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家電・太陽光パネル・EVバッテリーを再生

投稿日時
2024/12/09 16:30
更新日時
2024/12/09 16:34

初開催のサーキュラーパートナーシップEXPOから

再生処理技術が進み、家電や太陽光パネルが資源循環できるようになってきた。リサイクルは限られた資源の有効活用、脱炭素化に貢献するだけでなく、経済安全保障の観点からも重要になる。12月6日までの3日間、東京ビッグサイトで初開催された「サーキュラーパートナーシップEXPO」(5展で構成する環境関連複合展の1つ。61社・団体が出展)でそんな技術が紹介された。

再生プラスチックを利用した三菱電機の冷蔵庫と炊飯器は白に近い「リネンホワイト」色をしている。

この複合展に5年ぶりに出展した三菱電機は自社の冷蔵庫やエアコン、炊飯器などを展示した。いずれの家電も「リネンホワイト」と呼ぶ白に近いベージュ色をしている。「リサイクルしたプラスチックは真っ白にはならないが、ここまでの色は出せる。家電から家電に戻すクローズドループを進めている」と話す。同社は2010年から千葉市緑区にある関連会社、グリーンサイクルシステムズのプラスチック選別技術を用いて再利用を進めてきた。それまで同社の家電で再利用されるプラスチックは約6%に過ぎなかったが、現在は80%まで高まった。秘訣は「静電選別」。PPPSABS3種が家電プラの8割を占め、軽いPPは比重で選別できる。だが、比重の近いPSABSの分離が難しかった。素材同士をこすり合わせて帯電させる静電選別を開発したことによってそれが可能に。同社はこの独自技術を自動車分野などに外販する予定という。

同社はなぜ5年ぶりに出展したのか。「サーキュラー展が初開催というタイミングでアピールしたい新技術があった。サーキュラーパートナーズ(CPs)会員としてのつながりもある」と話す。

経済産業省は資源の効率的・循環的な利用を図るため昨年9月、先進的な企業・大学・業界団体などでつくる連携組織CPsを立ち上げた。会員は1015日現在で515社・団体に拡大した。

■大量廃棄期に備える

非鉄金属を製錬するDOWAエコシステムは太陽光パネルのリサイクル技術を紹介。同社はパネルからガラスやアルミフレームを除いた、セルを含むシートを回収し、秋田県小坂町にある製錬所で銀と銅を取り出す。かつての資源は鉱山だったが、2005年あたりから家電などからだけで製錬するようになった。回収するシートは年間数㌧で、今は「リサイクルするほうが高くつく」が、「2030年代半ばからの大量廃棄時期に向けて準備を進めている。1社だけでは再生は難しく、パートナーを求めて出展した」と話す。

大量廃棄といえば電気自動車(EV)のリチウムイオンバッテリーも気になる。オークネットとMIRAI-LABOは共同でEVバッテリーの流通プラットフォームを立ち上げた。売り手と買い手をつなげ、バッテリーを街路灯など別のかたちにして再利用を促す。「EVバッテリーのリサイクル技術はまだ確立されておらず、67割の容量が残っている利用済みバッテリーが処分されている。これを使わないのはもったいない」(MIRAI-LABOの平塚雷太常務取締役)が取り組みの動機だ。バッテリーの劣化診断、製品化をMIRAILABOが担い、プラットフォームの構築・運用、営業をオークネットが行う。出展の理由を聞くと「エコプロ(構成展の1つ)などは一般来場者向けの要素が強いが、サーキュラー展は企業の連携をメインに据えている。他社とつながり、自家消費を促していきたい」と意気込む。

終面【Rの時代】サーキュラーパートナーシップEXPOからP2MIRAI-LAB.jpg

使用済みEVバッテリーを利用した自律型ソーラー街路灯「THE REBORN LIGHT smart」を紹介するMIRAI-LABOの平塚雷太常務取締役

(日本物流新聞20241210日号掲載)