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富士加飾、CFRPを高品質rCFにリサイクル

投稿日時
2026/09/10 15:10
更新日時
2026/09/10 15:13

500℃未満の低温分解で「長繊維」回収

富士加飾は、航空機などに使われる炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の端材や使用済み製品から再生炭素繊維(rCF)を回収し、それを強化材とした新たなコンパウンドやコンポジットを提供している。ボーイング向け部品を手掛ける新明和工業は、回収された繊維と三菱ガス化学のバイオ樹脂を組み合わせ、ジュラルミンの半分の質量で1・3倍の強度を持つ小物置き用トレイを開発した。これがJALのノベルティとして採用され、航空機ファンを中心に人気を博している。  

再生炭素繊維(rCF)から作られた小物置き用トレイ。手前がJALのノベルティーバージョン

ボーイング777や787などの退役航空機から出る端材からのリサイクルが多いとし、杉野守彦社長は「繊維を抽出すること自体は他社にとっても難しくない。しかし、500度以下の温度で加熱すれば健全な炭素繊維が取れるものの、多くの業者は効率性を優先して500度以上で加熱してしまう。理屈は誰でも真似できるが、本当のモノは作れない」と笑う。

同社のプロセスでは、まず室温から300度でマトリックス樹脂が分解してデラミネーションが進行。300度から380度でさらに反応が進み、内部の層状物が均一に分解された後、400度から480度で層状剥離物の炭化が進んで穏やかな酸化が起こる。これが独自設計の炉と厳密なオペレーションによって制御されている。

「この炉は、小さな実験炉から何段階ものステップアップを経て商業炉へと進化させてきた。単に樹脂を炭化するだけでなく、発生した有機ガスを循環させて燃焼させている」と杉野社長が語る通り、その舞台裏には極めて複雑かつ精密なガス配管が張り巡らされている。

興味深いのは、この革新的な炉を手掛けたのが「炉の専門業者」ではない点だ。「炉を知り尽くしたプロなら『そんなの不可能だ』と断っていただろう。海外の展示会で知り合ったのは、繊維関係の加工を手掛け、炉など作ったこともない業者だった。しかし、とにかくモノづくりに対して誠実で、非常に相性が良かった」と振り返る。

一般的とされるCFRPのリサイクルでは、古いマトリックス樹脂を100%除去することが常識とされる。同社も当初は並行リサイクルを考慮し、熱分解後に繊維表面へ微妙に残る樹脂の炭化物を取り除こうと試みていた。

しかし、あえて炭化物を残したところ、これが思わぬ機能をもたらした。残された炭化物の表面活性が強固な「足場」となり、後工程で塗布する微量のサイジング剤をしっかり密着させ、新しい樹脂と強固に結合できることが判明したのだ。

■フォーミュラカーの部品に

通常、解体や炉への投入を容易にするため、部材を細かく破砕してから処理することが多い。しかし同社では、航空機の尾翼をはじめとする大型部材を解体・破砕せず、炉へ投入することができる。これにより、炭素繊維本来の長さを損なうことなく「長繊維」として回収することを可能にした。

この長さを保った再生炭素繊維を受け取る三菱ガス化学は、これを熱可塑性ポリアミド樹脂と繊維レベルで均一に混合。成形性に優れる「プリプレグ」などの中間材料として供給する。さらに、抄紙法による湿式不織布やニードルパンチによる乾式不織布、再生炭素繊維クロスなどへも用途を拡大している。

ただ、日本ではリサイクルがなかなか進みにくいと同社。「やはり主戦場はヨーロッパになる。FIAがリサイクル材の利用を推進する背景もあり、フランスではフォーミュラカーの部品に活用する取り組みを進めている。また、欧州の航空機メーカーとの並行リサイクルに向けた取り組みも一歩を踏み出している」と未来を見据えている。

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富士加飾・杉野守彦社長



(日本物流新聞2026年9月10日号掲載)