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インタビュー

豊田自動織機 (トヨタL&Fカンパニー) 物流ソリューション事業室 企画管理室 ソリューション企画G グループ長 窪田 博司 氏

投稿日時
2024/12/24 09:52
更新日時
2024/12/24 09:54

トラック荷役対応・自動運転フォークリフト、検証から実用へ

9月の国際物流総合展でトヨタL&Fのブースに人垣ができていた。その中心はトラックへの荷積み・荷下ろしを自動化する自動運転フォークリフトだ。花王など複数社で稼働や検証が進み、会場でも顧客の実荷を使い同技術が実用段階にあることを示した。機械への代替が難しく他工程より自動化の遅れる荷積み・荷下ろしだが、いよいよこの「ラストピース」が埋まるか。一方ロジスティクス分野では、自社製品と国内外の最新マテハン機器のベストミックスで、全方位に最適なソリューションを届ける構えだ。

――国際物流総合展では自動運転フォークリフトでトラックへの荷積み・荷下ろしを自動化されましたね。いよいよ実用段階か、と感慨深い思いでした。

「弊社の実証実験に協力していただいたお客様では実際に生産した商品が日に数便、我々の自動運転フォークリフトでトラックに積まれて出荷されています。荷下ろしも様々な実証を通じ、我々の中でかなりの部分の技術を確立できました。トラックの荷台高さは3D LiDARで検知し、AIを用いてパレットを認識して経路は自動生成します。このソリューションはお客様の期待も極めて大きい。今までお断りせざるを得なかったことを、今後は実現できます」

――荷積み・荷下ろしを行う自動運転フォークリフトの普及に向け、課題は。

「課題はあります。機能を増やすとコストが増加します。そして安全性は絶対に譲れない。つまり普及には機能とコスト、安全面とのバランスが課題です。また安全面でお客様との取り決めが必須で、協議の上リスクアセスメントを行うなど導入時の枠組みを築く必要があります。稼働エリアのクリアランスや床条件、直射日光の影響など制約があるのも事実です。まずは条件に合致するところから導入が進むと見ています」

――フォークリフトで世界首位です。AGFではどのような目標を掲げていますか。

「国内の有人フォークリフト市場は今後、拡大は望めずシェアの奪い合いですが、AGFは人手不足で需要増が見込めるのでそこで先陣を切る意思はあります。ただシェアを上げることだけを目的にAGFを提案するのではなく、お客様と最適なソリューションをつくる中で、必要であると判断した場合にAGFを提案しております。加えて、今は荷積み・荷下ろしを含めた全フォークリフト作業を自動化できる技術の確立も重要だと考えております」

――展示会でもAGFの出展が増えました。プレイヤーの増加をどう捉えますか。

「AMRと同様、AGFも競争が激化するでしょう。しかし、それは同時に技術革新やサービス向上を促す良い刺激でもあるため、市場が成長する中で、我々も一層努力を重ね、お客様に選ばれる存在であり続けたいと考えております。そのための我々の強みとしては4点。まず長くフォークリフトを開発してきたので技術力は非常に自信がある。また特定の商品でなく真に必要なソリューションをお客様目線で提供できる。今まで構築した信頼関係もあります。全国240サービスショップがあり、業界一のサービスネットワークを誇る点もかなりの強みであると自負しております。これがスタートアップや海外企業との差別化になります」

■その物流に、ジャストソリューション

――国際物流総合展では自動運転フォークリフトの他、国内外のスタートアップと協業し先進的な自動倉庫やソーターを提案されました。海外ではマテハンメーカーを活発にM&Aされています。ベストな機器を組み合わせソリューションとして提供するのがロジスティクス分野の方針ですか。

「お客様のニーズが多様化しています。小規模な自動化は既存の現場にジャストフィットしすぐに使える、使ってダメなら撤退できる設備が好まれる傾向に。逆に大規模な自動化は様々な設備を組み合わせた生産性の高いソリューションが望まれます。それら多様化するニーズに対し、M&A先の企業やスタートアップと協業して各々の強みを前面に出し、最適なソリューションを提供したい。お客様の全体最適化が我々の目的で、そのために幅広いソリューションを用意する必要があります。内製品だけの提供にこだわるのも1つの方法ですがマテハン機器は国内外で急速に進化している。それらを最適に組み合わせて届けるのが、ソリューションにこだわる我々の最適解だと考えています」

――確かにマテハンは雨後の筍のように斬新な機器が登場していますね。ただそれら気鋭のプロダクトをまとめるには相当のエンジニアリング力が要求されそうです。

「様々な機器をうまく取り込み、お客様にとっての『最適なソリューション』として提供するのが我々のエンジニアリング思想です。しかし、複雑なオペレーションを自動化すると、量変動やスペースなどの汎用性が低下する一方、コスト高の専用物流機器を導入することになり、結局自動化をあきらめてしまうお客様が多いのが実情です。そこで我々はムダ・ムラ・ムリをなくした工程設計で標準化を行い、最も費用を抑えて最短のリードタイムを実現します。この考え方こそ、我々のエンジニアリング力の源流です」

――マテハン業界は活況が続きます。足元の景況感と注力分野は。

「おかげさまで忙しい状況が続いています。市場全体も2025年は成長が望めそうです。その中で特定分野に力を注ぐよりは、全方位に対応できる体制を引き続き整えます。我々のフォークリフトのお客様は実に多種多様で、信頼関係の中で自動化分野の引き合いを頂くことも多いからです。例えば羽田空港ではレベル4(完全無人運転)での貨物搬送の実証実験を行っており、25年に実用化予定。港湾ではガントリークレーンの作業を最適化するシステムの実証試験を実施しています。あらゆる業界の人手不足へソリューションを提供する姿勢は今後も変わりません」

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国際物流総合展2024で自動運転フォークリフトによる荷積み・荷下ろしを顧客の実荷で行った



(日本物流新聞2024年12月25日号掲載)