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インタビュー

山善 家庭機器事業部 商品企画2部 課長 松藤 竜一郎 氏

コーナー・短小部も使用可な壁掛け物干し

近年、共働き世帯の増加や感染症の流行などによって室内干しニーズが高まっている。一部の調査では20~30代の若年層では約4割が1年を通して室内干しをしているとのデータもある。山善は6月、細いピンで石膏ボードや賃貸住宅でも簡単に設置可能な「壁掛け物干し」(税込9980円)を発売。先行販売した1000セットが即完売するなど注目が集まっている。開発を担当した山善・家庭機器事業部商品企画2部の松藤竜一郎課長に話を聞いた。

初年度目標1万5千セット販売

――6月に発売した「壁掛け物干し」が反響のようです。

「テレビショッピングで先行販売した1000セットはすぐに完売しました。61日からネット中心に展開していますが、初月だけで200セットほど売れています。検索エンジンのアルゴリズム的に新商品を検索上位に出すことは難しいですが、そうした中でも売れていて生活者の関心の高さが窺えます」

――どの点が求められているのでしょうか。

「石膏ボードに対しても効く細いピンを使うことで、賃貸住宅などでも場所を選ばずに簡単に室内干し空間を構築できる点です。すでに様々な室内干しグッズがありますが、床置きタイプのものはそのための場所を作らなければならず、天井から吊るすタイプは業者による施工が必要であったり、賃貸住宅では使用しづらい問題がありました。壁掛け物干しは壁に簡単に取り付けることができ、洗濯物を浮かせて乾かすことができるので床を広く使うことができます」

――壁設置の製品はこれまで市場になかったのでしょうか。

「これまでにも細いピンを使った壁掛けタイプのものもありましたが、当社の製品はより日本の住宅環境に合ったものになっています」

――より住宅環境に合っている。

「日本の家は狭いです。また、柱や梁があっていびつな形をしていることが多い。そのため従来の製品では使用できる場所が限られていました。当社の製品は狭い脱衣所や廊下など普段使わない休眠空間も活用できないかと考え、竿を分割できるようにして最小竿幅785㌢(最大254㌢)の短い竿を用意するとともに、竿受けの先端が左右それぞれに約60度回転するため、脱衣所のコーナー部分などに斜めに設置することもできるようにしています。また、見た目も圧迫感がないように使用しないときには竿受けを畳んでおけ、畳んだ竿受けの厚みも3㌢に抑えました」

――1セットでどのくらいの衣類が乾かせるのでしょうか。

「安全耐荷重10㌔としているので、ハンガーと濡れたワイシャツ(約400㌘)で25着くらいをみています。高いところに設置しても使いやすいように竿受けのアームは下から押すと出てくる設計です。出てくるときも自重でゆっくり開き途中で止まるよう安全性も考慮しました。また、洗濯物を干し終わって竿受けを畳んだときに、物干し竿が住所不定にならないように壁掛けフックも付属しています」

――販売目標などはありますか。

「今年度は15千セットを販売目標としています。出だしは好調に推移していますが、本格的に売れ出すのは寒くなって外で洗濯物が乾かなくなってくる冬のはじめ頃をみています」



2024810日号掲載)