1. トップページ
  2. 連載
  3. 扉の先82/コンサルから運用までバックアップ

連載

扉の先82/コンサルから運用までバックアップ

フレアオリジナル、ロボット活用をあらゆる現場へ

「これからタイに行ってきます」、「東京で打ち合わせです」、「静岡の案件終わりました」。フレアオリジナルのX(旧ツイッター)を見ると、国内外を問わずあらゆる自動化を手掛けているのが手に取るように分かる。

同社は長野県坂城町に拠点を構えるロボットSIer。少数精鋭ながら自動化コンサルティング、ロボットシステムの設計、制作、導入、運用サポートまでを全て一貫して行っている。メンバーがこれまで培ってきた多分野での経験がそれを可能にしており、制御や組み立てなどの部分的な開発にも対応する。

田中陽一郎社長

同社・田中陽一郎社長に「で、いちばん得意なのはどの分野か」と聞くと、しばらく考えたのち、「全部、ですかね」と笑顔を見せる。

同社は2012年の創業。社員数は10人に満たないが、多い時で年間20件の自動化案件をこなす。その中心となっているのが、営業マンであり、設計者であり、コンサルでもある田中社長だ。

営業の際には、クライアントの工場・生産ラインを実際に3D化し、ロボットや自動化機器を設置し、VRゴーグルを付ければ仮想空間の生産ラインがどのような動きをしているかが手に取るようにわかるように提案する。

「図面や言葉でのプレゼンは伝わり切らないことも多いが、VRならこちらのイメージがはっきりと伝わります。手間はかかるがクライアントもイメージしやすく、改善点やブラッシュアップできる点も見えてきます」

また自動化システム導入前、導入後に講習を受けられるロボティクスラボも完備。産業用ロボットから協働ロボットまで、幅広い講習プログラムを用意するなど、運用面でのバックアップにも抜かりが無い。大手メーカーの国内外の自動化案件から、人手不足の中小企業の省人・省力化案件まで引きも切らない依頼があるのも頷ける。

■ロボットに「目」を付けた

そんな同社が目指すのは「あらゆる現場でのロボット活用」だ。まず、導入ハードルを下げる取り組みとして、比較的安価で高性能な中国ナンバーワン協働ロボットメーカー・DOBOTの取り扱いをスタート。

DOBOTの協働ロボットは、国内の協働ロボットに比べて遜色ないくらいレベルが高く、素人でもかんたんにダイレクトティーチングで動かすことができます。また数十万円から導入できるモデルもあり、継続的な運用が出来れば人件費より圧倒的にコストパフォーマンスに優れます」

一昨年にはDOBOT協働ロボットを活用し、「ラテアート」を描けるバリスタロボットを開発。ヒトでなければ出来ないと思われていた作業の自動化を提案した。さらに昨年は国際ロボット展では、汎用的なビジョンカメラを活用した「EYE ROBOT」を発表。スマートフォンに表示されたアルコマーカー(認識用の目印)をロボットにかざすと、ロボットがスマホの動きに追従して動くシステムを開発。田中社長は「ロボットに目がついたようなもので、実際にロボットがマーカーを目で見て追いかけるシステムになっている。活用方法によってはダイレクトティーチングより教示のハードルを下げられます。」と自信を見せる。

さらに同社では、産学連携で農業分野の自動化にも取り組むなど、ロボットの活用範囲拡大に意欲的に取り組んでいる。

田中社長は「人口がシュリンクしていく中、業種・規模を問わず必ずロボットの力が必要になる。製造現場だけではないロボットの活用法を真剣に考える時代になってきています」と先を見据える。

扉の先eyerobot.jpg

国際ロボット展で披露されたEYE ROBOT



2024525日号掲載)