連載 ジダイノベーター~未踏に挑むスタートアップ
ジダイノベーター Vol.20/軌道走行も可能なAMR
- 投稿日時
- 2024/02/26 16:08
- 更新日時
- 2024/02/26 16:15
LexxPluss、筐体情報を公開 扱いやすい商材として提案
AGV/AMRが乱立する今、どの製品もそんなに変わらないとお考えではないだろうか。2020年設立のLexxPlussが手掛ける次世代搬送ロボット「Hybrid-AMR」には、積極的に選びたくなる特長がある。
Hybrid-AMRは、自律走行モード(AMR)と軌道走行モード(AGV)を自在に行き来できる。例えば、コンベヤラインとパレタイジングロボットの2点間搬送する場合、AGVでは床への誘導体設置などの手間があり、AMRには位置決め精度などに課題があった。Hybrid-AMRはコンベヤやパレタイジングロボットなど荷物の受け渡しが発生するところでは正確性を重視して軌道走行モード(位置決め精度±0.5㍉)を使用。2点間の移動を開始したらLiDARセンサーなどを駆使して周囲環境に合わせて走行する自律走行モードに切り替えるなど、現場の状況に合わせて設定できる。
業界最小クラス38㌢の回転半径を実現するコンパクトボディ(707ミリ×645ミリ×228ミリ)ながら、牽引であれば最大500キロ(台車などを含む)搬送できるのは、筐体の設計から製造までを日本で行っているからだ。見た目は他の製品とあまり変わらないものの、筐体フレームは日本の板金技術を使用することで、「製品重量を抑えながら耐久性を上げることができた」とLexxPluss・COOの板倉理造氏は話す。
「製品を作り始めてまだ3年だが、既にVer.6まで筐体をアップデートしている。早いサイクルで改善を回していく時には近くにサプライヤーがいたほうがメリットは大きい。加えて、日本は板金加工が得意なところが多く、現実的な価格で対応いただけている。高い品質と軽さ、強度を併せ持つフレームを作ることで、18時間もつバッテリーを搭載できるなど差別化にもつながっている」(板倉氏)
日本製であることは板倉氏が「日米でオペレーションしている会社は中国の製品が使用できないので、必然的に当社が選択肢に入ってきてしまう」と言うように大きなアドバンテージとなっているが、加えて、Hybrid-AMRの筐体情報をオープンにしていることも強みとなっている。パートナーシップ制度を構築し、3次元CADの設計情報や電気システムの構成情報などハード面の情報をほとんど公開している。
「機械的な中身を見て安心されるお客様もいるので、設計図などを公開することによって機械商社様も提案しやすい商材になっているようだ」(同)
■かご台車向けソリューションも
製品情報の公開によって現在は物流向けよりも製造業からの引き合いが増えているというが、2月には「WaniGripper(ワニグリッパー)」という既存台車搬送の自動化ソリューションも出すなど、物流業界への提案も加速する。ワニグリッパーはHybrid-AMRに搭載することで、かご台車や6輪台車をはじめとする既存台車を無改造で自動連結・搬送可能なインターフェース。台車の着脱も自動で行えるため、作業者の手間を排した自動化を実現する。
「物流向けだと国産AMRだけでは差別化が難しく、リードタイムの長期化が課題になっていた。ワニグリッパーは国内の物流事情に適したわかりやすい製品。既に小売り系やEC系などから問い合わせをいただいている」(同)
今後の展開について板倉氏は「北米への展開を既に進めている」とし、「アメリカではAGVが自動搬送ソリューションの選択肢に上がりにくくなってきている。それは、顧客志向の多様化により、頻発する現場レイアウトの変更に対応できないため。一方で、管理者が簡単に設定を変えられるAMRの需要は増えており、競合はまだ限られているので色を出していければ十分勝負できる。案件をこなしながらニーズをしっかりと捉えていきたい」と期待を示す。
「物流向けだと国産AMRだけでは差別化が難しく、リードタイムの長期化が課題になっていた。ワニグリッパーは国内の物流事情に適したわかりやすい製品。既に小売り系やEC系などから問い合わせをいただいている」(同)
今後の展開について板倉氏は「北米への展開を既に進めている」とし、「アメリカではAGVが自動搬送ソリューションの選択肢に上がりにくくなってきている。それは、顧客志向の多様化により、頻発する現場レイアウトの変更に対応できないため。一方で、管理者が簡単に設定を変えられるAMRの需要は増えており、競合はまだ限られているので色を出していければ十分勝負できる。案件をこなしながらニーズをしっかりと捉えていきたい」と期待を示す。
LexxPluss・COOの板倉理造氏
(2024年2月25日号掲載)
(2024年2月25日号掲載)