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インタビュー

カロッツェリア・カワイ 代表取締役 川合 辰弥 氏/山善 家庭機器事業部 商品企画1部 課長(取材当時)川邊 一馬 氏

暖かさシェアできる革新的電気ストーブ

山善が9月中旬より販売している「ワイドレンジカーボンヒーターShareheats(シェアヒート)」は、ヒーター管が複数並んだデザインが特徴的。左右の管が独立的に角度調整できるため、従来の首振り機能ではできなかったワイド空間を「常時」暖めることができる。開発・デザインには大手自動車メーカーでエンジン・トランスミッションの開発などに携わったカロッツェリア・カワイ代表取締役の川合辰弥氏が協力。デザイナーと協業して製品開発をするのは山善としては初の試み。川合氏と山善・家庭機器事業部商品企画1部課長(取材当時)の川邊一馬氏に話を聞いた。

左から川邊氏と川合氏

――新発想の「ワイドレンジカーボンヒーターShareheats」の特徴を教えて下さい。

川邊 Shareheatsにはヒーター管が3連のタイプ「DC-ZT12」(参考価格18千円)と2連タイプ「DC-ZW08」(同13千円)がありますが、いずれも左右の管が独立して外向きに広がるように4段階角度調整できるため、最大約90度の広範囲を常に暖めることが可能です。従来製品の首振り機能はヒーターが向いた方向しか暖められず、SNSなどで「争奪戦」や「陣取る」といったコメントがみられました。本製品はその名の通り暖かさを皆で分かち合える機能が特徴です。

――筐体のデザインもユニークです。

川合 「これまでにない革新的なデザインと機能性を持つ電気ストーブを」ということで山善さんにお声掛けいただきました。50種類以上のラフデザインを提示させていただくなかで、山善さんの市場調査の結果や実現可能性とマッチしたのが、ヒーター管を3つ並べたアイデアでした。

――電気ストーブに革新性をもたせるのは大変だったのでは。

川合 確かに、新たな要素技術がない中で、昔から大きく見た目の変わらない電気ストーブに革新的なデザインと機能性を両立するのは難しかったです。見た目の新規性だけでなく、どういう使い方ができたらユーザーにとって新しいのか、暖房により求められているものは何かなど、お客様の課題解消につながる「こと」も考えながらデザイン提示させていただきました。

――製品開発プロセスに変化は。

川邊 開発へのアプローチ方法が変わりました。従来は協力工場で作られた設計データをベースに製品開発をしてきましたが、今回は川合さんと一緒によりお客様に近い目線で製品をデザインし、それを元に設計データを起こしています。設計後も川合さんと共に製品のディティールまで追求し切った点もこれまでと異なります。

――ディティールへのこだわりを教えてください。

川合 様々ありますが、例えば製品背面に取り付けられた取っ手は、3連タイプと2連タイプでは取り付け位置や形が異なります。取っ手は上から見ることが多いので、上から見た時に操作部分と取っ手の関係がしっくりくるか、配置の合理性を追求しました。

川邊 近年、デジタル技術で新しさを謳うことも多くなっていますが、本製品はあくまでアナログ発想。手動で使いやすい筐体を追い求めました。そのため取っ手のRの付け方や操作部の手触り感など最後まで川合さんと相談させてもらいました。川合さんに提示してもらった色味が工場側で再現できず採用できなかったケースもありましたが(笑)

 ――すでに製品が店頭にも並び始めています。市場からの反応は。

川邊 出始めということもあり市場からの声は届いていないですが、メディアなどではすでに取り上げていただいており関心は得られていると感じます。また、5月に行った商談会では、やはり製品の見た目に惹きつけられ興味を持たれるバイヤーの方が多く、商談のきっかけになってくれました。手に取ったバイヤー様からは「すごく斬新な製品だね」といった声をいただいており、今後の売れ行きに期待をしたいです。

――今後の展開は。

川邊 デザイン的に各種センサー搭載など、様々なオプション展開する余地を残しています。今後、時期を見て検討していければと思います。

川合 山善さんとは今後も様々な製品でコラボレーションをしていく予定ですので、第2弾、第3弾と期待していてください。

(日本物流新聞10月10日号掲載)