあるとの認識でしたが、よく調べると国産はほぼなく海外製が席巻している。ただFAはカスタムが付き物で匠の純国産AGVは面白いと感じたんです。またロボット単体だけでは勝負にならないので20年にグループ化した物流システムのプライムキャストがWMSやWCSを開発、システム全体の最適化を提案できるようになりました」

■ロボットで売上50億円

――狙うのは十億規模の大規模案件よりもう少し小口の案件ですか。

「ええ。将来的には別ですが工場丸ごとの自動化は今の我々のレベルでは厳しい。それ以前に工場は様々な課題やムダがあります。まずは生産工程の合理化と自動化がセットであり、より現場を理解して提案していく必要がある。また故障検知や点検の効率化はIoTの得意分野で、そちらでも価値を発揮します」

――物流よりFAが主ですか。

「足元はFAが主です。物流も一部手がけていますが、正直そちらはパッケージに近い商品の海外メーカーが圧倒的に浸透している。FAを選ぶのは、既存事業の顧客が多いこと、製造業はいろいろと課題が多いからで、だからこそ日本製の強みが活きます。Rapidus様に我々のAMR納入が決まったのもカスタマイズや保守対応の信頼性が評価されたと考えています。中小規模の倉庫へのロボット普及はこれからで、今はその波に備えFAで鍛えている最中。もう結構鍛えられています(笑)」

――鍛えた集大成でいずれ物流も攻めると。

「ええ、いずれは攻めたいですが今物流へ進出しても競争が厳しい。甘い業界ではありません。まずFAをメインに普遍的な課題を解決できる機能をモジュール化し、自由に組み合わせられる形を目指します」

――グループや匠との協業で実績は出ていますか。

「複数あり、例えばEVバッテリー搬送でプライムキャストがWCSを手がけ、匠がAGVを納入しその製造をREALIZEが担いました。REALIZEの技術でPLC連携させた匠のAGV導入もあります。モバイルクリエイトや各社の技術者だけを集めたCAOSというグループ企業がソフトやAIなどの技術支援を行います」

――FA・物流分野の営業目標は。

「ロボット関連で50億円の売上目標を3年以内に達成したい。ハードだけでは難しくシステムも含め注力します。主力の半導体市場はレガシー半導体の過剰在庫からの需要回復がまだら

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グループ企業のciRoboticsが開発したオリジナルのAMRWILL-FA

(日本物流新聞2024年12月25日号掲載)